データ分析・データ利活用
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス案 Ver.0.1 の小分類 2「データ分析・データ利活用」(大分類 2:データ・AIの利活用/中分類 9:データ分析・データ利活用)。
2026-09-26 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
用語例が 34 語ある、この大分類でいちばん大きな論点です。
シラバスの項目どおり 4 つに分かれます。
| 項目 | 問われること |
|---|---|
| データの種類と特徴 | どうやって得たデータかで性質が違う |
| データの加工・分析 | 分析の前にデータを整える作業の名前 |
| 統計的手法 | 数字が何を言えて、何を言えないか |
| 可視化 | 目的に合ったグラフを選べるか |
統計は計算より意味の弁別が問われます。引っかけの定番は次の 4 つです。
- 相関と因果は違う(一緒に動いても原因とは限らない=擬似相関)
- 平均値は外れ値に引っ張られる(中央値・最頻値は引っ張られにくい)
- 尺度によって使える計算が違う(名義尺度に平均は無い)
- 統計的バイアスはデータの集め方の偏り、認知バイアスは人の判断の偏り
1. データの種類と特徴
根拠: シラバス 2-9-2
そのデータがどうやって得られたかで、扱い方と偏りの入り方が変わります。
人の行動ログデータ・機械の稼働ログデータ・ソーシャルメディアデータの違いは?
| 何の記録か | 例 | |
|---|---|---|
| 人の行動ログデータ | 人が何をしたか | 購買履歴、Web の閲覧履歴、位置情報 |
| 機械の稼働ログデータ | 機械・設備がどう動いたか | 工場設備の稼働記録、センサの値、エラー記録 |
| ソーシャルメディアデータ | SNS に人が発信した内容 | 投稿文、画像、「いいね」の数 |
人の行動ログは本人が意識せずに残る記録、ソーシャルメディアは本人が意図して発信したもの。
機械の稼働ログは故障の予兆をつかむ(予知保全)のに使われる。
1 次データと 2 次データの違いは?
| 何か | 長所・短所 | |
|---|---|---|
| 1次データ | 自分の目的のために自ら集めたデータ | 目的に合うが、手間と費用がかかる |
| 2次データ | 他者がすでに集めたデータを利用するもの | 安く早いが、目的に完全には合わない |
自社で行ったアンケートは 1 次、官公庁の統計を使うのは 2 次。
誰が何のために集めたかで分ける。
構造化データと非構造化データの違いは?
| 何か | 例 | |
|---|---|---|
| 構造化データ | 行と列の表の形に整理されている | 売上表、顧客台帳 |
| 非構造化データ | そのままでは表にできない | 文章、画像、音声、動画 |
企業が持つデータの多くは非構造化データ。
分析するには、テキストマイニングやアノテーションなどで扱える形にする手間が要る。
ビッグデータとは? よく挙げられる 3 つの特徴は?
従来のやり方では扱いきれない、大量で多様なデータ
| 特徴 | 意味 |
|---|---|
| 量(Volume) | 膨大 |
| 種類(Variety) | 非構造化データを含み多様 |
| 速度(Velocity) | 次々と発生し続ける |
量が多いだけではビッグデータの説明として足りない(多様さと速さも特徴)。
オープンデータとパーソナルデータの違いは?
| 何か | 使うときの前提 | |
|---|---|---|
| オープンデータ | 国・自治体・企業などが誰でも自由に使えるよう公開したデータ | 機械で読める形・二次利用可能な利用ルールで公開される |
| パーソナルデータ | 個人に関するデータ全般(個人情報に限らず、購買履歴・位置情報なども含む) | 本人の権利・同意・法令に配慮して扱う |
公開されていて自由に使えるのがオープンデータ、個人にかかわるので慎重に扱うのがパーソナルデータ。
2. データの加工・分析
根拠: シラバス 2-9-2
分析の手間の大半は、分析の前にデータを整える作業です。
データ結合と名寄せの違いは?
