自由権と社会権
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 公民的分野 C 私たちと政治 (1) 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則 ア (ア)「基本的人権を中心とした人間の尊重についての考え方と法の意義」。
0. どういう論点か
自由権と社会権は、国家との向き合い方が逆です。
自由権は、国家に「口を出させない」権利です。18 世紀の市民革命のころ、王や国家が人々の心や体、財産に干渉するのを止めるために勝ち取られました。
社会権は、国家に「手を差しのべさせる」権利です。20 世紀になり、自由に任せるだけでは貧困や失業から人を守れないとわかって、国家に人間らしい生活の保障を求めるようになりました。
| 自由権 | 社会権 | |
|---|---|---|
| 国家に求めること | 干渉しないこと(国家からの自由) | 積極的に保障すること(国家による自由) |
| 生まれた時代 | 18 世紀(市民革命) | 20 世紀(ワイマール憲法 1919 年) |
| 日本国憲法の例 | 思想・良心の自由、職業選択の自由 | 生存権、教育を受ける権利 |
自由権の 3 分類も「何を国家から守るか」で分けると入れ替わりません。
| 分類 | 守るもの | 主な権利 |
|---|---|---|
| 精神の自由 | 心・考え | 思想・良心(19 条)、信教(20 条)、集会・結社・表現(21 条)、学問(23 条) |
| 身体の自由 | 体 | 奴隷的拘束・苦役からの自由(18 条)、法定手続の保障(31 条)、拷問の禁止(36 条) |
| 経済活動の自由 | お金・仕事 | 居住・移転・職業選択(22 条)、財産権(29 条) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 職業選択の自由は「経済活動の自由」(精神の自由ではない)
- 生存権は 25 条・社会権(自由権ではない。「健康で文化的な最低限度の生活」)
- 労働基本権(労働三権)は団結権・団体交渉権・団体行動権(勤労の権利 27 条とは別の 28 条)
1. 精神の自由
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
自由権は、守るものによって 3 つに分けられる。その 3 つは?
精神の自由・身体の自由・経済活動の自由
心・体・お金と仕事、と覚えると分けやすい。
どのような宗教を信じても信じなくてもよい自由と、国が宗教的活動をしてはならないことを定めた条は?
20 条(信教の自由・政教分離)
国家と宗教を切り離すことを政教分離という。
集会・結社・言論・出版などの表現の自由を保障し、検閲を禁止している条は?
21 条
国などが発表前に内容を調べて禁止する検閲は、してはならない。通信の秘密も同じ条で守られる。
2. 身体の自由
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
法律の定める手続きによらなければ、生命や自由を奪われたり刑罰を科されたりしないと定めた条は?
31 条(法定手続の保障)
身体の自由の中心。捜査や裁判は法律の手続きに従って行わなければならない。
現行犯の場合を除き、逮捕するときに必要なものは?
裁判官が出す令状
警察が自分の判断だけで人を逮捕できないようにするしくみ(33 条)。
取り調べや裁判で、自分に不利益なことは話さなくてよい権利を何という?
黙秘権
無理に自白させることを防ぐ。拷問や残虐な刑罰も絶対に禁止されている(36 条)。
3. 経済活動の自由
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
住む場所や移り住む先、つく職業を自由に選べることを定めた条は?それは自由権のどの分類?
22 条・経済活動の自由
居住・移転・職業選択の自由。心の自由(精神の自由)と取り違えやすい。
自分の財産を持ち、使うことを保障した権利と、その条は?
財産権・29 条
経済活動の自由の一つ。公共のために使うときは正当な補償が必要とされる。
4. 社会権
根拠: 学習指導要領 公-C-(1)-ア-(ア)
日本国憲法 25 条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を何という?
生存権
社会権の中心。これを具体化する制度の一つが生活保護。
すべての国民が、能力に応じてひとしく教育を受けられる権利を定めた条は?
26 条(教育を受ける権利)
義務教育は無償と定められている。
働く意思と能力のある人が、働く機会を求めることのできる権利を何という?また何条?
勤労の権利・27 条
同じ条で、勤労は国民の義務でもあるとされる。
日本国憲法 28 条が保障する労働基本権(労働三権)の 3 つは?
団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)
労働者が労働組合をつくり、使用者と対等に交渉するための権利。
自由権と社会権は、国家に何を求める権利かでどう違う?
自由権=国家に干渉しないことを求める(国家からの自由)
社会権=国家に生活の保障を求める(国家による自由)
自由権は 18 世紀の市民革命、社会権は 20 世紀のワイマール憲法から広がった。