日本の工業
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 地理的分野 C「日本の様々な地域」(2)「日本の地域的特色と地域区分」ア (ウ)「日本の資源・エネルギーと産業に関する特色」。
0. どういう論点か
資源が少ない日本は、原料を輸入して製品をつくり、それを輸出する(加工貿易)ことで工業を伸ばしてきました。
原料を船で受け取り、製品を船で送り出すには港が要るので、工場は太平洋側の臨海部に帯のように集まりました。
その後、軽くて高価な製品(電子部品など)が増えると、船でなくトラックや飛行機で運べるので、
高速道路や空港の近くの内陸にも工場が広がりました。さらに賃金の安い海外へ工場が移ると、国内の工場が減る問題も起きています。
「何を運ぶか」が変わると「どこに工場を置くか」が変わる、という流れで見てください。
| 工業地帯・地域 | 特色(順位ではなく性格で覚える) |
|---|---|
| 京浜 | 首都に情報が集まるので印刷業も盛ん |
| 中京 | 自動車を中心とする機械工業 |
| 阪神 | 中小工場が多く、金属・化学の割合が比較的高い |
| 北九州 | 八幡製鉄所から鉄鋼業で発展したが、地位が下がった |
| 瀬戸内・京葉 | 石油化学コンビナート |
| 北関東 | 高速道路沿いの内陸の工業団地 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 臨海部に集まるのは重く大きい原料を船で運ぶ工業、内陸に広がったのは軽く高価な製品の工業
- 現地生産のきっかけは貿易摩擦、アジアへの移転の理由は安い賃金
- 産業の空洞化は「国内の」生産や雇用が減ること
1. 加工貿易と太平洋ベルト
根拠: 学習指導要領 地-C-(2)-ア-(ウ)
原料や燃料を輸入し、それを工業製品に加工して輸出する貿易を何という?
加工貿易
資源の少ない日本が工業を発展させてきた方法。近年は製品の輸入も増えている。
高度経済成長期に日本の工業の中心となった、鉄鋼・石油化学・機械などの工業をまとめて何という?
重化学工業
それ以前は、せんい工業などの軽工業が中心だった。
関東地方から九州地方北部にかけて、太平洋側を中心に帯のように連なる工業地帯・地域を何という?
太平洋ベルト
日本の人口と工業が特に集中している。
太平洋ベルトに工業が集まったのはなぜか?
臨海部で原料の輸入や製品の輸出に便利で、平野が広く人口(働き手と消費者)が多いから
埋め立て地に大きな工場を建てやすかったことも理由の一つ。
2. 主な工業地帯・地域
根拠: 学習指導要領 地-C-(2)-ア-(ウ)
主な工業地帯・地域の生産額の順位は年によって入れ替わるので、ここではそれぞれの性格を覚えます。
自動車を中心とする機械工業が特に盛んな、愛知県・三重県に広がる工業地帯は?
中京工業地帯
愛知県豊田市などに自動車工場と関連工場が集まる。
東京都・神奈川県に広がり、情報が集まる首都を中心にしているため印刷業も盛んな工業地帯は?
京浜工業地帯
近年は工場がまわりの地域へ移り、京葉や北関東に広がっている。
大阪府・兵庫県に広がり、中小工場が多く、金属工業や化学工業の割合が比較的高い工業地帯は?
阪神工業地帯
臨海部の埋め立て地に大工場、内陸に中小工場が集まる。
官営の八幡製鉄所をもとに鉄鋼業で発展したが、その後地位が下がった工業地帯(地域)は?
北九州工業地帯(地域)
近くの炭田の石炭と中国から輸入した鉄鉱石を使って発展した。エネルギーの中心が石炭から石油へ移ったことなどで伸び悩んだ。
石油を精製する工場と、その製品を原料とする工場が、パイプラインで結ばれて集まったものを何という?
石油化学コンビナート
瀬戸内工業地域(岡山県倉敷市の水島地区など)や京葉工業地域に見られる。
高速道路が整備され、内陸に工業団地が進出して発展した関東地方の工業地域は?
北関東工業地域
臨海部でなくても、高速道路でトラックを使って製品を運べるようになった。
3. 工業の変化
根拠: 学習指導要領 地-C-(2)-ア-(ウ)
IC(集積回路)の工場が、空港や高速道路の近くに多いのはなぜか?
IC は小さく軽いわりに値段が高いので、航空機やトラックで運んでも採算が合うから
九州地方には IC 工場が多く集まった。重い原料を使う工業が臨海部に集まるのとは逆。
1980 年代、日本の自動車会社などがアメリカやヨーロッパで工場を建てて生産するようになったのはなぜか?
輸出が増えすぎて起きた貿易摩擦を避けるため
販売する国で生産することを現地生産という。
日本の多くの企業が、中国や東南アジアなどに工場を移したのはなぜか?
賃金(人件費)が安く、製品を安くつくれるから
成長するアジアの市場に近いことも理由になっている。
工場が海外に移ることで、国内の生産や雇用が減っていくことを何という?
産業の空洞化
工場がなくなった地域では、働く場所が減ったり関連する中小工場が影響を受けたりする。