紛らわしい語の識別
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
同じ形をしていても、品詞や意味が違う語があります。入試の文法問題の中心はここで、言い換えや補いで確かめるのが決まった解き方です。
| 語 | 分かれるもの | 確かめ方 |
|---|---|---|
| ない | 助動詞/形容詞/補助形容詞/形容詞の一部 | 「ぬ」に言い換える・「は」を入れる・単独で文節になるか |
| らしい | 推定の助動詞/形容詞の一部(接尾語) | 「である」を補えるか |
| の | 主語を示す/連体修飾語を作る/体言の代用(準体助詞) | 「が」「こと・もの」に言い換える |
| に・で・だ | 格助詞/接続助詞「て」の濁ったもの/形容動詞の活用語尾/助動詞(だ・た) | 「な」にして体言につけられるか |
| ようだ | 推定/比喩/例示 | 「どうやら」「まるで」「たとえば」を補う |
| れる・られる | 受け身/可能/自発/尊敬 | 「〜される」「〜できる」「自然と〜」「お〜になる」に言い換える |
分かれ目は次の 3 つ。
- 打ち消しの助動詞「ない」は「ぬ」に言い換えられる。言い換えられなければ形容詞の仲間。
- 形容動詞は「な」の形で体言につけられる(静かな町)。「名詞+だ」はつけられない(× 学生な人)。
- 濁った「で」「だ」は、動詞の音便形の後ろなら「て」「た」が濁ったもの(読んで・読んだ)。
1. 「ない」の識別
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-オ
「ない」は 4 通りあります。まず「ぬ」に言い換え、次に「は」を入れ、最後に単独で文節になるかを見ます。
| 例 | 識別 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 雨が降らない | 打ち消しの助動詞 | 降らぬと言い換えられる |
| 時間がない | 形容詞 | 単独で文節になる(「ある」の反対) |
| 少しも寒くない | 補助形容詞 | 寒くはないと「は」を入れられる |
| 部屋が少ない | 形容詞の一部 | 「少」と切り離せない |
「ない」が打ち消しの助動詞かどうかを確かめる方法は?
「ぬ」に言い換えて意味が通れば助動詞。(例)行かない → 行かぬ
動詞の未然形の後ろにつく。
「今日は少しも寒くない。」の「ない」は何か?
補助形容詞(形式形容詞)。直前に「は」を入れられる(寒くはない)。
形容詞・形容動詞の連用形の後ろで、本来の「無い」の意味が薄れている。
「もう時間がない。」の「ない」は何か?
形容詞。単独で文節を作り、「ある」の反対の意味を表す。
「ぬ」に言い換えられない(× 時間がぬ)。
「残りの人数が少ない。」の「ない」は何か?
形容詞「少ない」の一部。「少」と「ない」を切り離せない。
「危ない」「はかない」「せつない」も同じ。
2. 「らしい」の識別
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-オ
推定の助動詞「らしい」の前には「である」を補えます。補えないものは、「〜にふさわしい」という意味の形容詞を作る接尾語です。
「らしい」が推定の助動詞かどうかを確かめる方法は?
「である」を補って意味が通れば助動詞。(例)あの人は医者らしい → 医者であるらしい
「どうやら」を前に補えることも手がかりになる。
「今日は春らしい暖かい日だ。」の「らしい」は何か?
形容詞「春らしい」の一部(接尾語)。「いかにも春にふさわしい」という意味で、「である」を補えない。
3. 「の」の識別
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-オ
「の」は、連体修飾語を作る(私の本)のがいちばん多い使い方です。そのほかの使い方は言い換えで見分けます。
「兄の作った料理を食べた。」の「の」の働きは?
主語を示す(格助詞)。「が」に言い換えられる(兄が作った料理)。
「走るのが好きだ。」の「の」の働きは?
体言の代用(準体助詞)。「こと」「もの」に言い換えられる(走ることが好きだ)。
4. 「に」「で」「だ」の識別
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-オ
どれも、形容動詞の活用語尾になる場合と、助詞・助動詞になる場合があります。
形容動詞かどうかは、「な」に変えて体言につけられるかで確かめます。
「部屋で静かに本を読む。」の「静かに」の「に」は何か?
形容動詞「静かだ」の連用形の活用語尾。「静かな部屋」と「な」にして体言につけられる。
「公園に行く」の「に」は体言について場所を示す格助詞。
「弟は漫画を読んでいる。」の「で」は何か?
接続助詞「て」が濁ったもの。動詞の音便形(読ん)の後ろにつく。
「兄は大学生で、姉は高校生だ。」の「大学生で」の「で」は何か?
断定の助動詞「だ」の連用形。「大学生である」と言い換えられる。
「公園で遊ぶ」の「で」は場所を示す格助詞。
「昨日、手紙を読んだ。」の「だ」は何か?
過去の助動詞「た」が濁ったもの。動詞の音便形(読ん)の後ろにつく。
断定の「だ」は「学生だ」のように体言につく。
「元気だ」と「病気だ」のうち、形容動詞はどちらか?
元気だ。「元気な人」と「な」の形で体言につけられ、「とても元気だ」と言える。
「病気だ」は名詞「病気」+断定の助動詞「だ」(× 病気な人、○ 病気の人)。
5. 「ようだ」「れる・られる」の意味の見分け
根拠: 学習指導要領 国2-(1)-オ
意味の見分けは、前に補える言葉や言い換えで確かめます。
助動詞「ようだ」の推定・比喩・例示を見分けるには、それぞれ何を補うか?
推定は「どうやら」、比喩は「まるで」、例示は「たとえば」を補う。
(例)どうやら風邪のようだ/まるで夢のようだ/たとえば桜のような花。
助動詞「れる・られる」の 4 つの意味は、それぞれどう言い換えて確かめるか?
受け身は「〜に…される」、可能は「〜できる」、自発は「自然と〜される」、尊敬は「お〜になる」。
(例)先生に呼ばれる(受け身)/一人で起きられる(可能)/昔が思い出される(自発)/先生が話される(尊敬)。
自発の「れる・られる」は、「しのぶ」「思い出す」「案じる」など、心の動きを表す動詞につくことが多い、と覚えておくと見分けが速くなります。