枕草子
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
宮仕えをした女性が、季節や宮中の暮らしの中で心ひかれたものを、自由に書きとめた随筆です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 種類 | 随筆 |
| 時代 | 平安時代中期 |
| 作者 | 清少納言(一条天皇の中宮定子に仕えた) |
| 特徴 | 「をかし」の文学。明るく知的な感覚で、ものを鋭くとらえる |
| 章段の種類 | 類聚的章段(ものづくし)・日記的章段・随想的章段 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「をかし」の枕草子、「あはれ」の源氏物語。同じ平安時代中期の、女性による作品として並べられる。
- 第一段は、四季それぞれの「いちばんよい時間」を挙げている(春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて)。
- 「〜もの」と題を立てて例を並べる章段が類聚的章段(「すさまじきもの」「うつくしきもの」など)。
1. 作品を知る
根拠: 学習指導要領 国2-(3)-イ
作者の清少納言は、一条天皇の后である中宮定子に仕えた女房(宮中に仕える女性)でした。
『枕草子』には、定子のそばで見聞きした宮中のできごとも多く書かれています。
『枕草子』の作者と、作品の種類は?
清少納言、随筆
平安時代中期の作品。
清少納言が仕えたのは誰か?
中宮定子(一条天皇の后)
『枕草子』の文学の特徴を、一語の古語で何というか?
をかし
明るく知的に「趣がある・興味深い」と感じる心。『源氏物語』の「あはれ」と対比される。
『枕草子』の章段を、書き方で 3 つに分けると?
類聚的章段・日記的章段・随想的章段
類聚的章段は「〜もの」と題を立てて例を集めたもの(ものづくし)。
『枕草子』の「すさまじきもの」の「すさまじ」の意味は?
興ざめだ・つまらない
今の「ものすごい」とは違う。「昼ほゆる犬」などが挙げられている。
2. 「春はあけぼの」を読む
根拠: 学習指導要領 国2-(3)-イ
第一段は、現代語訳と語注を手掛かりに読むと、清少納言がどの時間のどんな様子を選んだかが見えてきます。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
現代語訳:春は夜明けがよい。だんだん白くなっていく山ぎわの空が少し明るくなって、紫がかった雲が細く横に長く引いているのがよい。
語注:あけぼの=夜が明けはじめるころ。やうやう=だんだん。山ぎは=山に接するあたりの空。紫だつ=紫がかる。たなびく=雲や霞が横に長く引く。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
現代語訳:夏は夜がよい。月の出ているころは言うまでもなく、闇夜もやはり、蛍がたくさん飛び交っているのがよい。
語注:さらなり=言うまでもない。なほ=やはり。
秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。
現代語訳:秋は夕暮れがよい。夕日が差して山の稜線にとても近くなったころに、烏がねぐらへ帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽と急いで飛んでいくのまでしみじみとした趣がある。
語注:山の端=空に接するあたりの山の稜線。
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るも、いとつきづきし。
現代語訳:冬は早朝がよい。雪が降っているのは言うまでもなく、霜がとても白いのも、またそうでなくてもとても寒い朝に、火などを急いでおこして、炭を持って廊下を通っていくのも、たいそう冬の朝に似つかわしい。
語注:つとめて=早朝。つきづきし=似つかわしい。
『枕草子』第一段で、春・夏・秋・冬それぞれによいとされた時間は?
春はあけぼの・夏は夜・秋は夕暮れ・冬はつとめて
「春はあけぼの」の「あけぼの」の意味は?
夜が明けはじめるころ(夜明け)
「つとめて」(早朝)より少し前の、空が白みはじめる時分。
「やうやう白くなりゆく山ぎは」の「やうやう」の読みと意味は?
ようよう、だんだん・しだいに
「山ぎは」と「山の端」の違いは?
山ぎは=山に接するあたりの空、山の端=空に接するあたりの山の稜線。
春の段は空の色、秋の段は山の稜線を見ている。
「月のころはさらなり」の「さらなり」の意味は?
言うまでもない
月の出ているころがよいのは言うまでもない、という意味。
「炭もて渡るも、いとつきづきし」の「つきづきし」の意味は?
似つかわしい・ふさわしい
寒い冬の早朝に、炭を運んでいく様子がよく合っている、ということ。