クロムとマンガン
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学」の内容 (3) ア (ア) ㋑「遷移元素」。
内容の取扱いは「クロム、マンガン、鉄、銅、亜鉛及び銀を扱うこと」を指定している。
0. どういう論点か
この 2 つは酸化剤として出てきます。化学基礎の酸化還元で使った過マンガン酸カリウムや
二クロム酸カリウムが、ここで「どの元素の、どの酸化数か」として整理し直されます。
| イオン | 色 | 酸化数 | 還元されると |
|---|---|---|---|
| MnO₄⁻(過マンガン酸) | 赤紫 | +7 | Mn²⁺(ほぼ無色) |
| Cr₂O₇²⁻(二クロム酸) | 赤橙 | +6 | Cr³⁺(緑) |
| CrO₄²⁻(クロム酸) | 黄 | +6 | — |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- クロム酸イオン(黄)と二クロム酸イオン(赤橙)は、液性で行き来する
- 過マンガン酸カリウムの滴定で指示薬が要らないのは、自分の色が消えるから
- クロム酸鉛(Ⅱ) は黄、クロム酸銀は赤褐、クロム酸バリウムは黄
1. クロム
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
クロムの単体の性質は?
銀白色で硬く、さびにくい
表面に緻密な酸化被膜ができるため。めっきやステンレス鋼に使う。
クロム酸イオンと二クロム酸イオンの色は?
クロム酸イオン CrO₄²⁻ は黄色、二クロム酸イオン Cr₂O₇²⁻ は赤橙色
どちらもクロムの酸化数は +6。
クロム酸イオンの水溶液に酸を加えるとどうなる?
二クロム酸イオンに変わる(黄 → 赤橙)
塩基を加えると逆にクロム酸イオンへ戻る。
二クロム酸カリウムが酸化剤として働くと、クロムは何に変わる?
クロム(Ⅲ)イオン Cr³⁺(緑色)
酸化数は +6 から +3 に下がる。
クロム酸イオンで沈殿する代表的な金属イオンと、その色は?
Ag⁺(赤褐)・Pb²⁺(黄)・Ba²⁺(黄)
沈殿の色で金属イオンを見分けられる。
2. マンガン
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
過マンガン酸カリウム水溶液の色と、マンガンの酸化数は?
赤紫色、酸化数は +7
強力な酸化剤。
硫酸酸性で過マンガン酸イオンが還元されると、何になる?
マンガン(Ⅱ)イオン Mn²⁺(ほぼ無色)
赤紫色が消えるので、滴定の終点が見える。
過マンガン酸カリウムを使う滴定で、指示薬が要らないのはなぜ?
過マンガン酸イオン自身の赤紫色が、終点で消えずに残るから
1 滴入れて色が残ったところが終点。
酸化マンガン(Ⅳ)の代表的な使い道は?
過酸化水素の分解の触媒、濃塩酸から塩素を作る酸化剤、乾電池の正極
黒色の固体。
マンガンの酸化数は、化合物によってどう変わる?
+2(Mn²⁺)・+4(MnO₂)・+7(MnO₄⁻)など複数をとる
遷移元素に共通する性質。
硫酸酸性にするとき、塩酸や硝酸を使わないのはなぜ?
塩酸は酸化されてしまい、硝酸自身が酸化剤として働くから
過マンガン酸カリウムの滴定では硫酸を使う。
3. 酸化剤としての使い方
根拠: 学習指導要領 化学-(3)-ア-(ア)-㋑
硫酸酸性の過マンガン酸カリウムの半反応式は?
MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
電子 5 個を受け取る強い酸化剤。
二クロム酸カリウムの半反応式(硫酸酸性)は?
Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O
電子 6 個を受け取る。
中性・塩基性で過マンガン酸イオンが還元されると何ができる?
酸化マンガン(Ⅳ)(黒褐色の沈殿)
酸性のときの Mn²⁺ とは違う。
クロムの化合物を扱うときに注意することは?
クロム(Ⅵ)の化合物は有毒で、廃液を適切に処理する必要がある
告示も観察・実験での廃棄物の適切な処理を求めている。