平等権と共生社会
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 公民的分野 C 私たちと政治 (1) 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 ア (ア)「基本的人権を中心とした人間の尊重についての考え方と法の意義」。
0. どういう論点か
基本的人権の出発点は、一人一人をかけがえのない個人として尊重すること(13 条)です。
だれもが同じように尊重されるなら、生まれや性別で扱いを変えてはいけない——これが法の下の平等(14 条)です。
ところが、憲法に平等と書くだけでは差別はなくなりませんでした。
そこで、差別を受けてきた人々ごとに法律を作って具体的に守ることが続いてきました。
このノートでは「どの差別に・どの法律が」の組を覚えます。
| 対象 | 法律・条約 | 分かれ目 |
|---|---|---|
| 女性 | 男女雇用機会均等法(1985 年) | 職場での性別による差別を禁止 |
| 女性 | 男女共同参画社会基本法(1999 年) | 社会のあらゆる分野に男女が対等に参画 |
| 被差別部落の人々 | 部落差別解消推進法(2016 年) | 部落差別の解消を国と地方の責務とした |
| アイヌの人々 | アイヌ施策推進法(2019 年) | 法律で初めて先住民族と明記 |
| 障害のある人 | 障害者差別解消法(2013 年成立) | 障害を理由とする差別の解消 |
| 在日外国人など | ヘイトスピーチ解消法(2016 年) | 出身を理由に排除をあおる言動の解消 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 均等法は「職場」、共同参画社会基本法は「社会全体」(年も 1985 年と 1999 年で違う)
- アイヌの人々を先住民族と明記したのはアイヌ施策推進法(2019 年)(1997 年のアイヌ文化振興法ではない)
- バリアフリーは「あとから障壁を取り除く」、ユニバーサルデザインは「はじめから誰でも使える形にする」
1. 個人の尊重と法の下の平等
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
日本国憲法で、すべて国民は「個人として尊重される」と定め、基本的人権の土台となっている条は?
13 条
生命・自由・幸福追求の権利も同じ条に書かれている。
すべて国民は法の下に平等であり、人種・信条・性別・社会的身分・門地によって差別されないと定めた条は?
14 条(法の下の平等)
平等権の中心になる条文。
結婚は両性の合意のみに基づいて成立し、家族に関する法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立って定めると規定した条は?
24 条
大日本帝国憲法のもとでは、家の中で戸主の権限が強く、女性の地位は低く置かれていた。
2. 男女の平等
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
1979 年に国際連合で採択され、日本が 1985 年に批准した、女性への差別をなくすための条約は?
女子差別撤廃条約
批准に合わせて、日本は国内の法律を整えた(男女雇用機会均等法など)。
1985 年に制定され、募集・採用や昇進などの職場での性別による差別を禁止した法律は?
男女雇用機会均等法
対象は「雇用」。社会全体での男女の対等を定めた法律と区別する。
1999 年に制定され、男女が対等な立場で社会のあらゆる分野の活動に参画する社会をつくることを定めた法律は?
男女共同参画社会基本法
職場に限らない点が、男女雇用機会均等法との違い。
3. 部落差別・アイヌの人々・在日外国人
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
部落差別は、江戸時代の身分制度にもとづく差別が、身分制度が廃止されたあとも結婚や就職などで続いてきた問題です。
1922 年には差別からの解放をめざして全国水平社が結成され、戦後は 1965 年の同和対策審議会答申で、差別をなくすことが国の責務とされました。
在日韓国・朝鮮人の人々には、日本が朝鮮半島を植民地にしていた時代に日本へ移り住んだ人々とその子孫が多く、就職などでの差別が問題になってきました。
部落差別の解消を国や地方公共団体の責務とし、2016 年に制定された法律は?
部落差別解消推進法
差別が現在も存在することを法律で認めたうえで、相談体制や教育・啓発を進めることを定めた。
2019 年に制定され、アイヌの人々を法律で初めて先住民族と明記した法律は?
アイヌ施策推進法(アイヌ民族支援法)
1997 年のアイヌ文化振興法(アイヌ文化の振興が目的)に代わる法律。
特定の民族や国籍の人々を地域から排除するようあおる差別的な言動を何という?
ヘイトスピーチ
2016 年にヘイトスピーチ解消法が制定された。
4. 障害のある人と共生社会
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
段差をなくしてスロープをつけるなど、高齢者や障害のある人の生活のさまたげになるものを取り除くことを何という?
バリアフリー
いまある障壁を取り除く考え。はじめから誰でも使える形にするユニバーサルデザインと区別する。
年齢・障害の有無・国籍などに関係なく、はじめから誰もが使いやすいように製品や施設をデザインする考えを何という?
ユニバーサルデザイン
例: 押しやすい大きなボタン、絵で示す案内表示(ピクトグラム)。
障害のある人もない人も分け隔てなく、同じ場でともに学び、働き、暮らすことをめざす考えを何という?
インクルージョン
学校では、障害のある子どもとない子どもがともに学ぶインクルーシブ教育が進められている。
障害の有無・性別・民族・国籍などのちがいにかかわらず、誰もが互いを尊重し、支え合って暮らす社会を何という?
共生社会
平等権は、差別をしないことにとどまらず、こうした社会をつくっていく土台になる。