人格・感情・認知の心理学
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「倫理」A (1) ア (ア) の「個性,感情,認知,発達などに着目して,…様々な人間の心の在り方について理解すること」。
内容の取扱いは、人格・感情・認知・発達についての心理学の考え方にも触れるよう求めています。
このノートは、人格(パーソナリティ)の捉え方、感情のしくみ、記憶・学習・認知のはたらきを扱います。
0. 何を押さえるか
一人一人の違い(個性)を心理学は「人格(パーソナリティ)」として捉えます。捉え方は大きく 2 つに分かれます。
| 類型論 | 特性論 | |
|---|---|---|
| 考え方 | 人をいくつかの典型的な型に分ける | 人が共通に持つ特性の強弱の組み合わせで表す |
| 代表 | クレッチマー、ユング、シュプランガー | ビッグ・ファイブ(5 因子) |
| 長所と短所 | 全体像がつかみやすいが、型に当てはまらない人を捉えにくい | 細かく表せるが、全体像がつかみにくい |
類型論の 3 人は、何で分けたかで区別します。
| 人 | 何で分けたか | 型 |
|---|---|---|
| クレッチマー | 体格と気質 | 細長型・肥満型・闘士型 |
| ユング | 心のエネルギーの向かう先 | 内向型・外向型 |
| シュプランガー | 何に価値を置くか | 理論型・経済型・審美型・社会型・権力型・宗教型 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- 体格のクレッチマー、内向・外向のユング、価値のシュプランガー
- 古典的条件づけ(パブロフ)は刺激と反応の結びつき、オペラント条件づけ(スキナー)は自発的な行動とその結果の結びつき
- ジェームズ=ランゲ説は「泣くから悲しい」(体の反応が先)、キャノン=バード説は体の反応と感情が同時に起こるとする
1. 人格と個性
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(ア)
人格(パーソナリティ)は、その人らしい考え方・感じ方・行動のしかたのまとまりで、
生まれつきの要素(遺伝)と、育ちや経験(環境)の両方が関わってできていくとされます。
人格(パーソナリティ)を形づくる要素として挙げられる 3 つは?
能力・気質・性格
気質は生まれつきの感情的な傾向、性格は経験の中で形づくられる行動の傾向を指すことが多い。
体格と気質の結びつきに注目し、細長型・肥満型・闘士型に人を分けた精神医学者は?
クレッチマー
細長型は分裂気質(非社交的・敏感)、肥満型は躁うつ気質(社交的・気分の波)、闘士型は粘着気質(几帳面・頑固)と結びつけた。
心のエネルギー(関心)が自分の内側に向かうか外の世界に向かうかで、人を内向型と外向型に分けた心理学者は?
ユング
フロイトの弟子だったが、のちに離れた。個人を超えた集合的無意識の考えでも知られる。
人が何に最も価値を置くかによって、理論型・経済型・審美型・社会型・権力型・宗教型の 6 つに分けたのは誰か?
シュプランガー
価値の置き方で分けるので、生き方の類型とも呼ばれる。
人格を、外向性・協調性・誠実性(勤勉性)・神経症傾向(情緒不安定性)・開放性の 5 つの特性の強弱で表す考え方を何という?
ビッグ・ファイブ(5 因子モデル)
人を型に分けるのではなく、特性の組み合わせで表す特性論の代表。
2. 感情
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(ア)
感情は、出来事に対して起こる心と体の反応で、危険を避けたり人と関わったりするのに役立ちます。
体の変化と感じる気持ちのどちらが先か、をめぐって説が分かれてきました。
「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」と、体の反応が先に起こり、それを感じ取ることが感情だとした説は?
ジェームズ=ランゲ説
これに対し、脳(視床)の活動によって体の反応と感情が同時に起こるとしたのがキャノン=バード説。
喜び・怒り・悲しみ・恐れ・嫌悪・驚きのような、文化が違っても表情で見分けられるとされる感情を研究し、表情の普遍性を唱えた心理学者は?
エクマン
こうした基本的な感情は、人類に共通する生物としての基盤を持つとした。
3. 記憶・学習・認知
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(ア)
認知とは、ものを見て、覚え、考え、判断する心のはたらきのことです。
心理学は、記憶や学習のしくみ、判断のくせを実験によって調べてきました。
記憶を、情報が保たれる時間の長さで 3 つに分けると?
感覚記憶・短期記憶・長期記憶
短期記憶に一度に保てるのは「7±2」程度のまとまりだとされる(ミラー)。くり返して覚えることで長期記憶に移る。
ベルの音を聞かせてから餌を与えることをくり返すと、犬がベルの音だけで唾液を出すようになる——このように刺激と反応が結びつく学習を何という? 実験したのは誰か?
古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)、パブロフ
もともと関係のなかった刺激(ベルの音)が、反応を引き起こすようになる。
レバーを押すと餌が出る箱に入れたネズミが、レバーを押す回数を増やすように、自発的な行動が報酬によって強められる学習を何という? 研究したのは誰か?
オペラント条件づけ(道具的条件づけ)、スキナー
行動の結果(報酬や罰)によって、その行動が増えたり減ったりする。
自分の考えに合う情報ばかり集め、合わない情報を軽く見てしまう認知の偏りを何という?
確証バイアス
人の判断は常に合理的とは限らず、経験則に頼った素早い判断(ヒューリスティック)がこうした偏りを生むことがある。
自分が何を知っていて何を知らないか、自分の考え方がどうはたらいているかを、一段上から捉えて調整するはたらきを何という?
メタ認知
学習の方法を見直したり、自分の思い込みに気づいたりするのに役立つ。
新しい問題を解く力のように年齢とともに衰えやすい知能と、経験や知識の蓄積によって高齢になっても伸び続けうる知能を、それぞれ何という?
衰えやすい知能 = 流動性知能、伸び続けうる知能 = 結晶性知能
キャッテルが区別した。老年期にも発達は続く、という見方の根拠の 1 つ。