みならいノート

古典探究 2027年度版

史伝と寓話

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

0. どういうまとまりか

漢文の散文のうち、物語として読むものが史伝(歴史と伝記)・寓話・小説です。
詩が五言・七言などの句の字数で形を示すのに対し、これらは話をどう組み立てるかに種類ごとの型があります。型を知っていると、次に何が書かれるかの見当がつきます。

書物 編著者・時代 形
『史記』 司馬遷・前漢 紀伝体。太古から前漢の武帝までの通史
『漢書』 班固・後漢 紀伝体。前漢だけを記す
『三国志』 陳寿・西晋 紀伝体。魏・蜀・呉の歴史
『資治通鑑』 司馬光・北宋 編年体
『十八史略』 曾先之・元 18 の歴史書を短くまとめた入門書
『戦国策』 劉向(編)・前漢 戦国時代の遊説家の弁論を国別に集める

分かれ目は次の 3 つ。

1. 紀伝体と編年体

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

歴史の書き方には大きく 2 つの形があります。教科書に載る史伝の多くは、紀伝体の『史記』と、それを短くまとめた『十八史略』から採られています。

「紀伝体」という呼び名は、何から来ているか? この形で書かれた最初の歴史書は?

「本紀」(帝王の記録)と「列伝」(人物の伝記)から 1 字ずつ取った名。最初は『史記』。
のちの正式な歴史書は、この形にならって書かれた。人物ごとに書くか、年月の順に書くかという違いは、古文の歴史物語(大鏡と栄花物語)で確かめたのと同じ。

中国の歴史書で、編年体で書かれた代表的なものを 2 つ挙げると? 編年体と紀伝体は、それぞれ何を追うのに向いているか?

『春秋』と、北宋の司馬光の『資治通鑑』。編年体は出来事の前後のつながり、紀伝体は 1 人の人物の一生を追うのに向いている。
『春秋』は魯の国の年代記で、孔子が手を入れたと伝えられる。

『史記』の作者と時代は? どこからどこまでを記した歴史書か?

司馬遷、前漢(武帝のころ)。伝説上の帝王の黄帝から、前漢の武帝までを記す通史。
全 130 巻。

『史記』の「本紀」「世家」「列伝」は、それぞれ何を記すか?

本紀は帝王、世家は諸侯、列伝は個人(臣下・学者・刺客など)の事績を記す。
ほかに、年表にあたる「表」と、制度や文化を記す「書」があり、合わせて 5 つの部分からなる。

皇帝にならなかった項羽の伝記は、『史記』のどの部分に置かれているか?

本紀(項羽本紀)
司馬遷は、実際に天下を動かした人物として項羽を帝王と同じ扱いにした。諸侯でない孔子と陳渉も、世家に置かれている。

『史記』と『漢書』は、どちらも紀伝体である。扱う時代の範囲はどう違うか?

『史記』はいくつもの王朝にわたる通史、『漢書』は前漢 1 つの王朝だけを記す(断代史)。
『漢書』は後漢の班固の作。のちの正式な歴史書は、『漢書』と同じく王朝ごとに書かれた。

『十八史略』は、どんな書物か?

『史記』から宋の時代までの 18 の歴史書を、短くまとめた入門書。元の曾先之の作。
話が短く整理されているので、教科書によく採られる。「臥薪嘗胆」「鶏口牛後」など。

歴史書の『三国志』と、『三国志演義』は、どう違うか?

『三国志』は西晋の陳寿が書いた紀伝体の歴史書。『三国志演義』は明の時代にまとめられた長編の小説(羅貫中の作とされる)。
演義は歴史をもとにした物語で、話し言葉に近い文体で書かれている。

2. 列伝の構成

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

列伝は、1 人(または数人)の人物を、いくつかの逸話で描きます。書き手は人物の性格を説明せず、その人が何をし、何と言ったかで示すので、会話と行動を追って読みます。

位置 書かれること 目印
冒頭 人物の名・出身・身分 「A 者、B 也。」「A 者、B 人也。」
中ほど 逸話の積み重ね。会話が多い 「曰」
末尾 書き手の評(論賛) 「太史公曰」

『史記』廉頗藺相如列伝は「廉頗者、趙之良将也。」で始まる。書き下すと? 列伝の冒頭には、ふつう何が書かれるか?

「廉頗は、趙の良将なり」。列伝の冒頭には、人物の名と、出身や身分の紹介が置かれる。
「A 者、B 也」(A は B なり)の形。ここで紹介された人物が、その後の文の主語になる。

『史記』の列伝などの末尾にある「太史公曰」で始まる部分を何というか? だれの言葉か?

論賛。司馬遷自身が、その人物や出来事について述べた評。
太史公は司馬遷のこと。ここまでの逸話は事実の叙述、ここから後ろは書き手の考えと分けて読む。

3. 寓話と小説

根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ

寓話は、言いたいことを別の話に託した短い話です。説話は言い伝えられた話を書きとめたもので、そこから怪異の記録や、作り話としての小説が育ちました。

寓話とは、どんな話か? どんな書物に多いか?

教訓や主張を、動物や架空の人物などの別の話に託して語る短い話。『戦国策』『韓非子』『列子』『荘子』などに多い。
話そのものより、話を通して言おうとしていることが主題になる。

『戦国策』の「虎求百獣而食之、得狐。」(虎百獣を求めて之を食らひ、狐を得たり。)で始まる「虎の威を借る狐」の話は、だれが、何を説明するために語った話か?

楚の臣の江乙が、楚の宣王に、「北方の国々が恐れているのは重臣の昭奚恤ではなく、その背後にある王の兵力だ」と説明するために語った。
虎が王、狐が昭奚恤、百獣が北方の国々にあたる。『戦国策』の寓話は、遊説家が君主を説得する言葉の中に出てくるので、現実のだれにあたるかを対応させて読む。

六朝の時代に書かれた、不思議な出来事や怪異を書きとめた短い話を何というか? 代表的な書物は?

志怪小説。代表は干宝の『捜神記』。
言い伝えを事実の記録として短く書きとめたもので、作り話として書かれたものではない。

唐の時代に、文人が筋や人物を工夫して書いた短編の物語を何というか? 例を挙げると?

伝奇小説。例は「枕中記」(「邯鄲の夢」のもとの話)、「人虎伝」(中島敦『山月記』のもとの話)。
志怪小説が短い記録であるのに対し、作者が物語として組み立てている。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 思想の文章
漢詩の表現 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。