間違えやすい敬語
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
敬語の誤りは、ほとんどが次の 4 つの形のどれかです。
| 誤りの形 | 誤りの例 | 正しい言い方 |
|---|---|---|
| 身内を外の人の前で高める | (客に)お父さんがいらっしゃいます | 父がおります |
| 相手の動作に謙譲語を使う | 先生が申された/拝見してください | 先生がおっしゃった/ご覧ください |
| 同じ種類の敬語を重ねる(二重敬語) | おっしゃられる/ご覧になられる | おっしゃる/ご覧になる |
| 「〜させていただく」の使い過ぎ・誤り | 読まさせていただきます | 読ませていただきます |
分かれ目は次の 3 つ。
- 高めるかどうかは「内」か「外」かで決まる。自分の家族・自分の会社の人は、外の人に対しては「内」なので高めない。
- 相手の動作に謙譲語を使うと、相手を低めることになる。まず動作をするのが誰かを見る。
- 1 つの動詞に敬語は 1 つ。特別な形の尊敬語(おっしゃる)に、さらに「れる・られる」をつけない。
1. 身内のことを外の人に話すとき
根拠: 学習指導要領 国3-(1)-エ
家の外の人や、会社の外の人と話すときは、自分の家族や自分の会社の人は自分の側(内)として扱います。
たとえ目上の人でも、外の人の前では尊敬語を使わず、謙譲語で言います。
先生と話すとき、自分の父の動作は尊敬語と謙譲語のどちらで言うか?
謙譲語。父は自分の側(身内)なので高めない。
(例)× 父がそうおっしゃっていました → ○ 父がそう申しておりました。
先生や近所の人に自分の母のことを話すとき、何と呼ぶか?
母。「お母さん」「母さん」とは言わない。
父なら「父」、兄なら「兄」。
会社の人が取引先の人に、自分の会社の社長のことを話すとき、呼び方と動作の言い方はどうするか?
「山田社長」「山田さん」とは呼ばず(社長の山田は/山田は)、動作は謙譲語で言う。
(例)社長の山田は、ただいま外出しております。
2. 尊敬語と謙譲語の取り違え
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-カ
相手の動作に謙譲語を使うのが、いちばん多い誤りです。謙譲語は自分の動作にしか使えません。
「先生が申されたとおりにします。」の誤りを直すと?
先生がおっしゃったとおりにします。
「申す」は謙譲語なので、先生の動作には使えない。尊敬の「れる」をつけても尊敬語にはならない。
お客様に作品を見てもらうとき、「どうぞ拝見してください。」の誤りを直すと?
どうぞご覧ください。
「拝見する」は謙譲語。見るのはお客様なので、尊敬語「ご覧になる」を使う。
お客様に「冷めないうちにいただいてください。」と言うのはなぜ誤りか。直すと?
「いただく」は謙譲語で、食べるのはお客様だから。冷めないうちに召し上がってください。
お客様に「分からないことは受付で伺ってください。」と言うのはなぜ誤りか。直すと?
「伺う」は謙譲語で、聞くのはお客様だから。受付でお尋ねください(お聞きください)。
「校長先生が参られました。」の誤りを直すと?
校長先生がいらっしゃいました(お見えになりました)。
「参る」は謙譲語なので、校長先生の動作には使えない。
3. 二重敬語と「〜させていただく」
根拠: 学習指導要領 国3-(1)-エ
丁寧にしようとして敬語を重ねると、かえって誤りになります。「〜させていただく」も、使うべき場面が決まっています。
「二重敬語」とは何か?
同じ種類の敬語を、1 つの語に二重に使ったもの。誤りとされる。
(例)× おっしゃられる(尊敬語「おっしゃる」+尊敬の「られる」)。
「先生がおっしゃられた。」の誤りを直すと?
先生がおっしゃった。
「おっしゃる」だけで尊敬語なので、「られる」は要らない(二重敬語)。
「社長がご覧になられる。」の誤りを直すと?
社長がご覧になる。
「ご覧になる」に尊敬の「れる」を重ねた二重敬語。
「〜させていただく」は、本来どんな場合に使う言い方か?
相手の許可を受けて行い、そのことで自分が恩恵を受ける場合。
許可も恩恵も無いことに使うと、回りくどく不自然になる。
「では、発表を読まさせていただきます。」の誤りを直すと?
読ませていただきます。
「読む」は五段活用なので使役は「せる」(読ませる)。「さ」を入れるのは誤り(さ入れ言葉)。
4. 相手や場面に応じた言葉遣い
根拠: 学習指導要領 国3-(1)-エ
敬語は、使えば使うほどよいものではありません。相手との関係と場面に合わせて、使うかどうか・どの程度使うかを選びます。
友達どうしで尊敬語を使えば、かえってよそよそしく聞こえます。
敬語をどの程度使うかを決めるのは、何と何か?
相手との関係(目上か、親しいか、内か外か)と場面(改まった場か、くだけた場か)。
授業の発表や面接のような改まった場では、文の終わりをどうそろえるか?
「です」「ます」(丁寧語)でそろえる。
「〜じゃん」「すごく」のようなくだけた言い方も避ける。