枕詞と序詞
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
枕詞と序詞は、どちらもある語を導き出すために、その前に置く言葉です。
違いは、長さと、決まった言い方かどうかです。
| 枕詞 | 序詞 | |
|---|---|---|
| 長さ | 原則 5 音(1 句) | 7 音以上(2〜3 句になることが多い) |
| 導く語 | 決まっている(あしひきの → 山) | その歌ごとに作者が作る |
| 訳すか | 訳さない | 訳す(歌の情景の一部になる) |
| 導き方 | 慣用で決まっている | 比喩・掛詞・同音反復の 3 つ |
分かれ目は次の 3 つ。
- 5 音で、決まった語の前に付き、訳さなくても歌の意味が通るなら枕詞。
- 序詞は「どこまでが序詞か」を、導かれる語の直前で切って答える。序詞の後ろから歌の本当の内容が始まる。
- 序詞の導き方は、「〜のように」と訳せるなら比喩、同じ音が繰り返されるなら同音反復、1 語に 2 つの意味が重なるなら掛詞。
1. 枕詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
枕詞は、和歌に見られる古典特有の表現の一つで、決まった語の前に置いて、調子を整えたり歌に重々しさを添えたりします。
意味がはっきりしなくなったものも多く、現代語訳では訳さないのが原則です。
| 枕詞 | 導かれる語 |
|---|---|
| あしひきの | 山・峰 |
| ひさかたの | 光・天・空・月 |
| たらちねの | 母 |
| ぬばたまの | 黒・夜・髪 |
| あをによし | 奈良 |
| しろたへの | 衣・袖・雪 |
| ちはやぶる | 神 |
| あらたまの | 年・月 |
| くさまくら | 旅 |
「枕詞」とは何か?
決まった語の前に置いて、その語を導き出す言葉。原則 5 音で、現代語訳では訳さない。
(例)あしひきの山、たらちねの母。
枕詞「あしひきの」が導く語は?
山(峰)
(例)あしひきの山鳥の尾のしだり尾の…
枕詞「ひさかたの」が導く語は?
光・天・空・月など、天空に関わる語。
(例)ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ
枕詞「たらちねの」「ぬばたまの」が導く語は?
たらちねの → 母、ぬばたまの → 黒・夜・髪など黒いもの。
枕詞「あをによし」「ちはやぶる」が導く語は?
あをによし → 奈良、ちはやぶる → 神。
枕詞「しろたへの」「あらたまの」が導く語は?
しろたへの → 衣・袖など白い布に関わる語、あらたまの → 年・月。
2. 序詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
序詞も古典特有の表現で、ある語を導くために置く言葉です。枕詞と違って、作者がその歌のために作るので、決まった形はありません。
導き方は次の 3 つです。
- 比喩 … 序詞が「〜のように」と、後ろの内容のたとえになる。
- 掛詞 … 序詞の最後の語が、同じ音で別の意味の語へ切り替わる。
- 同音反復 … 序詞の最後と同じ音(似た音)を、すぐ後ろで繰り返す。
「序詞」とは何か? 枕詞との違いは?
ある語を導き出すために、作者がその歌のために作る 7 音以上の言葉。
枕詞は 5 音で導く語が決まっているが、序詞は長さが 7 音以上で、決まった形が無い。
序詞が後ろの語を導く方法を 3 つ挙げると?
比喩・掛詞・同音反復
比喩は「〜のように」、掛詞は同じ音で意味が切り替わる、同音反復は同じ音を繰り返す。
「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」の序詞はどこまでか? どう導いているか?
「あしひきの山鳥の尾のしだり尾の」までが序詞で、「ながながし」を比喩で導く。
山鳥の垂れ下がった尾のように長い、長い夜を、ということ。(「あしひきの」は枕詞)
「みかの原わきて流るるいづみ川いつ見きとてか恋しかるらむ」の序詞はどこまでか? どう導いているか?
「みかの原わきて流るるいづみ川」までが序詞で、「いつ見」を同音反復で導く。
「いづみ」と「いつ見」の音の重なりでつないでいる。
「風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな」の序詞はどこまでか? どう導いているか?
「風をいたみ岩うつ波の」までが序詞で、「おのれのみくだけて」を比喩で導く。
風が激しいので岩に打ちつける波が自分だけ砕けるように、私だけが心も砕けて思い悩む、ということ。