科学革命と経験論・合理論
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「倫理」A (1) ア (エ) の「真理,存在などに着目して,世界と人間の在り方について思索するための手掛かりとなる様々な世界観」。
内容の取扱いは、ここで「自然と人間との関わり,世界を捉える知の在り方など」を取り上げるよう求めています。
16〜17 世紀の科学革命は、自然を神の目的に満ちたものとして見る見方から、法則に従って動く機械として見る見方へと世界観を変えました。
その中で、確かな真理にどうやって到達するかをめぐって、経験を重んじるイギリス経験論と、理性を重んじる大陸合理論が生まれます。
0. 何を押さえるか
| イギリス経験論 | 大陸合理論 | |
|---|---|---|
| 知識の出どころ | 経験(感覚・観察) | 理性(生まれつき備わる観念) |
| 方法 | 帰納法(個々の事実から一般法則へ) | 演繹法(確実な原理から個々の結論へ) |
| 祖 | ベーコン | デカルト |
| 続く思想家 | ロック、バークリー、ヒューム | スピノザ、ライプニッツ |
| 主著(祖) | 『ノヴム・オルガヌム』 | 『方法序説』 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 帰納法はベーコン、演繹法はデカルト(向きが逆。帰納は個から一般へ、演繹は一般から個へ)
- 4 つのイドラのうち、市場のイドラは言葉、劇場のイドラは権威・学説から生じる思い込み
- タブラ・ラサ(白紙)はロック。デカルトは逆に、生まれつきの観念(生得観念)を認めた
1. 科学革命と機械論的自然観
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(エ)
中世には、自然の中の物はそれぞれ目的に向かって動くと考えられていました(目的論的自然観)。
科学革命は、観察と実験、そして数学によって自然を捉え直し、自然を法則に従う物体の運動として見る見方を広めました。
天動説に代えて、太陽を中心に地球などが回るとする地動説を唱えたポーランドの天文学者は?
コペルニクス
地動説はのちにケプラーの惑星運動の法則、ガリレイの観測によって支えられていった。
望遠鏡による観測や落体の実験を行い、自然は数学の言葉で書かれていると考えて地動説を支持したイタリアの科学者は?
ガリレイ(ガリレオ・ガリレイ)
地動説を支持したことで宗教裁判にかけられた。
自然を目的に向かって動くものとみる見方と、法則に従って動く機械のようなものとみる見方を、それぞれ何という?
目的に向かうもの: 目的論的自然観、法則に従う機械: 機械論的自然観
ニュートンが万有引力の法則で天体と地上の運動を統一的に説明したことで、機械論的自然観が確立した。
2. ベーコン — 経験論と帰納法
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(エ)
ベーコンは、学問の目的を、自然の仕組みを知ってそれを人間の生活に役立てることに置きました。
そのためには、頭の中の思い込みを取り除き、観察と実験から出発しなければならないと考えました。
「知は力なり」と述べ、自然を観察して得た知識によって自然を支配し、人間の生活を改善できると考えたイギリスの思想家は?
ベーコン(フランシス・ベーコン)
イギリス経験論の祖。主著『ノヴム・オルガヌム(新機関)』。
観察や実験で得た個々の事実を集め、そこから共通する一般法則を導く方法を何という? 唱えたのは誰?
帰納法、ベーコン
逆に、一般的な原理から個々の結論を導くのが演繹法(デカルト)。
ベーコンが、正しい認識を妨げる 4 つの思い込み(偏見)として挙げたものを何という? その 4 つは?
イドラ。種族のイドラ・洞窟のイドラ・市場のイドラ・劇場のイドラ
種族のイドラは人間という種に共通する思い込み(感覚の錯覚など)、洞窟のイドラは個人の性格や経験による狭い思い込み。
ベーコンのイドラのうち、言葉の不適切な使い方から生じる思い込みと、伝統的な学説や権威をうのみにすることから生じる思い込みは、それぞれどれか?
言葉から: 市場のイドラ、学説・権威から: 劇場のイドラ
市場は人が集まって言葉を交わす場所、劇場は作りものの舞台、という比喩。
3. デカルト — 合理論と演繹法
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(エ)
デカルトは、少しでも疑えるものはすべて疑い、それでも疑えない確実なものを見つけて、そこから学問を組み立てようとしました。
疑うことそのものは真理を得るための方法であり、疑いに終わる懐疑論とは違います。
確実な真理を見いだすために、少しでも疑わしいものをすべて疑ってみる、デカルトの方法を何という?
方法的懐疑
感覚も、数学の真理さえも疑ったうえで、それでも疑いえないものを探した。
すべてを疑っても、疑っている自分がいることだけは疑えない——デカルトが哲学の第一原理としたこの命題は? 主著は?
「われ思う、ゆえにわれあり」(コギト・エルゴ・スム)、主著『方法序説』
大陸合理論の祖とされる。確実な原理から推論で結論を導く演繹法を学問の方法とした。
デカルトが、世界を「考えること」を本質とするものと「延長(空間的な広がり)」を本質とするものに分けた考え方を何という?
物心二元論(心身二元論)
物体を延長だけを持つものとみることで、自然を機械的に捉える機械論的自然観を哲学の面から支えた。
4. 経験論と合理論の展開
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(エ)
経験論はロック、バークリー、ヒュームと進むにつれて、確実だと思われていたものを次々に疑い直していきました。
合理論の側では、スピノザやライプニッツが、理性によって世界全体を体系的に捉えようとしました。
人間の心は生まれたときには何も書かれていない白紙(タブラ・ラサ)で、観念はすべて経験から得られるとしたイギリスの思想家は?
ロック
デカルトが認めた生まれつきの観念(生得観念)を否定した。社会契約説の思想家でもある。
「存在するとは知覚されることである」と述べ、知覚から独立した物体の存在を否定したイギリス経験論の思想家は?
バークリー
物の存在も、心に知覚されている限りでしか確かめられないと考えた。
原因と結果の結びつき(因果関係)は、繰り返し経験したことから生じる心の習慣にすぎないとし、自我も「知覚の束」だとした思想家は?
ヒューム
経験論を徹底して懐疑論に至った。この問いはカントの批判哲学のきっかけになった。
「神即自然」と述べ、神と自然を同一のものとみて、万物を永遠の相のもとに捉えようとした合理論の思想家は?
スピノザ
同じ合理論のライプニッツは、世界は分割できない単位であるモナドからなり、その調和はあらかじめ神が定めたとした(予定調和)。