古体詩と辞賦
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
漢詩は、唐の時代に形が整った近体詩(→ 近体詩の形式)と、それより前からある古体詩に分かれます。
古体詩は決まりがゆるく、長い物語や思いを自由に述べられます。辞賦は、韻を踏みながら句の長さが定まらない、詩と散文のあいだの文章です。
| 古体詩 | 近体詩 | |
|---|---|---|
| 句の数 | 自由(長いものは 100 句を超える) | 絶句は 4 句、律詩は 8 句 |
| 1 句の字数 | 四言・五言・七言のほか、字数のそろわないものもある | 五言か七言 |
| 押韻 | 韻は踏むが、途中で韻を換えてよい | 1 首を同じ韻で通す |
| 対句 | 決まりは無い | 律詩は頷聯と頸聯 |
| 例 | 『詩経』の詩、楽府、陶淵明「飲酒」、白居易「長恨歌」 | 李白「静夜思」、杜甫「春望」 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 古体詩は句の数が自由で、途中で韻を換えてよい。唐より後にも作られ続けた(李白・杜甫・白居易にも古体詩がある)。
- 辞賦は韻を踏むが、詩ではない。句の長さがそろわず、対句を重ねて述べていく、韻文と散文の中間の文章。
- 唐詩は初唐・盛唐・中唐・晩唐の 4 期に分ける。李白・杜甫は盛唐、白居易は中唐。
1. 古体詩の流れ
根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ
漢詩のリズムは、1 句の字数で変わります。最も古い『詩経』は四言が中心で、漢の時代から五言が、のちに七言が広まりました。
| 時代 | 作品・形式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 周〜春秋 | 『詩経』 | 四言が中心。北方の歌謡など |
| 戦国 | 『楚辞』 | 南方の楚の歌謡に基づく。句が長く、字数がそろわない |
| 漢 | 楽府、五言の古詩 | 民間の歌謡。五言が広まる |
| 六朝 | 陶淵明・謝霊運など | 五言古詩が中心 |
| 唐以後 | 五言古詩・七言古詩 | 近体詩と並んで作られる |
古体詩とは、どんな詩か?
近体詩が成り立つ前からある形式の詩で、句の数や対句・押韻の決まりがゆるいもの(古詩ともいう)。
唐より後にも作られ、李白・杜甫・白居易にも古体詩がある。
中国で最も古い詩集は何か? その詩は、1 句が主に何字か?
『詩経』。1 句が 4 字の四言が中心。
約 300 編を収め、儒教の経典(五経)の 1 つとされた。
『詩経』と並ぶ古い韻文の集で、南方の楚の歌謡に基づくものは何か? 代表的な作者は?
『楚辞』。代表的な作者は屈原(「離騒」など)。
四言中心の『詩経』と違い、句が長く字数がそろわない。調子を整える「兮」の字を多く使う。
「楽府」とは、もと何の名で、のちに何を指すようになったか?
もとは漢の時代に置かれた、音楽をつかさどる役所の名。のちに、そこで集められた歌謡と、その題や調子にならって作った詩を指すようになった。
読みは「がふ」。民間の歌謡がもとなので、物語を語るものが多い。
陶淵明「飲酒」(「結廬在人境」で始まる詩)は、1 句が 5 字で全部で 10 句ある。形式は何か?
五言古詩
句の数が 4 でも 8 でもないので、絶句でも律詩でもない。陶淵明は近体詩が整う前の東晋の人でもある。
白居易「長恨歌」の形式は何か? 何を題材にした詩か?
七言古詩(120 句)。唐の玄宗皇帝と楊貴妃の愛と別れを語る。
句の数に制限の無い古体詩だから、長い物語を詩にできる。
古体詩で、1 首の途中で韻の種類を換えることを何というか?
換韻
長い古体詩では、韻が換わるところが内容の切れ目になることが多い。
2. 辞賦
根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ
辞賦は『楚辞』の流れをくむ文章で、韻を踏み、対句を重ねますが、詩のように句の字数が決まっていません。
漢の時代には、宮殿や狩りのようすを言葉を尽くして並べ立てる「賦」が盛んに作られました。
辞賦とは、どんな文章か?
韻を踏み対句を多く使うが、句の長さが定まらない、韻文と散文の中間の文章。
『楚辞』の流れをくみ、漢の時代に「賦」として盛んになった。
「帰去来兮、田園将蕪、胡不帰。」で始まる文章の題と作者は? この部分を書き下すと?
「帰去来辞」、陶淵明(東晋)。書き下しは「帰りなんいざ、田園将に蕪れなんとす、胡ぞ帰らざる」。
訳: さあ帰ろう。故郷の田畑は荒れようとしている。どうして帰らずにいられようか。役人をやめて故郷の田園に帰る決意を述べる。
「赤壁賦」の作者と時代は? どんな内容か?
蘇軾(蘇東坡)、北宋。月の夜に長江の赤壁の下へ舟を浮かべ、客との問答を通して、人の命のはかなさと自然の尽きないことを語る。
散文に近い書き方の賦で、問答で進むところに特徴がある。
3. 唐詩の 4 つの時期
根拠: 学習指導要領 古典探究-(1)-イ
唐の詩は、ふつう 4 つの時期に分けて説明されます。詩人がどの時期の人かが分かると、詩の背景(盛唐の繁栄、安史の乱、その後の混乱)の見当がつきます。
| 時期 | 主な詩人 |
|---|---|
| 初唐 | 王勃・陳子昂 |
| 盛唐 | 李白・杜甫・王維・孟浩然 |
| 中唐 | 白居易・韓愈・柳宗元 |
| 晩唐 | 杜牧・李商隠 |
唐詩の 4 つの時期を、古い順に挙げると?
初唐・盛唐・中唐・晩唐
近体詩の形が整ったのが初唐、詩が最も栄えたのが盛唐とされる。
李白と杜甫は、唐詩のどの時期の詩人か? それぞれ何とたたえられるか?
盛唐。李白は詩仙、杜甫は詩聖。
同じ時期の詩人に、自然を詠んだ王維・孟浩然がいる。杜甫の「春望」は安史の乱のさなかの作。
中唐と晩唐の代表的な詩人を、2 人ずつ挙げると?
中唐は白居易・韓愈(柳宗元も)、晩唐は杜牧・李商隠。
韓愈と柳宗元は、文章の面でも古文を唱えた人として出てくる(→ 思想の文章)。