| 何をするか | |
|---|---|
| データ結合 | 共通の項目(顧客番号など)をキーにして、別々のデータを 1 つにつなぐ |
| 名寄せ | 表記の違う同じ人・同じものを見つけて 1 つにまとめる |
名寄せの例: 「山田 太郎/ヤマダタロウ/山田太郎(旧住所)」を同じ顧客と判断して統合する。
名寄せをしてからでないと、結合しても同じ人が重複して数えられる。
外れ値・異常値・欠損値の処理とは? それぞれ何か?
| 何か | 処理の例 | |
|---|---|---|
| 外れ値 | 他から大きく離れた値(本当の値のこともある) | 原因を確かめ、残すか除くか決める |
| 異常値 | 外れ値のうち、誤りや異常が原因と分かった値(入力ミス・故障) | 除く、正しい値に直す |
| 欠損値 | 値が入っていない | 除く、平均値などで補う |
外れ値だからといって機械的に消さない。
本当に起きた珍しい出来事(大口注文など)かもしれない。
アノテーションとは?
データに、意味を表すラベル(注釈)を付けること
例: 画像に「猫」「犬」と付ける、文章に「肯定的」「否定的」と付ける。
AI の教師あり学習に使う正解データを作る作業として重要。
付け方が人によってぶれると、学習した AI の精度も落ちる。
季節調整と移動平均は、それぞれ何のために使うか?
| 何をするか | 目的 | |
|---|---|---|
| 季節調整 | 毎年決まった時期に起きる変動(夏にアイスが売れる等)を取り除く | 季節のせいでない本当の増減を見る |
| 移動平均 | 直近の一定期間の平均を、1 つずつずらしながら求める | 細かい上下をならして傾向を見る |
どちらも時系列データの見かけの動きを取り除いて、本当の傾向を見るための処理。
データマイニングとテキストマイニングの違いは?
| 対象 | 何をするか | |
|---|---|---|
| データマイニング | 大量のデータ(主に構造化データ) | 人が気づかなかった規則・パターンを掘り出す |
| テキストマイニング | 文章(アンケートの自由記述、SNS の投稿など) | 単語の出現頻度や一緒に出る語から傾向を掘り出す |
テキストマイニングは、非構造化データを対象にしたデータマイニングと言える。
3. データ分析における統計的手法
根拠: シラバス 2-9-2
数字が何を言えて、何を言えないかの話です。
順列と組合せの違いは? 5 人から 2 人を選ぶとき、それぞれ何通りか?
| 並び順 | 5 人から 2 人 | |
|---|---|---|
| 順列 | 区別する(委員長と副委員長) | 5 × 4 = 20 通り |
| 組合せ | 区別しない(委員 2 人) | 20 ÷ 2 = 10 通り |
順番に意味があるなら順列、選ぶだけなら組合せ。
組合せは、順列を「選んだ人どうしの並べ方の数」で割って求める。
確率とは? 硬貨を 2 回投げて 2 回とも表が出る確率は?
ある出来事が起こる見込みを 0〜1 の数で表したもの
同様に確からしいとき、確率 = その出来事の場合の数 ÷ すべての場合の数。
硬貨 2 回: 全体は 表表・表裏・裏表・裏裏 の 4 通り、そのうち 表表 は 1 通り → 1/4。
互いに影響しない出来事が続けて起きる確率は、それぞれの確率の掛け算(1/2 × 1/2)。
代表値(平均値・中央値・最頻値)の違いは? 外れ値の影響を受けやすいのは?
| 求め方 | 外れ値の影響 | |
|---|---|---|
| 平均値 | 合計 ÷ 個数 | 受けやすい |
| 中央値 | 小さい順に並べた真ん中 | 受けにくい |
| 最頻値 | 最も多く現れる値 | 受けにくい |
年収のように一部に極端な値がある分布では、平均値は実感より高く出る。
そういうときは中央値を見る。
4 つの尺度(名義・順序・間隔・比例)の違いは?
