みならいノート

言語文化 2027年度版

断定・比況・希望の助動詞

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

0. どういうまとまりか

残りの助動詞を、意味ごとにまとめます。数は少ないですが、断定の「なり」とその連用形「に」は、識別の問題で最もよく問われる語です。

助動詞 接続 意味 訳
なり 連体形・体言 断定・存在 〜である/〜にある
たり 体言 断定 〜である
ごとし 連体形・助詞「が」「の」 比況・例示 〜のようだ/たとえば〜のようだ
まほし 未然形 希望 〜たい・〜てほしい
たし 連用形 希望 〜たい・〜てほしい

分かれ目は次の 3 つ。

1. 断定の「なり」「たり」

根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ

断定の「なり」は「に+あり」が、「たり」は「と+あり」がつづまってできた語です。
「なり」は場所を表す語についたとき、「〜である」ではなく「〜にある」(存在)の意味になります。

断定の助動詞「なり」の 2 つの意味は?

断定(〜である)と存在(〜にある・〜にいる)
存在になるのは、場所を表す語につくとき(多くは連体形「なる」で下に体言が続く)。

「都なる人」の「なる」の意味は?

存在「〜にいる」(「都にいる人」)
「都」は場所を表す語。「都である人」では意味が通らない。

断定の助動詞「たり」は、どんな文章に多く、どう訳すか?

和漢混交文(軍記物語など)に多く、「〜である」と訳す
体言につき、主に身分・資格を表す(「一門の大将軍たり」)。平安時代の和文では「なり」が使われる。

2. 「なり」の識別

根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ

「なり」の形をした語は 4 通りあります。助動詞どうしは接続で、形容動詞と動詞は意味と上の語で見分けます。

「なり」の正体 見分け方 例
断定の助動詞 連体形・体言につく 人なり(人である)
伝聞推定の助動詞 終止形(ラ変型には連体形)につく 鳴くなり(鳴いているようだ)
形容動詞の語尾 状態を表し、「いと」をつけて言える 静かなり・あはれなり
動詞「成る」 「〜に」「〜と」「〜く」の下で「なる」の意味 大人になりぬ

断定の「なり」と伝聞推定の「なり」を、接続で見分けると?

連体形・体言につけば断定、終止形につけば伝聞推定
行くなり(四段は終止形と連体形が同じ形なので、文脈で決める)/人なり(断定)/すなり(サ変終止形なので伝聞推定)。

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」の「なる」と「なり」はそれぞれ何か?

「なる」=伝聞推定の「なり」(連体形)、「なり」=断定の「なり」
「す」はサ変の終止形、「する」は連体形。「男も書くという日記というものを、女の私も書いてみようと思って書くのである」(土佐日記)。

「あり」などラ変型の語についた「なり」(あるなり)は、接続で断定か伝聞推定か決まるか?

決まらない(ラ変型には伝聞推定も連体形につくため)。文脈で決める。
撥音便の「あんなり」「あなり」の形なら伝聞推定。

3. 比況の「ごとし」

根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ

「ごとし」は、あるものを別のものにたとえる比況(〜のようだ)と、例を挙げる例示(たとえば〜のようだ)を表します。
和漢混交文や漢文訓読の文に多く出ます。

助動詞「ごとし」の意味は?

比況(〜のようだ)と例示(たとえば〜のようだ)
連体形のほか、助詞「が」「の」につく(花のごとし、言ふがごとし)。

「ただ春の夜の夢のごとし」を訳すと?

「まるで春の夜の夢のようだ」(比況)
権勢を誇る人も長くは続かず、はかないことを、短い春の夜の夢にたとえている(平家物語の書き出し)。

4. 希望の「まほし」「たし」

根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ

どちらも「〜たい・〜てほしい」の意味です。平安時代の和文では「まほし」、鎌倉時代以降は「たし」が多くなり、「たし」が今の「たい」になりました。

希望の助動詞「まほし」と「たし」の接続の違いは?

まほし=未然形、たし=連用形
見まほし・見たし(どちらも「見たい」)。平安時代の和文は「まほし」、中世以降は「たし」が多い。

「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」の「まほしき」はどう訳すか?

「〜てほしい」(「ちょっとしたことにも、案内者はあってほしいものである」)
徒然草「仁和寺にある法師」の結び。「まほし」は自分の希望(〜たい)のほか、他への望み(〜てほしい)も表す。

5. 「に」の識別

根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ

「に」は古文でいちばん紛らわしい語の一つです。下に続く語と上の語の形を見れば、ほとんど決まります。

「に」の正体 見分け方 例
断定「なり」の連用形 体言・連体形につき、下に「あり・侍り」や「や・か・こそ」(+あらむ の省略) 人にあらず
完了「ぬ」の連用形 連用形につき、下に「き・けり・たり・けむ」 散りにけり
格助詞 体言・連体形につき、時・場所・相手などを表す 夕べに帰る
接続助詞 連体形につき、「〜と・〜ので・〜のに」と訳せる 行きけるに
形容動詞の語尾 状態を表す語の一部(「いと」がつく) 静かに

断定の助動詞「なり」の連用形「に」を見分ける手がかりは?

下に「あり」(侍り・おはす)や、係助詞「や・か・こそ」が続く
「〜にあり」は「〜である」、「〜にや」「〜にか」は下に「あらむ」などが省略されている。

「しかももとの水にあらず」の「に」は何か?

断定の助動詞「なり」の連用形
下に「あり」が続く。「〜にあらず」で「〜ではない」(「しかも、もとの水ではない」。方丈記)。

「いづれの御時にか」の「に」は何か?

断定の助動詞「なり」の連用形
下に係助詞「か」が続き、その後の「あらむ」が省略されている。「どの帝の御代であったか」(源氏物語の書き出し)。

「花の色はうつりにけりな」の「に」は何か?

完了の助動詞「ぬ」の連用形
連用形「うつり」について、下に過去の「けり」が続く。「にけり」「にき」「にたり」「にけむ」の「に」は完了。

連体形についた「に」が接続助詞だと分かるのは、どう訳せるときか?

「〜と・〜ところ」「〜ので」「〜のに」と、前後の文をつないで訳せるとき
「門をたたきけるに、人出で来たり(門をたたいたところ、人が出てきた)」。「〜のときに」と訳せるなら格助詞。

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