油脂とセッケン
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (4) ア (ア) ㋑「官能基をもつ化合物」。
解説は「エステルに関連して油脂やセッケンなどに触れることも考えられる」としている。
0. どういう論点か
油脂は、グリセリン(3 価アルコール)と高級脂肪酸のエステルです。
エステルの一種なので、けん化すればセッケンになります。
| 脂肪(固体) | 脂肪油(液体) | |
|---|---|---|
| 脂肪酸 | 飽和が多い | 不飽和が多い |
| 融点 | 高い | 低い |
| 例 | 牛脂・バター | 大豆油・オリーブ油 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 二重結合が多いほど融点が低い(分子が折れ曲がって密に並べない)
- 硬化油は、不飽和の油脂に水素を付加して固めたもの(マーガリンの原料)
- セッケンは硬水・酸性で使えない(合成洗剤は使える)
1. 油脂
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋑
油脂とは、何と何のエステル?
グリセリン(3 価アルコール)と高級脂肪酸
脂肪酸 3 分子が結び付いている。
常温で固体の油脂と液体の油脂を、それぞれ何という?
脂肪と脂肪油
含まれる脂肪酸の種類で決まる。
脂肪油の融点が低いのはなぜ?
不飽和脂肪酸を多く含み、分子が折れ曲がって密に並べないから
二重結合が多いほど融点が低い。
代表的な飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を挙げると?
飽和:パルミチン酸・ステアリン酸/不飽和:オレイン酸・リノール酸
いずれも炭素数 16〜18 が多い。
硬化油とは?
不飽和の油脂に水素を付加して固体にしたもの
マーガリンなどの原料になる。
乾性油とは?
二重結合が多く、空気中で酸化されて固まる油脂
塗料に使われる。
2. セッケン
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋑
セッケンはどうやって作る?
油脂を水酸化ナトリウム水溶液でけん化する
同時にグリセリンができる。
けん化で得られた液に塩化ナトリウムを加えるのはなぜ?
セッケンを析出させるため(塩析)
水に溶けにくくなって分離する。
セッケン分子の構造の特徴は?
水になじむ親水基と、油になじむ疎水基(親油基)を両方もつ
この構造が汚れを落とす仕組みの元になる。
セッケンが汚れを落とす仕組みは?
疎水基を油汚れに向けて取り囲み、水中に分散させる(乳化)
できた粒をミセルという。
セッケン水の液性は?
弱い塩基性
弱酸(脂肪酸)と強塩基の塩なので加水分解する。
3. セッケンと合成洗剤
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋑
セッケンを硬水で使うと泡立たないのはなぜ?
カルシウムイオンやマグネシウムイオンと結び付いて、水に溶けない塩になるから
合成洗剤ではこれが起こりにくい。
セッケンを酸性の水で使うと働かなくなるのはなぜ?
水に溶けない脂肪酸に戻ってしまうから
弱酸の塩なので、強酸を加えると弱酸が遊離する。
合成洗剤(硫酸エステル型・スルホン酸型)の水溶液の液性は?
中性
強酸と強塩基の塩なので加水分解しない。
合成洗剤が硬水でも使えるのはなぜ?
カルシウムイオンなどと結び付いても、水に溶けにくい塩を作りにくいから
セッケンとの大きな違い。
セッケンが環境に与える影響で、合成洗剤より有利な点は?
微生物に分解されやすい
分解されにくい合成洗剤は、泡立ちが残る問題を起こしたことがある。