塩の加水分解と緩衝液
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (イ) ㋒「電離平衡」。
内容の取扱いは「塩の加水分解や緩衝液にも触れること」を求めている。
0. どういう論点か
塩を溶かした水が中性とは限りません。 弱いほうの相手が水から H⁺ や OH⁻ を奪い返すからです。
| 塩のもと | 例 | 液性 |
|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | NaCl | 中性 |
| 弱酸 + 強塩基 | CH₃COONa | 塩基性 |
| 強酸 + 弱塩基 | NH₄Cl | 酸性 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 弱いほうの性質が残る(弱酸からできた塩は塩基性)
- 加水分解するのは弱いほうのイオン(強酸由来の Cl⁻ は水と反応しない)
- 緩衝液は「弱酸とその塩」の組(強酸とその塩では働かない)
1. 塩の加水分解
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
塩の加水分解とは?
塩を構成するイオンが水と反応して、H⁺ や OH⁻ を生じる現象
弱酸や弱塩基からできた塩で起こる。
酢酸ナトリウム水溶液が塩基性を示すのはなぜ?
CH₃COO⁻ が水から H⁺ を奪い、OH⁻ が残るから
CH₃COO⁻ + H₂O ⇄ CH₃COOH + OH⁻
塩化アンモニウム水溶液が酸性を示すのはなぜ?
NH₄⁺ が水に H⁺ を渡すから
NH₄⁺ + H₂O ⇄ NH₃ + H₃O⁺
塩化ナトリウム水溶液が中性なのはなぜ?
Na⁺ も Cl⁻ も水と反応しないから
強酸と強塩基からできた塩は加水分解しない。
炭酸水素ナトリウム水溶液の液性は?
弱い塩基性
炭酸(弱酸)と水酸化ナトリウム(強塩基)からできた塩。
塩の液性を判断する手順は?
もとの酸と塩基のどちらが弱いかを見て、弱いほうの性質をとる
両方強ければ中性。
2. 緩衝液
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
酸を入れれば吸い取る相手がいて、塩基を入れても吸い取る相手がいる——
両方をあらかじめ混ぜてあるのが緩衝液です。
緩衝液とは?
少量の酸や塩基を加えても pH がほとんど変化しない溶液
弱酸とその塩、または弱塩基とその塩の混合物。
代表的な緩衝液の組合せを 2 つ挙げると?
酢酸と酢酸ナトリウム、アンモニアと塩化アンモニウム
弱いほうと、その塩を混ぜる。
酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝液に酸を加えると、何が起こる?
CH₃COO⁻ が H⁺ を受け取って CH₃COOH になる
加えた H⁺ が消費されるので、pH はほとんど動かない。
同じ緩衝液に塩基を加えると、何が起こる?
CH₃COOH が OH⁻ に H⁺ を渡して水になる
加えた OH⁻ が消費される。
緩衝液の pH は何で決まる?
弱酸の電離定数と、「酸とその塩の濃度の比」
[H⁺] = K_a × ([酸] / [塩])。薄めても比が変わらないので pH はほぼ一定。
緩衝液を水で薄めると pH はどうなる?
ほとんど変わらない
酸と塩の濃度が同じ割合で小さくなり、比が変わらないため。
血液の pH がほぼ一定に保たれているのは、どんな仕組みによるか?
炭酸と炭酸水素イオンによる緩衝作用
pH 7.4 前後に保たれている。
3. 溶解度積
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋒
溶解度積 K_sp とは?
難溶性の塩が飽和しているときの、イオン濃度の積
AgCl なら K_sp = [Ag⁺][Cl⁻]。
塩化銀の飽和水溶液に塩化ナトリウムを加えると、何が起こる?
塩化銀の沈殿が生じる(共通イオン効果)
[Cl⁻] が増えて積が K_sp を超えるため。
イオン濃度の積が溶解度積より小さいとき、沈殿は生じる?
生じない(まだ溶けられる)
超えたときに沈殿が生じる。