電離平衡と水のイオン積
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (イ) ㋒「電離平衡」。
告示は「水のイオン積、pH 及び弱酸や弱塩基の電離平衡について理解すること」を求めており、
解説は酢酸やアンモニアのような弱酸・弱塩基を取り上げて電離定数を扱うとしている。
0. どういう論点か
化学基礎では「強酸は完全に電離、弱酸は一部だけ」で済みました。
ここでは、その「一部」がどれだけかを平衡として計算します。
| 電離のようす | 扱い | |
|---|---|---|
| 強酸・強塩基 | ほぼ完全に電離 | 濃度からそのまま |
| 弱酸・弱塩基 | 一部が電離して平衡 | 電離定数を使う |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 電離度は濃度で変わる(薄いほど大きい)。電離定数 K は変わらない
- 水そのものもわずかに電離している(これが水のイオン積)
- 酸性でも OH⁻ は 0 ではない([H⁺][OH⁻] は常に一定)
1. 弱酸・弱塩基の電離平衡
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
弱酸の水溶液で、電離はどんな状態にある?
電離する向きと戻る向きが釣り合った平衡状態(電離平衡)
CH₃COOH ⇄ CH₃COO⁻ + H⁺
酢酸の電離定数 K_a の式は?
K_a = [CH₃COO⁻][H⁺] / [CH₃COOH]
温度が同じなら一定の値になる。
電離定数 K_a が大きいほど、酸としてどうか?
強い
電離しやすいということ。
電離度 α は濃度によって変わる?
変わる(薄いほど大きい)
電離定数は変わらないが、電離度は変わる。
弱酸の濃度 c、電離度 α の間に成り立つ関係は?(α が 1 より十分小さいとき)
K_a ≒ cα²
ここから α ≒ √(K_a / c) が出る。
弱酸の水素イオン濃度を、濃度 c と電離定数 K_a で表すと?
[H⁺] ≒ √(c K_a)
α ≒ √(K_a / c) に c を掛けたもの。
弱酸を水で薄めると、電離度と水素イオン濃度はそれぞれどうなる?
電離度は大きくなるが、水素イオン濃度は小さくなる
薄めた効果のほうが勝つ。
2. 水のイオン積と pH
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
水のイオン積 K_w の式と、25 ℃ での値は?
K_w = [H⁺][OH⁻] = 1.0 × 10⁻¹⁴(mol/L)²
純水でも、酸性でも、塩基性でも成り立つ。
純水で [H⁺] はいくらか(25 ℃)?
1.0 × 10⁻⁷ mol/L
[H⁺] = [OH⁻] なので、イオン積の平方根になる。
酸性の水溶液に水酸化物イオンは存在する?
存在する
[H⁺] が大きいぶん [OH⁻] は小さいが、積は常に一定。
pH の定義は?
pH = −log₁₀[H⁺]
[H⁺] = 1.0 × 10⁻ⁿ mol/L のとき pH = n。
塩基性水溶液の pH を求めるには、まず何をする?
[OH⁻] から水のイオン積を使って [H⁺] を求める
[H⁺] = K_w / [OH⁻]。
温度を上げると水のイオン積はどうなる?
大きくなる
水の電離は吸熱なので、温度を上げると電離が進む。純水の pH は 7 より小さくなるが中性のまま。
3. 中和滴定と pH の変化
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
弱酸を強塩基で滴定するとき、中和点の液性は?
塩基性
生じる塩(酢酸ナトリウムなど)が加水分解するため。
強酸を強塩基で滴定するとき、中和点の液性は?
中性
生じる塩は加水分解しない。
弱酸を強塩基で滴定するときに使う指示薬は?
フェノールフタレイン
変色域(pH 8.0〜9.8)が中和点付近にあるため。
強酸を弱塩基で滴定するときに使う指示薬は?
メチルオレンジ
中和点が酸性側にあり、変色域(pH 3.1〜4.4)が合う。