仏教の成立と展開
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「倫理」A (1) ア (イ) の「人生における宗教や芸術のもつ意義についても理解すること」。
内容の取扱いが名指しする「仏教」を、その背景になった古代インドの思想から、上座部仏教と大乗仏教への展開まで扱います。
0. 何を押さえるか
古代インドでは、生まれ変わりを繰り返す輪廻から抜け出すこと(解脱)が大きな課題でした。
ゴータマ・シッダッタ(ブッダ)は、苦しみの原因を自分の外ではなく、ものごとへの執着に見いだし、
縁起の理を悟ることで苦しみから解放されると説いたとされます。
| 中身 | |
|---|---|
| 背景 | バラモン教・ウパニシャッド哲学(梵我一如・輪廻・業) |
| 開祖 | ゴータマ・シッダッタ(ブッダ=目覚めた人) |
| 根本の理 | 縁起(すべては関係の中で生じ、滅びる) |
| 苦しみを越える道 | 四諦・八正道(快楽にも苦行にも偏らない中道) |
| 他者への態度 | 慈悲 |
| 展開 | 上座部仏教(阿羅漢)と大乗仏教(菩薩) |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 梵我一如はウパニシャッド、無我は仏教。仏教は、変わらない実体としての自我(アートマン)を認めない
- 四諦は真理、八正道は実践。四諦の 4 つめ(道諦)の中身が八正道
- 上座部の理想は阿羅漢、大乗の理想は菩薩。自分の悟りを目指すか、他者の救済を自分の悟りと一つにするか
1. 古代インドの思想
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
ブッダが生まれる前のインドでは、バラモン教の聖典ヴェーダをもとに、ウパニシャッド哲学が展開していました。
仏教は、この問題意識(輪廻からの解脱)を受け継ぎながら、答え方を大きく変えました。
ウパニシャッド哲学で説かれた、宇宙の根本原理ブラフマン(梵)と個人の本体アートマン(我)が一つであるという考えは?
梵我一如
これを悟ることで、輪廻から解放される(解脱する)とされた。
古代インドで、生きものは行為(業、カルマ)の善悪に応じて、死後も生まれ変わりを繰り返すとされた考えを何という?
輪廻(輪廻転生)
輪廻から抜け出すことを解脱という。
2. ブッダの教え
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
ブッダは、快楽におぼれる生活も、身体を痛めつける苦行も悟りには役立たないと知り、瞑想のうちに悟りを開いたとされます。
その教えは、苦しみの原因を明らかにし、それを取り除く道を示すものでした。
シャカ族の王子として生まれ、出家して悟りを開き、仏教を開いたとされる人物は?
ゴータマ・シッダッタ(ブッダ)
ブッダは「目覚めた人(悟った人)」の意味。
ブッダが説いた、快楽にも苦行にも偏らない修行のあり方を何という?
中道
具体的な中身が八正道である。
すべての事物は、他のものとの関係によって生じ、関係がなくなれば滅びるという、仏教の根本の理を何という?
縁起
それ自体で独立して存在し続けるものは無い、という考え。
「生・老・病・死」の 4 つの苦しみをまとめて何という?
四苦
これに、愛する者と別れる苦しみなど 4 つを加えて四苦八苦という。
すべてのものは移り変わり、とどまることがない、という仏教の教えを何という?
諸行無常
無常のものに執着するから苦しむ、とされる。
永遠に変わらない実体としての自分(我)はどこにも無い、という仏教の教えを何という?
諸法無我
ウパニシャッド哲学のアートマン(我)を認めない点で、梵我一如と対立する。
ブッダが説いた 4 つの真理(四諦)は?
苦諦・集諦・滅諦・道諦
人生は苦である(苦)、苦の原因は執着(煩悩)である(集)、執着を断てば苦は滅する(滅)、そのための道がある(道)。
四諦のうち道諦の中身とされる、悟りに至る 8 つの正しい実践を何という?
八正道
正見・正思・正語・正業・正命・正精進・正念・正定。
仏教で、生きとし生けるものに楽を与え(慈)、苦しみを取り除く(悲)心を何という?
慈悲
縁起を悟れば、自分と他者は切り離せないので、他者の苦しみを自分のこととして受け止める心が生まれるとされる。
3. 上座部仏教と大乗仏教
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
ブッダの死後、教えの解釈をめぐって教団が分かれました。出家者の修行を重んじる流れはスリランカや東南アジアへ、
在家の人々を含めた広い救済を目指す流れは中国・朝鮮・日本へ伝わりました。
上座部仏教と大乗仏教が、それぞれ理想とした人間像は?
上座部 阿羅漢、大乗 菩薩
阿羅漢は修行を完成させた聖者。菩薩は、悟りを求めながら他者の救済に努める者。
大乗仏教で菩薩が行うべきとされた 6 つの修行を何という?
六波羅蜜
布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧。
すべてのものには固定した実体が無いという「空」の思想を理論づけた、大乗仏教の思想家は?
ナーガールジュナ(竜樹)
縁起を、実体が無いこと(空)として深めた。
すべての存在は心の働きが生み出したものだとする唯識の思想を説いた兄弟は?
無着(アサンガ)と世親(ヴァスバンドゥ)
ナーガールジュナの空の思想と並ぶ、大乗仏教の二大思想とされる。