芳香族炭化水素
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (4) ア (ア) ㋒「芳香族化合物」。
内容の取扱いは芳香族炭化水素、フェノール類、芳香族カルボン酸及び芳香族アミンを扱うことを
求めており、解説は「ベンゼン環及び官能基により性質が特徴付けられる」ことを扱うとしている。
0. どういう論点か
ベンゼン環は二重結合をもつのに付加より置換が起こります。ここが最大の分かれ目です。
6 個の炭素が対等につながり、非常に安定な構造になっているためです。
| 起こる反応 | 例 | |
|---|---|---|
| ベンゼン(ふつうの条件) | 置換反応 | ニトロ化・スルホン化・ハロゲン化 |
| ベンゼン(特別な条件) | 付加反応 | 光+塩素、触媒+水素 |
| アルケン | 付加反応 | 臭素水の脱色 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- ベンゼンは臭素水を脱色しない(付加が起こりにくい)
- ベンゼン環の炭素間の結合はすべて等しい(単結合と二重結合が交互にあるのではない)
- 側鎖を酸化すると、側鎖だけが −COOH になる(環は壊れない)
1. ベンゼンの構造と性質
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
ベンゼンの分子式と形は?
C₆H₆。正六角形の平面構造
12 個の原子すべてが同一平面上にある。
ベンゼンの炭素間の結合の長さは?
すべて等しい(単結合と二重結合の中間)
交互に並んでいるのではなく、電子が環全体に広がっている。
ベンゼンが付加より置換を起こしやすいのはなぜ?
環の安定な構造を保とうとするから
付加すると安定な構造が壊れてしまう。
ベンゼンに臭素水を加えるとどうなる?
脱色しない
アルケンとの区別に使える。
ベンゼンの性質は?
無色・特有のにおいの液体で、水に溶けず有機溶媒に溶ける。有毒
燃やすとすすの多い炎を出す(炭素の割合が大きい)。
2. 置換反応
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸を加えて加熱すると何ができる?
ニトロベンゼン(ニトロ化)
淡黄色の油状の液体。
ベンゼンに濃硫酸を加えて加熱すると何ができる?
ベンゼンスルホン酸(スルホン化)
強い酸性を示す。
ベンゼンに鉄粉を触媒として塩素を作用させると何ができる?
クロロベンゼン(ハロゲン化)
触媒が無いと進まない。
ベンゼンに光を当てながら塩素を作用させるとどうなる?
付加反応が起こり、ヘキサクロロシクロヘキサンができる
条件によって置換と付加が切り替わる。
ベンゼンにニッケル触媒で水素を付加させると何ができる?
シクロヘキサン
高温・高圧が必要。
3. トルエンとその他の芳香族炭化水素
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
トルエンの構造は?
ベンゼン環にメチル基が 1 つ結合したもの
C₆H₅CH₃。
トルエンを過マンガン酸カリウムで酸化すると何ができる?
安息香酸
側鎖のメチル基だけが酸化され、ベンゼン環は壊れない。
キシレンにはいくつの異性体がある?
3 つ(オルト・メタ・パラ)
メチル基 2 個の位置の違いによる。
ナフタレンの構造と性質は?
ベンゼン環が 2 つつながった構造。常温で昇華する白色の固体
防虫剤に使われてきた。
パラキシレンを酸化すると何ができる?
テレフタル酸
ポリエチレンテレフタラート(PET)の原料になる。