気体の溶解度とヘンリーの法則
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (1) ア (イ) ㋐「溶解平衡」。
内容の取扱いは「固体及び気体の溶解度を扱うこと」を求めており、解説は気体の溶解度について
ヘンリーの法則を扱い、二酸化炭素や酸素の水への溶解など身近な現象との関連に触れるとしている。
0. どういう論点か
気体の溶解度は、固体と逆向きに動きます。
| 温度を上げると | 圧力を上げると | |
|---|---|---|
| 固体の溶解度 | 大きくなる(多くの場合) | ほとんど変わらない |
| 気体の溶解度 | 小さくなる | 大きくなる(比例) |
炭酸飲料の栓を開けると泡が出るのも、温めると気が抜けるのも、この表 1 つで説明できます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 溶ける「物質量」は圧力に比例する。溶ける「体積」は、その圧力下で測れば変わらない
- 混合気体では、その成分の分圧で考える(全圧ではない)
- ヘンリーの法則が成り立つのは、溶解度の小さい気体(HCl・NH₃ では成り立たない)
1. 気体の溶解度
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
温度を上げると、気体の水への溶解度はどうなる?
小さくなる
熱運動が激しくなり、水中から飛び出しやすくなるため。
夏に川や湖で魚が苦しくなることがあるのは、どんな理由か(溶解度の面から)?
水温が上がって、水に溶ける酸素の量が減るから
気体の溶解度は温度が高いほど小さい。
水を加熱すると、沸騰前から小さな泡が出てくるのはなぜ?
溶けていた空気が、温度上昇で溶けきれなくなって出てくるから
沸騰による水蒸気の泡とは別物。
極性の無い気体(O₂・N₂)が水に溶けにくいのはなぜ?
水と水和しにくいから
一方 HCl・NH₃ は水と反応・水和するので非常によく溶ける。
2. ヘンリーの法則
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
ヘンリーの法則とは?
一定温度で、一定量の溶媒に溶ける気体の物質量は、その気体の圧力(分圧)に比例する
溶解度の小さい気体で成り立つ。
圧力を 3 倍にすると、溶ける気体の物質量は何倍になる?
3 倍
物質量・質量は圧力に比例する。
圧力を 3 倍にしたとき、その圧力のもとで測った溶けている気体の体積は何倍?
1 倍(変わらない)
物質量は 3 倍だが、同じ圧力で測ると体積は 1/3 になるので、打ち消し合う。
溶けた気体の体積を「標準状態に換算して」答える場合は何倍になる?
3 倍
換算先の圧力を固定するので、物質量に比例した値になる。
混合気体がとけるとき、ヘンリーの法則に使う圧力は?
その成分の分圧
空気と接した水に溶ける酸素なら、酸素の分圧で考える。
ヘンリーの法則が成り立たない気体の例は?
HCl・NH₃ など、水によく溶ける気体
水と反応したり強く水和したりするため、比例からずれる。
3. 身近な現象で確かめる
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋐
炭酸飲料の栓を開けると泡が出るのはなぜ?
容器内の二酸化炭素の分圧が下がり、溶けきれなくなるから
ヘンリーの法則で、圧力が下がれば溶解量も減る。
炭酸飲料をぬるくすると気が抜けやすいのはなぜ?
温度が高いほど気体の溶解度が小さいから
圧力と温度の効き方は逆向きなので、分けて考える。
潜水後に急浮上すると危険なのはなぜ(溶解度の面から)?
血液に溶けていた窒素が、圧力の低下で気泡になるから
深いところでは分圧が高く、多くの窒素が溶けている。