芳香族カルボン酸
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (4) ア (ア) ㋒「芳香族化合物」。
内容の取扱いは芳香族炭化水素、フェノール類、芳香族カルボン酸及び芳香族アミンを扱うことを
求めており、解説はこれらの相互の関係を反応や構造と関連付けて扱うとしている。
0. どういう論点か
ベンゼン環に −COOH がついたものです。カルボン酸なので、脂肪族と同じく炭酸より強い酸。
主役はサリチル酸で、−OH と −COOH を両方もつため反応が 2 方向に分かれます。
| 反応相手 | どちらの基が反応するか | 生成物 |
|---|---|---|
| 無水酢酸 | −OH(アセチル化) | アセチルサリチル酸(解熱鎮痛剤) |
| メタノール | −COOH(エステル化) | サリチル酸メチル(消炎剤) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- サリチル酸は塩化鉄(Ⅲ) で呈色し、炭酸水素ナトリウムとも反応する(両方の顔をもつ)
- 無水酢酸と反応するのは −OH のほう、メタノールと反応するのは −COOH のほう
- アセチルサリチル酸は塩化鉄(Ⅲ) で呈色しない(−OH が無くなっているため)
1. 安息香酸とフタル酸
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
安息香酸はどうやって作る?
トルエンを過マンガン酸カリウムなどで酸化する
側鎖のメチル基が −COOH になる。
安息香酸の水溶液の液性と、炭酸との強さの比較は?
弱酸性。炭酸より強い
炭酸水素ナトリウムと反応して二酸化炭素が出る。
安息香酸の用途は?
食品の防腐剤(安息香酸ナトリウムとして)
水に溶けやすい塩の形で使われる。
フタル酸はどうやって作る?
オルトキシレンやナフタレンを酸化する
加熱すると分子内で脱水して無水フタル酸になる。
テレフタル酸は何の原料?
ポリエチレンテレフタラート(PET)
エチレングリコールと縮合重合させる。
2. サリチル酸
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
サリチル酸はどんな官能基をもつ?
カルボキシ基 −COOH とヒドロキシ基 −OH(ベンゼン環に直接)
カルボン酸でもあり、フェノール類でもある。
サリチル酸に塩化鉄(Ⅲ) 水溶液を加えるとどうなる?
赤紫色に呈色する
フェノール類としての反応。
サリチル酸に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えるとどうなる?
二酸化炭素が発生する
カルボン酸としての反応。フェノールでは起こらない。
サリチル酸に無水酢酸を作用させると何ができる?
アセチルサリチル酸
−OH がアセチル化される。解熱鎮痛剤として使われる。
サリチル酸にメタノールと濃硫酸を加えると何ができる?
サリチル酸メチル
−COOH がエステル化される。消炎剤(湿布のにおい)に使われる。
アセチルサリチル酸に塩化鉄(Ⅲ) を加えると呈色する?
しない
−OH がアセチル化されて無くなっているため。反応が起きた確認に使える。
サリチル酸メチルに塩化鉄(Ⅲ) を加えると呈色する?
する
−OH は残っていて、反応したのは −COOH のほうだから。
3. 芳香族化合物の酸の強さ
根拠: 学習指導要領 化学-(4)-ア-(ア)-㋒
塩酸・カルボン酸・炭酸・フェノールを、酸の強い順に並べると?
塩酸 > カルボン酸 > 炭酸 > フェノール
この順を知っていれば、どちらが遊離するかが決まる。
安息香酸ナトリウムの水溶液に塩酸を加えるとどうなる?
安息香酸が遊離して沈殿する
強い酸が弱い酸を追い出す。
ナトリウムフェノキシドの水溶液に安息香酸を加えるとどうなる?
フェノールが遊離する
安息香酸のほうが強い酸だから。