みならいノート

古典探究 2027年度版

説話と評論

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

0. どういうまとまりか

説話は人から人へ語り伝えられた短い話を書き留めたもの、評論は和歌や俳諧、能、物語について考えを述べた文章です。
どちらも入試の出典になりやすく、形が決まっています。説話は「語り出し・出来事・結び」、評論は「言いたいこと・その例」という組み立てを先に知っておくと、初めて見る文章でも話の向きが読めます。

説話集 時代 編者 集め方・文体の特徴
日本霊異記 平安時代初期 景戒 最も古い仏教説話集。漢文で書く
今昔物語集 平安時代後期 未詳 インド・中国・日本の順に分ける。漢字と片仮名で書き、漢文訓読の調子が強い
宇治拾遺物語 鎌倉時代前期 未詳 分類せずに並べる。平仮名の多い和文で、会話が生き生きしている
発心集 鎌倉時代前期 鴨長明 出家や往生の話を集め、編者の感想を長く添える
十訓抄 鎌倉時代中期 未詳 十の教えを立て、教えごとに例の話を集める
古今著聞集 鎌倉時代中期 橘成季 題目ごとに分類し、年代順に並べる
沙石集 鎌倉時代後期 無住 身近な話や笑い話から仏の教えへ導く
評論の種類 論じるもの 主な作品
歌論 和歌 古今和歌集仮名序、俊頼髄脳、古来風体抄、無名抄、近代秀歌、毎月抄
連歌論 連歌 筑波問答
能楽論 能 風姿花伝、花鏡
俳論 俳諧 去来抄、三冊子
物語論 物語 無名草子、源氏物語玉の小櫛

分かれ目は次の 3 つ。

1. 説話の種類

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

説話は 1 話が短く、その話だけで完結します。説話集は、そうした話を編者が集めて並べたものです。

「説話」とはどんな種類の文章か? 物語と比べて、形のうえでどこが違うか?

人々の間で語り伝えられてきた話を書き留めた、短い話。1 話ごとに完結し、心の中を細かく書くより出来事を手短に語る。
説話集はそれを集めて編んだもので、話と話の間に筋のつながりはない。

「仏教説話」と「世俗説話」はどう違うか?

仏教説話は、仏や菩薩の不思議な力、善悪の報い、出家や往生など、仏の教えを伝える話。世俗説話は、貴族・武士・庶民の逸話や笑い話、芸能の話など、人の世の出来事の話。
日本霊異記・発心集・沙石集は仏教説話集。今昔物語集・宇治拾遺物語は両方を収める。

十訓抄は、説話をどんなやり方で集めているか? 何のために書かれたか?

十の教え(徳目)を立て、教えごとに例となる話を集める。年少の人に善悪を教えるためと序に書かれている。
説話の前後に教えの言葉が付くので、その話を何の例として挙げているのかが読み取りやすい。

古今著聞集は、説話をどんなやり方で並べているか? 編者は誰か?

題目(神祇・文学・和歌・管絃など)ごとに分類し、その中を年代順に並べる。編者は橘成季。
整った分類を持つのが特徴で、貴族社会の話が多い。分類せずに並べる宇治拾遺物語と対照的。

鎌倉時代の仏教説話集のうち、鴨長明が編んだものと、無住が編んだものはそれぞれ何か? 書き方の特徴は?

鴨長明は発心集、無住は沙石集。
発心集は、出家や往生をめぐる話に編者自身の感想を長く書き添える。沙石集は、身近な話や笑い話を入口にして仏の教えへ導く。

2. 説話の語り出しと結び

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

説話は、誰の話かを示す語り出し、出来事、結びの順で進みます。宇治拾遺物語の「絵仏師良秀」は、次のように始まり、次のように終わります。

部分 宇治拾遺物語「絵仏師良秀」の本文
語り出し(人物の紹介) これも今は昔、絵仏師良秀といふありけり。
結び(後日談) そののちにや、良秀がよぢり不動とて、今に人々めで合へり。

宇治拾遺物語には、「これも今は昔」で語り出す話が多い。「これも」は何を表しているか?

