気体の法則と状態方程式
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (1) ア (ア) ㋑「気体の性質」。
内容の取扱いは「ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を扱うこと。その際、分子量測定にも
触れること」「気体分子のエネルギー分布と絶対温度にも触れること」を求めている。
0. どういう論点か
化学基礎では、気体 1 mol が標準状態で 22.4 L という 1 点だけを覚えました。
ここでは 温度と圧力が変わったときにどうなるかを式で扱います。
覚える式は結局 1 本(pV = nRT)で、ボイルの法則もシャルルの法則も、
そのうちの 1 つを固定した形にすぎません。
| 固定するもの | 残る関係 | 名前 |
|---|---|---|
| 温度・物質量 | pV = 一定 | ボイルの法則 |
| 圧力・物質量 | V / T = 一定 | シャルルの法則 |
| 物質量 | pV / T = 一定 | ボイル・シャルルの法則 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 温度は必ず絶対温度(K)で入れる(℃ のまま入れると答えが合わない)
- 気体定数 R の値は、単位の組とセットで覚える(Pa・L・K・mol)
- 分子量を測るのは、質量 w と pV = nRT を組み合わせた式
1. 絶対温度と気体分子の運動
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(ア)-㋑
気体の式に出てくる T は、必ず絶対温度です。℃ は原点を勝手にずらした目盛りなので、
比例の話にそのまま持ち込めません。
絶対温度 T[K]とセルシウス温度 t[℃]の関係は?
T = t + 273
目盛りの間隔は同じで、原点だけが違う(0 K = −273 ℃ = 絶対零度)。
気体の法則の式に、セルシウス温度をそのまま入れてはいけないのはなぜ?
0 ℃ が「量がゼロ」を意味しないから
体積や圧力は絶対温度に比例する。0 ℃ を 0 として比例計算すると合わない。
同じ温度の気体でも、すべての分子が同じ速さで動いているか?
動いていない。速さには分布がある
これを気体分子のエネルギー分布という。速い分子も遅い分子もいる。
温度を上げると、気体分子のエネルギー分布はどう変わる?
山が低くなって右(速いほう)へ広がる
平均の運動エネルギーが大きくなり、速い分子の割合が増える。
2. ボイルの法則・シャルルの法則
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(ア)-㋑
温度一定のとき、一定量の気体の体積と圧力の関係は?
体積は圧力に反比例する(pV = 一定)。ボイルの法則
押せば縮む、という関係を式にしたもの。
圧力一定のとき、一定量の気体の体積と絶対温度の関係は?
体積は絶対温度に比例する(V / T = 一定)。シャルルの法則
温めれば膨らむ、という関係。
ボイル・シャルルの法則を 1 つの式で書くと?
pV / T = 一定
変化の前後で p₁V₁ / T₁ = p₂V₂ / T₂ と書いて使う。
ボイル・シャルルの法則を使うとき、物質量は変わってよい?
変わってはいけない(一定量の気体についての関係)
気体が出入りする場合は、状態方程式のほうで考える。
3. 理想気体の状態方程式
根拠: 学習指導要領 化学-(1)-ア-(ア)-㋑
ボイル・シャルルの法則に「物質量に比例する」を足すと、理想気体の状態方程式になります。
ここまで来ると、前後の比較ではなくその 1 つの状態だけで計算できます。
理想気体の状態方程式を書くと?
pV = nRT
p:圧力、V:体積、n:物質量、R:気体定数、T:絶対温度。
気体定数 R の値は?(Pa・L・K・mol で表すと)
R = 8.3 × 10³ Pa·L/(K·mol)
標準状態(1.013 × 10⁵ Pa、273 K)で 1 mol が 22.4 L になることから求められる。
状態方程式の n を、質量 w と分子量 M で書き換えると?
pV = (w / M) RT
物質量 n = 質量 w ÷ モル質量 M を代入しただけ。
気体の分子量 M を求める式に直すと?
M = wRT / (pV)
質量・温度・圧力・体積を測れば分子量が出る(気体の分子量測定)。
気体の密度 d[g/L]から分子量を求める式は?
M = dRT / p
密度 d = w / V なので、上の式の w / V を d に置き換えたもの。
同温・同圧で体積が等しい気体には、どんな共通点がある?
分子の数(物質量)が等しい
アボガドロの法則。状態方程式で p・V・T が同じなら n も同じ、と読める。