浸透圧
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (1) ア (イ) ㋑「溶液とその性質」。
内容の取扱いは「蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下及び浸透圧を扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
溶媒だけを通す膜(半透膜)で溶液と溶媒を仕切ると、溶媒が溶液側へ移動します。
これを止めるのに必要な圧力が浸透圧です。
沸点上昇・凝固点降下と同じ仲間で、効くのは溶質粒子の数だけ。
違うのは、式が気体の状態方程式と同じ形になることです。
| 式 | 使う濃度 | |
|---|---|---|
| 沸点上昇・凝固点降下 | Δt = K × m | 質量モル濃度 |
| 浸透圧 | ΠV = nRT | モル濃度(体積が要る) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 浸透圧は「溶液が膜を押す力」ではなく、溶媒の移動を止めるのに要る圧力
- 電解質は電離後の粒子の数で数える(ここも沸点上昇と同じ)
- 式の形は pV = nRT と同じだが、気体の話ではない
1. 浸透と半透膜
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
溶媒分子だけを通し、溶質粒子を通さない膜を何という?
半透膜
セロハンや細胞膜がその例。
半透膜で溶媒と溶液を仕切ると、溶媒はどちらへ移動する?
溶液のほうへ
濃度を均一にしようとする向き。この現象を浸透という。
浸透圧の定義は?
溶媒の浸透を止めるために、溶液側に加える必要のある圧力
液面差ができるまで放っておいたときの、その高さの圧力にあたる。
濃さの違う 2 つの溶液を半透膜で仕切ると、溶媒はどちらへ動く?
濃いほうへ
薄いほうから濃いほうへ溶媒が移動して、濃度差を小さくする。
2. ファントホッフの法則
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
浸透圧 Π を表す式は?
ΠV = nRT(ファントホッフの法則)
気体の状態方程式とまったく同じ形。
浸透圧の式をモル濃度 c で書き直すと?
Π = cRT
n / V = c なので、濃度と絶対温度に比例する。
浸透圧は溶質の種類によって変わる?
変わらない(粒子の数だけで決まる)
沸点上昇・凝固点降下と同じ性質。
0.1 mol/L のグルコース水溶液と 0.1 mol/L の塩化ナトリウム水溶液では、浸透圧が大きいのはどちら?
塩化ナトリウム水溶液(約 2 倍)
Na⁺ と Cl⁻ に電離して粒子数が 2 倍になるため。
温度を上げると浸透圧はどうなる?
大きくなる
Π = cRT で、絶対温度に比例する。
3. 分子量測定と身近な現象
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(イ)-㋑
浸透圧はとても薄い溶液でも測れるので、少ししか溶けないもの・分子量の大きいものに向きます。
タンパク質や高分子の分子量測定に使われるのはこのためです。
浸透圧から溶質の分子量を求める式は?
M = wRT / (ΠV)
ΠV = nRT に n = w / M を代入した形。
分子量の大きい高分子の分子量測定に、凝固点降下より浸透圧が向くのはなぜ?
薄い溶液でも十分大きな浸透圧が現れるから
高分子は同じ質量でも物質量が小さく、凝固点降下ではほとんど変化が出ない。
赤血球を純水に入れると破裂するのはなぜ?
外から水が浸透して、内側の圧力が高くなるから
逆に濃い食塩水に入れると、水が出て縮む。
生理食塩水の濃度が決まっているのはなぜ?
体液と浸透圧を等しくするため
浸透圧の等しい溶液どうしを等張という。
野菜に塩をふると水が出てくるのはなぜ?
細胞の外が濃くなり、細胞内の水が外へ浸透するから
漬物や塩もみはこの現象を使っている。