経営戦略手法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
シラバス Ver.6.5 の小分類 9「経営戦略手法」(大分類 2:経営戦略/中分類 3:経営戦略マネジメント)。
2026-08-05 にシラバス本文と突合済み。
0. 何を押さえるか
経営戦略は ①現状を分析する → ②どこで勝つか決める → ③足りないものを外から調達する
という流れでできています。用語をこの 3 段に振り分けて覚えると混乱しません。
| 段 | 代表的な用語 |
|---|---|
| ① 分析する | SWOT分析・3C分析・PPM・VRIO分析・ベンチマーキング |
| ② 勝ち方を決める | コアコンピタンス・ニッチ戦略・同質化戦略・ブルーオーシャン戦略 |
| ③ 外から調達する | M&A・アライアンス・アウトソーシング・OEM・ファブレス |
分析の道具は「何を見るための枠か」で区別します。
- SWOT分析 … 自社の強み弱みと外の機会脅威
- 3C分析 … 市場・競合・自社
- PPM … どの事業に金を配るか
- VRIO分析 … その強みが本当に競争優位を生むか
1. 環境分析の枠組み
根拠: シラバス 2-3-9
SWOT 分析の 4 つの枠は?
| 内部環境 | 外部環境 | |
|---|---|---|
| プラス | Strength(強み) | Opportunity(機会) |
| マイナス | Weakness(弱み) | Threat(脅威) |
強み・弱みは内部環境(自社で変えられる)、
機会・脅威は外部環境(自社では変えられない)。この振り分けが問われる。
3C 分析の 3 つとは?
Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)
市場と競合を見てから自社を位置づける、という順で使う。
SWOT が「良い/悪い」で切るのに対し、3C は「誰を見るか」で切る。
PPM とは? 4 つの区分は?
PPM(Product Portfolio Management)= 市場成長率と市場占有率の 2 軸で
事業を 4 つに分類し、資源配分を決める手法
| 市場成長率 高 | 市場成長率 低 | |
|---|---|---|
| 占有率 高 | 花形 | 金のなる木 |
| 占有率 低 | 問題児 | 負け犬 |
金のなる木で稼いだ資金を問題児に投じ、花形に育てるのが基本の流れ。
VRIO 分析の 4 つの問いは?
Value(経済的価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣困難性)・Organization(組織)
自社の経営資源がこの 4 つを満たすほど、持続的な競争優位につながる。
まねされにくいか(模倣困難性)が決め手になる。
ベンチマーキングとは?
優れた企業のやり方を測定・比較し、自社の改善目標にする手法
比較対象は同業とは限らない(物流のうまい他業種を参考にするなど)。
まねること自体でなく、差を数値で測ることが要点。
2. 競争戦略
根拠: シラバス 2-3-9
どこで、どうやって勝つかを決めます。
コアコンピタンスとは?
他社にまねできない、自社の中核となる強み
技術力・ブランド・顧客基盤など。
VRIO の言葉でいえば、模倣困難性が高い経営資源のこと。
ニッチ戦略と同質化戦略の違いは?
| どう戦うか | 誰が取る戦略か | |
|---|---|---|
| ニッチ戦略 | 大手が来ないすき間市場に集中する | 経営資源の少ない企業 |
| 同質化戦略 | 挑戦者のまねをして差を消す | 資源の多いトップ企業 |
同質化はトップが取る守りの戦略。差別化を打ち消して規模で勝つ。
ブルーオーシャン戦略とは?
競争のない未開拓の市場を新たに創り出す戦略
激しく競争する既存市場(レッドオーシャン)を避け、
新しい価値の組合せで競争そのものを無意味にする。
イノベーションとコモディティ化の関係は?
| 何が起きるか | |
|---|---|
| イノベーション | 新しい技術や仕組みで、新たな価値を生む |
| コモディティ化 | 各社の製品の差がなくなり、価格でしか選ばれなくなる |
イノベーションで生まれた優位も、時間とともにコモディティ化する。
だから次のイノベーションが要る。
規模の経済と経験曲線の違いは?
| なぜコストが下がるか | |
|---|---|
| 規模の経済 | 生産量が多いほど、1 個あたりの固定費が薄まる |
| 経験曲線 | 累積生産量が増えるほど、習熟によって単位コストが下がる |
その時点の量(規模)か、これまでの合計(経験)かが分かれ目。
カニバリゼーションとは?
自社の製品どうしが顧客を奪い合うこと(共食い)
新製品が旧製品の売上を食う、実店舗と自社通販が競合する、など。
新製品を出すときに検討すべき副作用。
3. 外部資源の活用と企業間の関係
根拠: シラバス 2-3-9
自前でやらないという選択肢です。
アライアンスと M&A の違いは?
| 関係の深さ | |
|---|---|
| アライアンス | 独立したまま提携する(協業・共同開発) |
| M&A(Mergers and Acquisitions) | 合併・買収して 1 つになる |
M&A は時間を買える一方、統合の失敗リスクがある。
複数の企業が支え合って作る生態系のような関係をエコシステムという。
アウトソーシングとファブレスの違いは?
| 何を外に出すか | |
|---|---|
| アウトソーシング | 業務の一部を外部に委託する(一般的な用語) |
| ファブレス | 自社で工場を持たず、製造をすべて外部に任せる形態 |
ファブレスは製造に特化した言い方。設計・企画は自社に残す。
OEM とは?
OEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド製造)
= 相手先のブランドで販売される製品を製造すること
作る側は販路を得られ、売る側は設備を持たずに商品をそろえられる。
ファブレスの相手側にいるのが OEM 業者、と対で覚える。
フランチャイズチェーンとは?
本部が商標や経営ノウハウを提供し、加盟店が対価(ロイヤリティ)を払う仕組み
本部は少ない投資で店舗網を広げられ、加盟店は知名度を借りられる。
MBO と TOB の違いは?
| 誰が買うか | |
|---|---|
| MBO(Management Buyout:経営陣による自社買収) | その会社の経営陣が自社を買い取る |
| TOB(Take Over Bid:公開買付け) | 買付者が期間・価格・株数を公告して市場外で買い集める |
MBO は「誰が」、TOB は「どうやって」を表す言葉なので、対立概念ではない。
(人事の MBO=目標による管理とは別物なので注意。)
垂直統合とロジスティクスとは?
| 何か | |
|---|---|
| 垂直統合 | 原材料の調達から販売まで、流れの上流・下流を自社に取り込む |
| ロジスティクス | 調達・生産・配送・在庫を一体で最適化する管理 |
垂直統合は所有する範囲を広げる話、ロジスティクスは流れを管理する話。
ESG 投資とは?
環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)への
取組を評価して投資先を選ぶこと
財務情報だけで判断しない点が特徴。
社会的責任投資(SRI)を、3 つの観点で具体化したものといえる。