格助詞
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
格助詞は、主に体言について、その語が文の中でどういう資格(格)に立つかを示す助詞です。
古文でいちばん問われるのは、今とは働きの広い「の」「が」です。
| 用法 | 訳 | 例 |
|---|---|---|
| 主格 | 〜が | 雪の降る日(雪が降る日) |
| 連体修飾格 | 〜の | 春の夜 |
| 同格 | 〜で | 白き鳥の、嘴と脚と赤き(白い鳥で、くちばしと脚とが赤い鳥) |
| 準体格 | 〜のもの | この笛は兄のなり(兄のものだ) |
| 比喩(連用修飾格) | 〜のように | しだり尾のながながし夜(しだり尾のように長い夜) |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「の」の下に用言が来て、その主語になっていれば主格(雪の降る)。
- 「の」の後ろに連体形があり、その下に「の」の前の体言を補えれば同格(赤き〈鳥〉)。
- 「の」の下の体言が省かれていれば準体格(兄の〈笛〉)。
1. 「の」「が」の 5 つの用法
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
古文の助詞の中で、現代語と働きの範囲がいちばん違うのが「の」と「が」です。
今の「の」は連体修飾がほとんどですが、古文では主語を示す「が」の役もよくします。
「が」も「の」と同じ 5 つの用法を持ちます。
古文の格助詞「の」「が」の用法を 5 つ挙げると?
主格・連体修飾格・同格・準体格・比喩(連用修飾格)
「の」と「が」はどちらも同じ 5 つの用法を持つ。
「雪の降る日」の「の」の用法と訳は?
主格。「〜が」と訳す(雪が降る日)
「の」の下の用言「降る」の主語を示している。
同格の「の」は、どうやって見分けるか? どう訳すか?
「の」の後ろにある連体形の下に、「の」の前の体言を補えれば同格。「〜で」と訳す
白き鳥の、嘴と脚と赤き〈鳥〉 → 白い鳥で、くちばしと脚が赤い鳥。
『伊勢物語』の「白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる」の最初の「の」の用法は?
同格
「赤き」の下に「鳥」を補える。白い鳥で、くちばしと脚とが赤く、鴫ほどの大きさの鳥が。
「この笛は兄のなり」の「の」の用法と訳は?
準体格。「〜のもの」と訳す(この笛は兄のものだ)
「の」の下の体言(笛)が省かれ、「兄の」だけで体言の働きをしている。
「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」の「しだり尾の」の「の」の用法は?
比喩(連用修飾格)。「〜のように」と訳す
山鳥の垂れ下がった尾のように長い夜を、ひとりで寝るのだろうか。
2. 「にて」「より」「して」
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
「の」「が」以外にも、今とは形や意味の違う格助詞があります。
今の「で」にあたるのが「にて」、「〜で(手段)」「〜するとすぐに」まで表すのが「より」です。
| 助詞 | 主な意味 | 例 |
|---|---|---|
| にて | 場所・手段・原因・資格(〜で) | 都にて(都で) |
| より | 起点・経由・手段・比較・即時 | 徒歩より(徒歩で) |
| して | 手段・人数・使役の相手(〜で・〜に命じて) | ひとりふたりして(一人二人で) |
| を | 対象・経由・起点 | 門を出づ(門から出る) |
| と | 引用・共同・比喩 | 雪と散る(雪のように散る) |
格助詞「にて」の主な意味と訳は?
場所・手段・原因・資格を表し、「〜で」と訳す
京にて(京で)、舟にて(舟で)。今の「で」は「にて」が縮んだ形。
『徒然草』の「徒歩より詣でけり」の「より」の意味は?
手段(〜で)
歩いて参詣した。「より」は起点(〜から)のほか、手段・経由・比較・即時を表す。
「見るより、泣きけり」のように、活用語の連体形につく「より」の意味は?
即時(〜するとすぐに)
見るとすぐに泣いた。
『伊勢物語』の「ひとりふたりして行きけり」の「して」の意味は?
人数・共同(〜で)
一人二人(の友と)で行った。格助詞「して」は手段・人数・使役の相手を表す。