プラトンとアリストテレス
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領「倫理」A (1) ア (イ) の「幸福,愛,徳などに着目して,人間としての在り方生き方について思索するための手掛かりとなる様々な人生観について理解すること」。
このノートは、ソクラテスの弟子プラトンと、その弟子アリストテレスを扱います。どちらも「善く生きるとは何か」を、
プラトンは現実を超えたイデアの側から、アリストテレスは現実の個物と人間の営みの側から考えました
(ソクラテスは ギリシアの自然哲学とソクラテス)。
0. 何を押さえるか
2 人の違いは、「本当に存在するもの」をどこに見るかにあります。
| プラトン | アリストテレス | |
|---|---|---|
| 本当に存在するもの | 感覚を超えたイデアの世界 | 目の前の個物(形相と質料が一体になったもの) |
| 愛・徳の考え | エロース(イデアへのあこがれ)、四元徳 | 知性的徳と習性的徳(倫理的徳)、中庸 |
| 幸福 | 魂の 3 部分が調和した正しい生 | 人間固有の能力(理性)を発揮すること、観想的生活 |
| 国家 | 哲人政治 | 「人間はポリス的動物」、友愛と正義 |
| 学園・主著 | アカデメイア、『国家』 | リュケイオン、『ニコマコス倫理学』 |
取り違えやすい分かれ目は次の 3 つ。
- イデアは現実の外(プラトン)、形相は個物の中(アリストテレス)
- 四元徳(知恵・勇気・節制・正義)はプラトン、中庸はアリストテレス
- アリストテレスの配分的正義は「能力や働きに応じて配る」、調整的正義は「損得を等しく均す」
1. プラトン — イデアとエロース
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
プラトンは、感覚でとらえる世界は移り変わる不完全な影にすぎず、その本当の姿は理性によってのみとらえられるイデアの世界にあると考えました。
プラトンが、感覚ではなく理性によってのみとらえられる、永遠に変わらないものの真の姿を何と呼んだ? その中で最高のものは?
イデア、最高のものは善のイデア
現実の美しい花や正しい行いは、美そのもの・正義そのもののイデアを分け持つことで成り立つとした。
洞窟の奥で壁に映る影だけを見て、それを本物だと思い込んでいる囚人のたとえで、プラトンは何を示そうとしたか?
感覚でとらえる世界は影にすぎず、真の実在はイデアの世界にあること
囚人が洞窟を出て太陽(善のイデア)を見るように、魂を真の実在へ向け変えることが哲学だとした(洞窟の比喩)。
プラトンが、魂は生まれる前にイデアの世界を見ていて、学ぶとはそれを思い出すことだとした考えを何という?
想起説(アナムネーシス)
感覚でとらえた不完全なものをきっかけに、魂がかつて見たイデアを思い出す、とした。
プラトンが、魂が完全なイデアの世界にあこがれ、それを求める情熱的な愛を何と呼んだ?
エロース
キリスト教の神の無償の愛(アガペー)とは区別される。
プラトンが魂を 3 つの部分に分け、それぞれが徳を持ち全体が調和したときに正義の徳が生まれるとした。3 つの部分と、それぞれの徳は?
理性 = 知恵、気概 = 勇気、欲望 = 節制。全体の調和 = 正義
この 4 つをまとめて四元徳という。
プラトンが『国家』で理想とした、善のイデアを知る哲学者が国を治めるべきだという考えを何という?
哲人政治
魂の 3 部分に対応して、国家も統治者(知恵)・防衛者(勇気)・生産者(節制)の 3 つの階級が調和するときに正義が実現するとした。
2. アリストテレス — 現実の中の本質
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
アリストテレスは、プラトンのイデア論を批判し、ものの本質は現実を離れたところではなく、個々のものの中にあると考えました。
アリストテレスが、個々のものは、そのものの本質である○○と、素材である△△とが結びついてできているとした。○○と△△は?
○○ = 形相(エイドス)、△△ = 質料(ヒュレー)
プラトンのイデアが現実の外にあるのに対し、形相は個物の中にある、という点が対比される。
アリストテレスが徳を 2 つに分けたとき、教育によって身につく知恵や思慮などの徳と、よい行いをくり返す習慣によって身につく勇気や節制などの徳を、それぞれ何という?
教育で身につく徳 = 知性的徳、習慣で身につく徳 = 習性的徳(倫理的徳)
習性的徳を正しく選ぶためにはたらく知性的徳が思慮(フロネーシス)。
アリストテレスが、習性的徳(倫理的徳)とは、過剰と不足という両極端を避けた、ちょうどよいところを選ぶことだとした。これを何という?
中庸(メソテース)
たとえば勇気は、無謀(過剰)と臆病(不足)の中間にある。
アリストテレスは、人間にとっての最高善である幸福(エウダイモニア)を、どのようなものとしたか?
人間に固有の能力である理性を十分に発揮して生きること。中でも最高の幸福は、理性によって真理を眺める観想(テオーリア)の生活
人間だけが持つ能力を実現することを幸福と見る点で、自己実現の思想の源流ともいわれる。
3. アリストテレス — ポリスの中の人間
根拠: 学習指導要領 倫理-A-(1)-ア-(イ)
アリストテレスは、人間は一人では完成せず、ポリス(共同体)の中で他者と関わって初めてよく生きられると考え、正義と友愛を重んじました。
「人間はポリス的(社会的)動物である」と述べ、人間は共同体の中でこそ本来のあり方を実現できるとした哲学者は?
アリストテレス
共同体を結びつける力として、正義とともに友愛(フィリア)を重んじた。
アリストテレスが部分的正義を 2 つに分けたとき、名誉や財貨を各人の能力や働きに応じて分け与える正義と、取引や裁判で損得が等しくなるよう均す正義を、それぞれ何という?
能力・働きに応じて配る = 配分的正義、損得を等しく均す = 調整的正義
法を守ることを広く正義と呼ぶ全体的正義と、この 2 つの部分的正義に分けた。