膨張する宇宙
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「地学」の内容 (4) ア (ウ) ㋑「膨張する宇宙」。
内容の取扱いは「『現代の宇宙像』については、ビッグバンの証拠を扱うこと」
「ハッブルの法則も扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
「宇宙は膨張しており、熱い状態から始まった」という結論に至る道筋を、
観測 → 結論の対で押さえます。
| 観測 | 結論 |
|---|---|
| 遠い銀河はすべて赤方偏移している | 宇宙は膨張している(ハッブルの法則) |
| 後退速度が距離に比例する | どこにも中心がない一様な膨張 |
| 宇宙背景放射(2.7 K の電波)が全天から来る | 宇宙は昔、高温・高密度だった |
| 水素とヘリウムの割合が予測と合う | 軽元素はビッグバン直後に作られた |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 銀河が空間を飛んでいるのではなく、空間そのものが広がっている
- 膨張に中心はない(どの銀河から見ても同じように遠ざかって見える)
- 宇宙背景放射は「冷えた光」(膨張によって波長が伸び、いまは電波)
1. 赤方偏移とハッブルの法則
根拠: 学習指導要領 地学-(4)-ア-(ウ)-㋑
赤方偏移とは?
遠くの銀河のスペクトルの波長が、長いほう(赤いほう)へずれている現象
遠ざかる運動(膨張)によって生じる。
ハッブルの法則とは?式で書くと?
銀河の後退速度は距離に比例する。v = H₀ d
H₀ はハッブル定数。
ハッブル定数の値はおよそどれくらい?
約 70 km/s/Mpc(1 メガパーセク離れると毎秒 70 km 速く遠ざかる)
観測方法によって少し値が違う。
後退速度が距離に比例することは、宇宙について何を意味する?
空間全体が一様に膨張していること(膨張に中心がない)
どの銀河から見ても同じ法則が成り立つ。
「銀河が飛んでいく」のではないとはどういうこと?
銀河の間の空間そのものが広がっており、そのために距離が増えている
膨らむゴム風船の上の点のようなもの。
ハッブル定数の逆数は、何のおよその値になる?
宇宙の年齢(膨張を逆にたどって、すべてが 1 点にあった時刻までの時間)
約 138 億年という値が得られる。
遠くの銀河を見ることは、何を見ていることになる?
過去の宇宙を見ていること(光が届くのに時間がかかるから)
100 億光年先の銀河は 100 億年前の姿。
2. ビッグバンの証拠
根拠: 学習指導要領 地学-(4)-ア-(ウ)-㋑
ビッグバンとは?
宇宙が超高温・超高密度の状態から始まり、膨張してきたという考え(およびその始まり)
膨張を逆にたどると必然的に出てくる。
ビッグバンの証拠のうち、もっとも強いものは?
宇宙背景放射(宇宙マイクロ波背景放射)
全天からほぼ均等に届く、温度 2.7 K に相当する電波。
宇宙背景放射は、いつの光?
宇宙が誕生して約 38 万年後、宇宙が晴れ上がった(透明になった)ときの光
それ以前は光が直進できなかった。
宇宙の「晴れ上がり」とは何が起こったこと?
温度が下がって電子が原子核に結びつき、光が散乱されずに直進できるようになったこと
これ以前は見ることができない。
高温だったころの光が、いまは電波として届くのはなぜ?
宇宙の膨張によって波長が伸びたから(赤方偏移)
3000 K の光が 2.7 K に相当する波長になった。
宇宙背景放射に、ごくわずかな温度のゆらぎがあることは何を示す?
初期宇宙の密度のゆらぎ(のちの銀河や大規模構造のもと)
10 万分の 1 程度のゆらぎが観測された。
ビッグバンのもう 1 つの証拠は、元素の何?
水素とヘリウムの割合(ヘリウムが質量で約 25 %)が、高温の初期宇宙での合成の計算と合うこと
軽元素(水素・ヘリウム・リチウム)はビッグバン直後にできた。
炭素より重い元素は、いつどこでできた?
恒星の内部の核融合と超新星爆発(→ 恒星の進化と終末)
ビッグバンでは軽元素しかできない。
3. 宇宙の歴史と現在の宇宙像
根拠: 学習指導要領 地学-(4)-ア-(ウ)-㋑
宇宙の年齢はおよそいくら?
約 138 億年
宇宙背景放射の観測とハッブル定数から求められている。
宇宙の歴史を大きな出来事で並べると?
ビッグバン → 軽元素の合成(数分後)→ 晴れ上がり(38 万年後)→ 最初の星と銀河(数億年後)→ 現在
太陽系ができたのは約 46 億年前。
宇宙の膨張は、現在どうなっていると分かった?
加速している(Ia 型超新星の観測から)
減速しているという予想に反していた。
加速膨張の原因として考えられているものは?
暗黒エネルギー(ダークエネルギー)
正体は分かっていない。
現在の宇宙の組成は、割合でどうなっていると考えられている?
暗黒エネルギーが約 7 割、暗黒物質が約 1/4、ふつうの物質(原子)は数 % のみ
目に見える物質はごく一部。
宇宙に「中心」や「果て」を問うのが難しいのはなぜ?
膨張はどこでも同じように起きており、特別な場所が無いから(宇宙原理)
観測できるのは光が届く範囲に限られる。
地球の 46 億年と宇宙の 138 億年を比べると?
地球の歴史は宇宙の歴史の 3 分の 1 ほど