金属イオンの分離と確認
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (3) ア (ア) ㋐「典型元素」・
㋑「遷移元素」。解説は扱う実験の例として「典型元素及び遷移元素の金属イオンを分離する実験」を
挙げている。
0. どういう論点か
ここまでの沈殿の知識を、手順として並べ直す回です。
試薬を加える順番には意味があり、先に落とすものから落とすようにできています。
| 順 | 加える試薬 | 落ちるもの |
|---|---|---|
| ① | 希塩酸 | Ag⁺・Pb²⁺(塩化物) |
| ② | 硫化水素(酸性) | Cu²⁺(硫化物) |
| ③ | アンモニア水(過剰) | Fe³⁺・Al³⁺(水酸化物) |
| ④ | 硫化水素(塩基性) | Zn²⁺(硫化物) |
| ⑤ | 炭酸アンモニウム | Ca²⁺・Ba²⁺(炭酸塩) |
| 残る | — | Na⁺・K⁺(炎色反応で確認) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 硫化水素は 2 回出てくる——酸性で落ちる組と、塩基性で落ちる組が違う
- Na⁺・K⁺ は沈殿しないので、最後に炎色反応で確認する
- ③でアンモニア水を過剰に加えると、Zn²⁺・Cu²⁺・Ag⁺ は錯イオンになって溶けたまま残る
1. 分離の手順
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋐
金属イオンの系統分離で、最初に加える試薬は?何が落ちる?
希塩酸。Ag⁺ と Pb²⁺ が塩化物として沈殿する
塩化銀は白色、塩化鉛(Ⅱ)も白色。
塩化鉛(Ⅱ)と塩化銀を見分けるには?
熱湯を加える
塩化鉛(Ⅱ)は熱水に溶けるが、塩化銀は溶けない。
酸性のまま硫化水素を通すと、どの金属イオンが沈殿する?
イオン化傾向が小さい金属(Cu²⁺・Ag⁺・Pb²⁺ など)
硫化銅(Ⅱ)は黒色。
塩基性にしてから硫化水素を通すと、どの金属イオンが沈殿する?
Zn²⁺・Fe²⁺・Ni²⁺ など
硫化亜鉛は白色。酸性では沈殿しない。
酸性と塩基性で沈殿する硫化物が違うのはなぜ?
酸性では硫化物イオンの濃度が小さく、溶解度積を超えにくいから
塩基性にすると硫化物イオンが増え、溶けやすい硫化物も沈殿する。
アンモニア水を過剰に加えたとき、沈殿として残るのは?
Fe³⁺・Al³⁺ の水酸化物
Cu²⁺・Zn²⁺・Ag⁺ は錯イオンになって溶ける。
最後まで沈殿しない金属イオンは?どう確認する?
Na⁺・K⁺。炎色反応で確認する
アルカリ金属の塩はほとんどが水に溶ける。
2. 沈殿の色で見分ける
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
硫化物の沈殿の色を 3 つ挙げると?
CuS・Ag₂S・PbS は黒、ZnS は白、CdS は黄
多くの硫化物は黒色。
水酸化物の沈殿の色は?(Fe³⁺・Fe²⁺・Cu²⁺・Al³⁺)
Fe³⁺:赤褐、Fe²⁺:緑白、Cu²⁺:青白、Al³⁺:白
Zn²⁺ も白色。
クロム酸イオンで沈殿するイオンと色は?
Ag⁺:赤褐、Pb²⁺:黄、Ba²⁺:黄
いずれも特徴的な色で確認できる。
硫酸イオンで沈殿するイオンは?
Ba²⁺・Ca²⁺・Pb²⁺(いずれも白色)
硫酸バリウムは X 線造影剤に使われる。
3. 炎色反応
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋐
Li・Na・K の炎色反応の色は?
Li:赤、Na:黄、K:赤紫
アルカリ金属はすべて炎色反応を示す。
Ca・Sr・Ba の炎色反応の色は?
Ca:橙赤、Sr:紅、Ba:黄緑
同じ 2 族でもマグネシウムは示さない。
銅の炎色反応の色は?
青緑
遷移元素でも炎色反応を示すものがある。
炎色反応が起こるのはなぜ?
熱で高いエネルギー状態になった電子が、もとに戻るときに光を出すから
元素ごとに決まった色になるので、確認に使える。