| 尺度 | 何に意味があるか | 例 |
|---|---|---|
| 名義尺度 | 区別だけ | 血液型、性別、背番号 |
| 順序尺度 | 順番に意味(差の大きさは不明) | 順位、満足度の 5 段階 |
| 間隔尺度 | 差に意味(0 は「無い」ではない) | 気温(摂氏)、西暦 |
| 比例尺度 | 比にも意味(0 が「無い」) | 身長、売上金額、時間 |
下に行くほどできる計算が増える。
名義尺度の平均は無意味、「摂氏 20 度は 10 度の 2 倍暑い」とは言えない(間隔尺度だから)。
相関分析と回帰分析の違いは?
| 何を調べるか | 結果 | |
|---|---|---|
| 相関分析 | 2 つの量がどれだけ一緒に動くか | 相関係数(−1〜+1) |
| 回帰分析 | ある量から別の量を予測する式 | 「売上 = a × 広告費 + b」のような式 |
関係の強さを測るのが相関、予測の式を作るのが回帰。
どちらも、それだけでは因果関係を示さない。
擬似相関とは? 相関と因果の違いは?
相関 = 一緒に動く。因果 = 一方が他方の原因になっている。
擬似相関 = 直接の関係がないのに、別の要因(第 3 の要因)のせいで相関があるように見えるもの
例: アイスの売上と水難事故の件数は一緒に増えるが、
どちらも気温が上がることが原因で、アイスが事故を起こすわけではない。
相関があるだけで因果を主張しない。
仮説検定とは? 「有意差あり」は何を意味するか?
立てた仮説が、偶然では説明しにくいかを確率で判断する手続
「差が無い」と仮定したとき、観測された結果が起きる確率が十分小さい
(基準=有意水準、5% や 1% がよく使われる)なら、「差が無い」を捨てて有意差ありとする。
「偶然とは考えにくい」という意味であって、差が大きい・重要だという意味ではない。
全数調査と標本調査の違いは? 国勢調査・アンケート調査・単純無作為抽出はどこに入るか?
| 何を調べるか | 例 | |
|---|---|---|
| 全数調査 | 対象(母集団)の全部 | 国勢調査(日本に住む全員が対象) |
| 標本調査 | 母集団から一部(標本)を取り出して調べる | 多くのアンケート調査、世論調査 |
標本を取り出すことを標本抽出といい、その基本が単純無作為抽出(母集団の誰もが同じ確率で選ばれるよう、くじのように選ぶ)。
標本調査は安く早いが、選び方が偏ると結果も偏る。
統計的バイアスと認知バイアスの違いは?
| どこで生じるか | 例 | |
|---|---|---|
| 統計的バイアス | データの集め方・測り方で生じる偏り | 店頭アンケートは来店客しか答えない(選択バイアス) |
| 認知バイアス | 人の考え方・判断そのものの偏り | 自分の考えに合うデータばかり集める(確証バイアス) |
データが偏るのが統計的バイアス、読む人が偏るのが認知バイアス。
データが正しくても、認知バイアスで結論を誤ることがある。
4. 図表やグラフによるデータの可視化
根拠: シラバス 2-9-2
何を見せたいかでグラフを選びます。
棒グラフ・折れ線グラフ・ヒートマップ・レーダーチャートは、それぞれ何を見せるのに向くか?
| グラフ | 向いていること |
|---|---|
| 棒グラフ | 項目どうしの大小の比較(支店別の売上) |
| 折れ線グラフ | 時間による推移・変化(月別の売上) |
| ヒートマップ | 2 つの軸の組合せごとの値を色の濃淡で(曜日 × 時間帯の来店数) |
| レーダーチャート | 複数の評価項目のバランス(製品の性能比較) |
比べるなら棒、推移なら折れ線、濃淡で分布を見るならヒートマップ、バランスならレーダー。