希薄溶液の性質
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (1) ア (イ) ㋑「溶液とその性質」。
内容の取扱いは「蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下及び浸透圧を扱うこと」を求めており、
解説は凝固点降下に関連して過冷却や溶質の分子量測定に触れるとしている。
0. どういう論点か
溶質を溶かすと、溶媒だけのときとは沸点も凝固点も変わります。
変化の大きさを決めているのは、溶けている粒子の数だけで、種類は関係ありません。
| 現象 | 何が起きるか | 効くもの |
|---|---|---|
| 蒸気圧降下 | 蒸気圧が下がる | 溶質粒子の数 |
| 沸点上昇 | 沸点が上がる | 溶質粒子の数 |
| 凝固点降下 | 凝固点が下がる | 溶質粒子の数 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 効くのは粒子の数——NaCl は水中で 2 個(Na⁺ と Cl⁻)に分かれるので 2 倍効く
- 使う濃度は 質量モル濃度(溶媒 1 kg あたりの mol。体積ではない)
- 蒸気圧降下が原因で、沸点上昇が結果(別々の現象ではない)
1. 蒸気圧降下と沸点上昇
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
不揮発性の溶質を溶かすと、液面の一部を溶質が占め、溶媒が蒸発しにくくなります。
蒸気圧が下がるので、外圧に追いつくにはより高い温度が要る——これが沸点上昇です。
不揮発性の溶質を溶かすと、溶液の蒸気圧はどうなる?
溶媒だけのときより小さくなる(蒸気圧降下)
液面から蒸発できる溶媒分子の割合が減るため。
沸点上昇が起こるのはなぜ?
蒸気圧が下がり、外圧に等しくなるまでより高い温度が必要になるから
蒸気圧降下の結果として起こる。
沸点上昇度 Δt を式で書くと?
Δt = K_b × m
K_b:モル沸点上昇(溶媒で決まる定数)、m:質量モル濃度。
質量モル濃度の定義は?
溶媒 1 kg に溶けている溶質の物質量[mol/kg]
温度で体積が変わらないので、温度を変える実験ではモル濃度より扱いやすい。
モル沸点上昇 K_b は、溶質の種類で変わる?
変わらない(溶媒で決まる)
溶質は「何 mol いるか」だけが効く。
2. 凝固点降下
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
溶液の凝固点は、溶媒だけのときと比べてどうなる?
低くなる(凝固点降下)
溶質が邪魔をして、溶媒分子が規則正しく並びにくくなるため。
凝固点降下度 Δt の式は?
Δt = K_f × m
K_f:モル凝固点降下、m:質量モル濃度。沸点上昇と同じ形。
凝固点に達しても凝固が始まらず、それより低い温度まで下がる現象を何という?
過冷却
かき混ぜたり刺激を与えたりすると急に凝固が始まり、温度は凝固点まで戻る。
冷却曲線から凝固点を読むとき、どこを読む?
過冷却のあと温度が戻って一定になった線を、冷却の直線まで延ばした交点
いちばん下がった点(過冷却の底)ではない。
凍結防止剤を道路にまくと凍りにくくなるのはなぜ?
溶質が溶けることで凝固点降下が起き、0 ℃ では凍らなくなるから
塩化カルシウムはイオン 3 個に分かれるので、よく効く。
3. 粒子の数で数える・分子量を測る
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
0.1 mol/kg のスクロース水溶液と 0.1 mol/kg の塩化ナトリウム水溶液では、凝固点降下が大きいのはどちら?
塩化ナトリウム水溶液
NaCl は Na⁺ と Cl⁻ に電離し、粒子の数が 2 倍になるため。
電解質の溶液で沸点上昇・凝固点降下を計算するとき、質量モル濃度をどう扱う?
電離後の全粒子の物質量で計算する
CaCl₂ なら 3 倍(Ca²⁺ 1 個と Cl⁻ 2 個)。
凝固点降下から溶質の分子量を求められるのはなぜ?
降下度から溶質の物質量が分かり、質量と合わせれば分子量が出るから
M = 質量 ÷ 物質量。沸点上昇より測定しやすいので、こちらがよく使われる。
沸点上昇・凝固点降下の測定に使えるのは、どんな溶質?
不揮発性で、溶媒と反応しないもの
揮発性の溶質だと、溶質自身の蒸気圧が効いてしまう。
同じ質量を溶かしたとき、分子量の小さい溶質と大きい溶質では、凝固点降下が大きいのはどちら?
分子量の小さいほう
同じ質量なら、分子量が小さいほど粒子の数が多くなる。