選挙と政治参加
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「公共」B ア (イ) の「政治参加と公正な世論の形成」。内容の取扱いは、これを地方自治と関連させて扱い、
民主政治の推進における選挙の意義について指導するよう求めています。
年齢の数字は 2026-09-26 に e-Gov の公職選挙法(9 条・10 条)と突き合わせました。
0. 何を押さえるか
間接民主制(代議制)では、国民は選挙で代表者を選び、その代表者が議会で話し合って決めます。
選挙は、主権者の意思を政治に届けるいちばん基本の政治参加です。ただし参加は投票だけではなく、
政党・利益集団・住民運動・請願・意見の発信なども含まれます。
| 衆議院 | 参議院 | |
|---|---|---|
| 選挙制度 | 小選挙区比例代表並立制 | 選挙区選挙と比例代表選挙 |
| 比例代表の単位 | 全国を 11 のブロックに分ける | 全国を 1 つの単位とする |
| 比例代表の名簿 | 拘束名簿式(政党が順位を決める) | 非拘束名簿式(個人名の票が多い順。例外として特定枠) |
| 被選挙権 | 25 歳以上 | 30 歳以上 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 小選挙区制は大政党に有利で死票が多い、比例代表制は小政党も議席を得やすいが多党化しやすい
- 選挙権は 18 歳以上(2015 年の公職選挙法改正、2016 年施行)。被選挙権は 18 歳に下がっていない
- 世論はつくられることがある(メディアの伝え方・世論調査の聞き方で変わる)。公正な世論の形成には受け手の読み解く力が要る
1. 選挙の意義と原則
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
選挙の意義は、主権者が代表者を選ぶことで政治に正統性を与え、同時に、次の選挙で代表者を入れ替えられる(責任を問える)ことにあります。
近代の選挙は、次の 4 つの原則に立ちます。
| 原則 | 意味 | 反対のもの |
|---|---|---|
| 普通選挙 | 一定の年齢以上なら財産・性別などで制限しない | 制限選挙 |
| 平等選挙 | 1 人 1 票で、票の重みを等しくする | 等級選挙・複数投票 |
| 秘密選挙 | だれに投票したかを秘密にする | 公開投票 |
| 直接選挙 | 有権者が代表者を直接選ぶ | 間接選挙 |
選挙の 4 原則(普通・平等・秘密・直接)のうち、「財産や性別などで選挙権を制限しない」ものは?
普通選挙
日本で男子の普通選挙が実現したのは 1925 年、女性を含む普通選挙は 1945 年の法改正(翌 1946 年の総選挙で初めて実施)。
選挙区ごとの有権者数の差によって、1 票の価値に不平等が生じる問題を何という?
一票の格差
平等選挙の原則(法の下の平等)とぶつかるため、最高裁判所が「違憲状態」などと判断してきた。
日本で選挙権が 18 歳以上に引き下げられたのは、どの法律の改正による?
公職選挙法(2015 年改正、2016 年施行)
国政選挙・地方選挙とも 18 歳以上(公職選挙法 9 条)。憲法改正の国民投票も 18 歳以上。
公職選挙法が定める被選挙権の年齢で、30 歳以上なのはどれとどれ?
参議院議員と都道府県知事
衆議院議員・都道府県議会議員・市町村長・市町村議会議員は 25 歳以上(公職選挙法 10 条)。
2. 選挙制度
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
| 小選挙区制 | 大選挙区制 | 比例代表制 | |
|---|---|---|---|
| 1 区の当選者 | 1 人 | 2 人以上 | 政党の得票に比例 |
| 長所 | 二大政党になりやすく政権が安定する | 少数派も議席を得やすい | 民意を議席に正確に映す |
| 短所 | 死票が多い | 同じ党の候補が争う・小党分立 | 多党化して政権が不安定になりやすい |
落選した候補者に投じられ、議席に結びつかなかった票を何という? また、それが多くなりやすいのはどの選挙制度?
死票。小選挙区制で多くなりやすい
1 区から 1 人しか当選しないので、2 位以下に入れた票はすべて議席にならない。
衆議院議員の選挙制度(1994 年の改正で導入)を何という?
小選挙区比例代表並立制
小選挙区選挙と、全国を 11 ブロックに分けた比例代表選挙を組み合わせる。候補者は両方に重複して立候補できる。
比例代表選挙で、各政党の得票数を 1、2、3…で割り、商の大きい順に議席を配る方式を何という?
ドント式
衆議院・参議院の比例代表選挙で使われている。
参議院の比例代表選挙で、有権者が政党名か個人名で投票し、個人名の票が多い順に当選者が決まるしくみを何という?
非拘束名簿式
衆議院の比例代表は、政党があらかじめ順位を決める拘束名簿式。参議院には、政党が優先して当選させる「特定枠」を設けることもできる。
3. 政党と利益集団
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
政党は、政治についての考え方が近い人が集まり、政策を掲げて政権の獲得をめざす団体です。
選挙の前に政権公約(マニフェスト)を示し、有権者はそれを比べて投票できます。
政権を担う政党を与党、それ以外を野党といいます。
特定の利益の実現のために政府や政党に働きかけるが、自らは政権の獲得をめざさない団体を何という?
利益集団(圧力団体)
業界団体・労働組合など。政権獲得をめざす政党との違いがここ。
政党の政治資金の出入りを公開させ、企業・団体からの献金を制限している法律は?
政治資金規正法
あわせて、国が政党に交付金を出す政党助成法(1994 年)がある。
特定の支持政党を持たない有権者の層を何という?
無党派層
選挙ごとに投票先を変えることがあり、結果を大きく左右する。一方で投票に行かない人も多く、投票率の低下が課題とされる。
4. 世論とメディア
根拠: 学習指導要領 公共-B-ア-(イ)
世論は、社会の多くの人が共有する意見で、選挙のない時期にも政治を動かします。
学習指導要領が求めるのは公正な世論の形成です。そのためには、情報を受け取る側が、事実と意見を分け、
複数の情報源を比べ、だれが何の目的で発信しているかを確かめる必要があります。
新聞・テレビ・インターネットなどの情報を、うのみにせず主体的・批判的に読み解く力を何という?
メディア・リテラシー
公正な世論の形成には、受け手のこの力が欠かせない。
立法・行政・司法の三権に対して、報道機関(マスメディア)が「第四の権力」と呼ばれるのはなぜ?
世論の形成に大きな影響を与え、政治を監視・左右する力を持つから
報道の自由は権力の監視に役立つ一方、伝え方しだいで世論を一方向に誘導するおそれもある。
インターネットを使った選挙運動は 2013 年の公職選挙法改正で解禁されました(電子メールでの呼びかけは政党・候補者に限るなど、細かい制限があります)。
SNS では自分と同じ意見ばかりが目に入りやすく(エコーチェンバー)、偽情報も広がりやすいので、発信元を確かめることが大切です。