物質量とアボガドロ定数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「化学基礎」の内容 (3) ア (ア) ㋐「物質量」。
物質量と粒子数、質量、気体の体積との関係について理解することが求められている。
0. どういう論点か
原子や分子は小さすぎて 1 個ずつ数えられません。そこでまとめて数える単位を決めます。
それが物質量(単位 mol)です。
| 1 mol とは | 値 |
|---|---|
| 粒子の個数 | 約 6.0 × 10²³ 個(アボガドロ定数) |
考え方は「1 ダース = 12 個」と同じで、けたが大きいだけです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- mol は「量」ではなく「個数」の単位(質量ではない)
- 何の粒子の mol かを言わないと決まらない(水 1 mol と水素原子 1 mol は別)
- 1 mol の水 H₂O には、水素原子が 2 mol 含まれる(分子の mol と原子の mol は別)
1. 物質量という単位
根拠: 学習指導要領 化基-(3)-ア-(ア)-㋐
粒子の数をまとめて表すための単位は?その記号は?
物質量。単位の記号は mol(モル)
原子・分子・イオンなどの数を扱うために使う。
1 mol は何個の粒子の集まりか?
約 6.0 × 10²³ 個
この数をアボガドロ定数という。
アボガドロ定数の記号と意味は?
Nᴀ。1 mol あたりの粒子の個数(約 6.0 × 10²³ /mol)
単位が「/mol」であることに注意(個数そのものではなく、1 mol あたりの個数)。
物質量から粒子の数を出すには?
粒子の数 = 物質量[mol]× アボガドロ定数(6.0 × 10²³ /mol)
逆に、粒子の数をアボガドロ定数で割れば物質量になる。
「1 mol」と言うだけでは量が決まらないのはなぜ?
何の粒子が 1 mol なのかを言っていないから
水分子 1 mol と水素原子 1 mol では、質量も性質も違う。
2. 分子の mol と原子の mol
根拠: 学習指導要領 化基-(3)-ア-(ア)-㋐
水 H₂O が 1 mol あるとき、水素原子は何 mol 含まれる?
2 mol
1 分子に水素原子が 2 個あるため。酸素原子は 1 mol。
二酸化炭素 CO₂ が 2 mol あるとき、酸素原子は何 mol 含まれる?
4 mol
1 分子に酸素原子が 2 個なので、2 mol × 2 = 4 mol。
塩化ナトリウム NaCl が 1 mol あるとき、ナトリウムイオンと塩化物イオンはそれぞれ何 mol か?
どちらも 1 mol
組成式の比が 1 : 1 だから。分子ではなく、イオンの数の比で考える。
塩化カルシウム CaCl₂ が 1 mol 電離すると、イオンは合計何 mol できる?
3 mol(Ca²⁺ が 1 mol と Cl⁻ が 2 mol)
組成式の比がそのままイオンの数の比になる。
「分子の数」を聞かれているのか「原子の数」を聞かれているのかで答えが変わる。何を確かめればよい?
化学式の 1 単位に、その原子(イオン)がいくつ含まれているか
分子の mol に、化学式の数字をかける。
3. なぜ mol を使うのか
根拠: 学習指導要領 化基-(3)-ア-(ア)-㋐
化学で mol という単位を使う理由は?
目に見えない粒子の数を、はかれる量(質量・体積)と結び付けられるから
化学反応は粒子の数の比で進むので、数を扱える単位が必要になる。
物質量が、粒子数・質量・気体の体積のどれとも結び付けられるのはなぜ?
1 mol あたりの粒子数(アボガドロ定数)、1 mol あたりの質量(モル質量)、1 mol あたりの体積(標準状態で 22.4 L)がそれぞれ決まっているから
mol を中継点にすれば、どの量からどの量へも移れる。
質量から粒子の数を求めるとき、直接は求められない。どうするか?
いったん物質量[mol]に直してから、アボガドロ定数をかける
mol を経由するのが基本の手順。