反応速度を変える要因
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (2) ア (イ) ㋐「反応速度」。
内容の取扱いは「要因」について濃度、温度及び触媒の有無を扱うことを求めており、
解説は活性化エネルギーや触媒の利用例にも触れるとしている。
0. どういう論点か
速くする手は 3 つで、効き方の理由がそれぞれ違います。
| 要因 | 何が起きるか | 活性化エネルギー |
|---|---|---|
| 濃度を上げる | 衝突の回数が増える | 変わらない |
| 温度を上げる | 山を越えられる分子の割合が急に増える | 変わらない |
| 触媒を加える | 別の道すじを通れるようになる | 小さくなる |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 活性化エネルギーを下げるのは触媒だけ(温度は下げない。越えられる分子を増やすだけ)
- 触媒は反応の前後で変化しない(反応式には現れない)
- 触媒は反応エンタルピーを変えない(山が低くなるだけで、始点と終点の高さは同じ)
1. 濃度と温度
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋐
反応物の濃度を大きくすると、反応が速くなるのはなぜ?
単位時間あたりの衝突の回数が増えるから
活性化エネルギーが変わるわけではない。
固体が関わる反応で、固体を粉末にすると速くなるのはなぜ?
表面積が増えて、接触できる部分が増えるから
濃度を上げるのと同じく、衝突の機会を増やしている。
気体の反応で、圧力を高くすると速くなるのはなぜ?
押し縮められて濃度が大きくなるから
分子どうしの距離が近くなる。
温度を上げると反応が速くなるのはなぜ?
活性化エネルギー以上のエネルギーをもつ分子の割合が大きく増えるから
衝突の回数が増えるだけでは、この大きな変化は説明できない。
温度が 10 K 上がると反応速度はおよそ何倍になる?
2〜4 倍程度
分子のエネルギー分布の裾が大きく伸びるため、わずかな温度差で大きく変わる。
冷蔵庫に食品を入れると傷みにくいのは、どの要因によるか?
温度(低くすると反応速度が小さくなる)
腐敗も化学反応なので、同じ規則に従う。
2. 触媒
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋐
触媒とは?
それ自身は反応の前後で変化せず、反応速度を大きくする物質
繰り返し働くので、少量で足りる。
触媒が反応を速くする仕組みは?
活性化エネルギーの小さい、別の道すじを通れるようにするから
山を越えやすくするのであって、分子を押し上げるのではない。
触媒を加えると、反応エンタルピー ΔH はどうなる?
変わらない
始めと終わりの状態が同じなので、高さの差は変わらない。
過酸化水素の分解に使う代表的な触媒は?
酸化マンガン(Ⅳ)
生の肝臓(カタラーゼ)でも分解が速くなる。
反応物と均一に混じり合う触媒と、そうでない触媒をそれぞれ何という?
均一触媒と不均一触媒
固体の表面で働くものは不均一触媒。
生体内で働く触媒を何という?
酵素
特定の反応にしか働かず、温度や pH の影響を強く受ける。
酵素が高温で働かなくなるのはなぜ?
タンパク質が変性して、立体構造が壊れるから
ふつうの触媒と違い、温度を上げれば速くなるとは限らない。
3. アンモニアの工業的製法で確かめる
根拠: 学習指導要領 化学-(2)-ア-(イ)-㋐
ハーバー・ボッシュ法で使われる触媒は?
四酸化三鉄を主成分とする鉄触媒
窒素の N≡N を切るために欠かせない。
ハーバー・ボッシュ法が高温・高圧で行われるのはなぜ?
高圧は収率のため、高温は反応速度のため
温度を上げると収率は下がるので、速さとの兼ね合いで決めている。
接触法(硫酸の製造)で二酸化硫黄を酸化するときの触媒は?
酸化バナジウム(Ⅴ)
2SO₂ + O₂ → 2SO₃ の反応に使う。
オストワルト法(硝酸の製造)でアンモニアを酸化するときの触媒は?
白金
NH₃ を NO に変える段階で使う。