結晶と物質の性質
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学基礎」の内容 (2) ア (イ) の 3 つの小項目
(㋐ イオンとイオン結合・㋑ 分子と共有結合・㋒ 金属と金属結合)。
この単元のまとめとして、結合の種類と物質の性質の対応を横に並べる。
0. どういう論点か
共通テストで出るのはここです。 個々の結合を覚えたあと、
「この性質をもつのはどの結晶か」を逆に引けるようにします。
| イオン結晶 | 分子結晶 | 共有結合の結晶 | 金属結晶 | |
|---|---|---|---|---|
| 構成粒子 | 陽イオンと陰イオン | 分子 | 原子 | 原子(と自由電子) |
| 結合・力 | イオン結合 | 分子間力 | 共有結合 | 金属結合 |
| 融点 | 高い | 低い | 非常に高い | 高いものが多い |
| 硬さ | 硬いがもろい | やわらかい | 非常に硬い | 変形できる |
| 電気(固体) | 通さない | 通さない | 通さない(黒鉛は例外) | 通す |
| 電気(水溶液・融解) | 通す | — | — | — |
| 例 | NaCl・CaCO₃ | 氷・ドライアイス・ヨウ素 | ダイヤモンド・SiO₂ | Fe・Cu・Al |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 固体で電気を通すのは金属だけ(黒鉛を除く)
- 融点がとび抜けて低いのは分子結晶、とび抜けて高いのは共有結合の結晶
- 「硬い」と「もろい」は両立する(イオン結晶。硬さと割れやすさは別の性質)
1. 結晶の種類を言い当てる
根拠: 学習指導要領 化基-(2)-ア-(イ)-㋐、化基-(2)-ア-(イ)-㋑、化基-(2)-ア-(イ)-㋒
固体のままで電気を通す結晶は?
金属結晶(黒鉛も例外的に通す)
自由電子があるため。
固体では電気を通さないが、水に溶かすと通す結晶は?
イオン結晶
溶けてイオンが動けるようになると電気を運べる。
融点がとくに低く、やわらかい結晶は?
分子結晶
粒子を結び付けている分子間力が弱いため。
融点がとくに高く、非常に硬い結晶は?
共有結合の結晶
強い共有結合が結晶全体に広がっている。
硬いのに、たたくと割れやすい結晶は?
イオン結晶
ずれると同符号のイオンが接して反発するため。
たたいても割れず、広がる結晶は?
金属結晶
ずれても自由電子が結合を保つ(展性・延性)。
2. 結合の種類を組み合わせから決める
根拠: 学習指導要領 化基-(2)-ア-(イ)-㋐、化基-(2)-ア-(イ)-㋑、化基-(2)-ア-(イ)-㋒
金属元素と非金属元素からできた物質の結合は?
イオン結合
例: NaCl・CaO・MgCl₂。
非金属元素どうしからできた物質の結合は?
共有結合
例: H₂O・CO₂・NH₃・ダイヤモンド。
金属元素どうしからできた物質の結合は?
金属結合
例: Fe・Cu・合金。
組成式で書く物質と、分子式で書く物質はどう分かれる?
分子をつくらないもの(イオン結晶・金属・共有結合の結晶)は組成式、分子をつくるものは分子式
NaCl・Fe・SiO₂ は組成式、H₂O・CO₂ は分子式。
塩化ナトリウムの水溶液が電気を通し、砂糖水が通さないのはなぜ?
塩化ナトリウムは水中でイオンに電離するが、スクロース(砂糖)は分子のまま溶けるから
電離するものを電解質、しないものを非電解質という。
二酸化ケイ素 SiO₂ が石英や水晶として硬いのに、二酸化炭素 CO₂ が気体なのはなぜ?
SiO₂ は原子が共有結合で結晶全体につながっているが、CO₂ は分子で、分子どうしは弱い力で集まるだけだから
同じ「非金属どうしの共有結合」でも、結晶のつくりが違う。
3. 化学結合と身近な材料
根拠: 学習指導要領 化基-(2)-ア-(イ)-㋐、化基-(2)-ア-(イ)-㋑、化基-(2)-ア-(イ)-㋒
プラスチックが電気を通さず、軽くて成形しやすいのは、どんな構造だから?
分子(高分子)からできていて、分子どうしは弱い力で集まっているから
自由電子もイオンも動けないので電気を通さない。
ガラス(二酸化ケイ素を主成分とする)が硬く、熱に強いのはなぜ?
ケイ素と酸素が共有結合で網目状につながっているから
セラミックスが硬くて熱に強い理由も同じ。
食塩が水に溶けるのに、ダイヤモンドが溶けないのはなぜ?
食塩はイオンが水分子に囲まれて離れられるが、ダイヤモンドは全体が強い共有結合でつながっているから
結合の種類から溶けやすさまで言える。
材料を選ぶとき、化学結合を知っていると何が言えるようになる?
融点・硬さ・電気伝導性・水への溶けやすさを、その物質の結合から予想できる
性質を暗記するのではなく、結合から導く。