前の話に続けて、「これもまた昔の話だが」と語り継ぐ言い方。説話集が、話を次々に語り連ねていく形であることを表す。
「今は昔」だけで始まる話もある。どちらも、伝え聞いた昔の話として語り出す決まった言い方で、あとに人物の紹介が続く。

今昔物語集と宇治拾遺物語は、同じ話を収めることも多い。文体はどう違うか?

今昔物語集は漢字と片仮名で書かれ、漢文訓読の調子が強い。宇治拾遺物語は平仮名の多い和文で、会話が多く語り口がやわらかい。
今昔物語集は和漢混交文の先がけとされる。

「絵仏師良秀」は「そののちにや、良秀がよぢり不動とて、今に人々めで合へり。」で終わる。この結びは、編者の評か、後日談か? 何が読み取れるか?

後日談。良いとも悪いとも言わず、良秀の描いた不動が今も人々にほめられているという事実で結ぶ。
自分の家が焼けるのを見て喜ぶ良秀のふるまいは異様だが、結びは絵師としての腕が世に認められたことを伝える。評のことばが付かない話は、結びに置かれた事実から、何の例として語られた話かを読む。

3. 評論

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

古典の評論は、今の評論のように理屈を順に積み上げるより、良い例と悪い例を挙げて比べる、師の言葉や逸話を引くという書き方が多くなります。
最初の本格的な歌論とされる古今和歌集仮名序は、「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。」(古今和歌集仮名序)と、和歌とは何かを述べるところから始まります。

古典の評論を、論じる対象で分けると、どんな種類があるか? 5 つ挙げよ。

歌論(和歌)・連歌論(連歌)・能楽論(能)・俳論(俳諧)・物語論(物語)
歌論が最も古く、数も多い。ほかの評論も、歌論の言葉や考え方を受け継いでいる。

古今和歌集仮名序は、六歌仙の歌をどんな書き方で評しているか? 在原業平の評を例に答えよ。

一人ずつ、良いところと足りないところを短く言い、たとえで言い表す。
(例)在原業平は、その心余りて、言葉足らず。しぼめる花の色なくて匂ひ残れるがごとし。(古今和歌集仮名序)。「心」(内容)と「言葉」(表現)の釣り合いで歌を評している。

無名抄は、誰が書いた、どんな形の歌論か?

鴨長明が書いた歌論で、短い章段を並べた随筆ふうの形を取る。
歌の詠み方の心得だけでなく、歌人の逸話や、師の俊恵から聞いた言葉を多く収める。理屈を述べる章段より、逸話で語る章段が多い。

去来抄と三冊子は、誰が書いた、どんな形の俳論か?

去来抄は向井去来、三冊子は服部土芳。どちらも芭蕉の門人が、師の言葉や教えを書き留めたもの。
芭蕉自身はまとまった俳論を書き残していない。去来抄は「先師いはく」と芭蕉の言葉を引き、句をめぐるやり取りを記す形が多い(先師=亡くなった師、芭蕉のこと)。

無名草子は、何を論じた評論か? どんな形で書かれているか?

物語を論じた評論で、現存する最も古い物語評論とされる。年老いた尼が、女房たちの語り合いを聞くという形で書かれている。
源氏物語を中心に、物語の巻や登場人物、さらに実在の女性たちを評する。作者は藤原俊成女とされるが確かではない。

古典の評論を読むとき、文章はどんな組み立てになっていると考えて読むか?

「考え(こうあるべきだ)」と「その例(歌・句・逸話)」の組。例のあとか前に、書き手や師の評価の言葉が置かれる。
評価の言葉(「よし」「をかし」「わろし」など)と、「〜べし」「〜べからず」の文を拾うと、何を良いとしているかが分かる。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 日記・随筆・紀行
和歌・連歌・俳諧 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。