溶解の仕組みと溶解度
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (1) ア (イ) ㋐「溶解平衡」。
内容の取扱いは「固体及び気体の溶解度を扱うこと」を求めており、解説は溶解のしやすさを
粒子のモデルと関連付けて扱うこと、飽和溶液で溶解平衡が成り立つことを扱い、
過飽和にも触れるとしている。
0. どういう論点か
「溶ける・溶けない」は、溶質と溶媒の引き合い方が釣り合うかで決まります。
結論はひと言で、似た者どうしが溶け合うです。
| 溶質 | よく溶ける溶媒 | 例 |
|---|---|---|
| イオン結晶 | 極性溶媒(水) | NaCl は水に溶ける |
| 極性分子 | 極性溶媒(水) | エタノール・スクロース |
| 無極性分子 | 無極性溶媒(ヘキサン) | ヨウ素・ナフタレン |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 飽和溶液は「もう溶けない」のではなく、溶ける速さと析出する速さが等しい状態
- 溶解度は「水 100 g に溶ける最大の g 数」(溶液 100 g ではない)
- 冷やしたのに結晶が出てこない状態がありうる(過飽和)
1. 溶解の仕組み
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
塩化ナトリウムが水に溶けるとき、イオンは水分子にどうされている?
水分子に取り囲まれている(水和)
水分子の負の側が Na⁺ に、正の側が Cl⁻ に向く。
イオン結晶が水に溶けるのは、何と何が釣り合うから?
イオンどうしを引き離すのに要るエネルギーと、水和で放出されるエネルギー
水和のほうが大きければ溶けやすい。
ヨウ素やナフタレンが水に溶けにくいのはなぜ?
無極性分子で、水と水和しないから
水どうしの水素結合を割り込んで入る理由が無い。
エタノールが水にいくらでも溶けるのはなぜ?
ヒドロキシ基(−OH)が水と水素結合をつくれるから
同じ分子の中に炭化水素の部分もあるので、無極性の溶媒にもある程度溶ける。
溶解のしやすさを一言でまとめると?
似た者どうしが溶け合う
極性のものは極性の溶媒に、無極性のものは無極性の溶媒に溶けやすい。
2. 飽和溶液と溶解平衡
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
蒸発と凝縮が釣り合うと気液平衡でした。溶解でも同じことが起きます。
溶けるのが止まったのではなく、溶ける量と析出する量が等しくなっただけです。
溶質がそれ以上溶けなくなった溶液を何という?
飽和溶液
その温度で溶かせる限界まで溶けた状態。
飽和溶液で、溶解と析出は止まっているか?
止まっていない。速さが等しいだけ(溶解平衡)
固体の表面では、溶け出す粒子と戻る粒子が同じ数だけ入れ替わっている。
溶解度の定義は?
溶媒 100 g に溶かすことのできる溶質の最大質量[g]
「溶液 100 g あたり」ではないので、質量パーセント濃度とは別物。
温度と溶解度の関係を表したグラフを何という?
溶解度曲線
多くの固体では、温度が高いほど溶解度が大きくなる。
熱い飽和溶液を冷やすと結晶が出てくるのはなぜ?
温度が下がって溶解度が小さくなり、溶けきれない分が析出するから
出てくる量は「高温での溶解度 − 低温での溶解度」で計算する。
この性質を使って、少量の不純物を含む固体を精製する操作を何という?
再結晶
溶解度の差が大きい物質ほどうまくいく。
溶解度を超えて溶質が溶けたままになっている不安定な状態を何という?
過飽和
静かに冷やすと起こる。振動を与えたり種結晶を入れたりすると一気に結晶が出る。
3. 溶解度の使い方
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
溶解度 36(20 ℃)の物質は、水 50 g に何 g まで溶ける?
18 g
溶解度は水 100 g あたりの値なので、水の量に比例させる。
水和水をもつ結晶(CuSO₄·5H₂O など)が析出するとき、計算で注意することは?
析出した結晶が水和水のぶんの水を持ち去ること
溶媒の水が減るので、水 100 g あたりで単純に引き算できない。
溶解度が温度でほとんど変わらない物質は、再結晶で精製しやすいか?
しにくい
冷やしても析出する量が少ないため。塩化ナトリウムがその例。