掛詞と縁語
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
掛詞と縁語は、どちらも言葉の意味を重ねて、短い和歌に多くの内容を詰め込む技法です。
掛詞は 1 か所に 2 つの意味を重ね、縁語は歌全体に関係の深い語をちりばめます。一首の中で一緒に使われることがよくあります。
| 掛詞 | 縁語 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 同じ音の 1 語に、2 つ以上の意味を重ねる | ある語と意味の上で関係の深い語を、一首の中に詠み込む |
| 見つけ方 | 仮名に直して、別の漢字をあてられる音を探す | 歌の中心の語から、連想でつながる語を探す |
| 例 | まつ=松/待つ | 糸・よる(縒る)・乱る・ほころぶ |
分かれ目は次の 3 つ。
- 掛詞は、一方の意味が自然や物(松・長雨)、もう一方が人の心(待つ・眺め)になることが多い。
- 縁語は「何の縁語か」を中心の語とセットで答える(緒の縁語=絶え・ながらへ・弱り)。
- 縁語は、掛詞の片方の意味でつながっていることが多い。縁語が見つかったら、その語が掛詞でないかも確かめる。
1. 掛詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
掛詞・縁語は、解説が古典特有の表現として名指ししている技法です。
掛詞は、同じ音の語に 2 つ以上の意味を持たせる技法で、和歌は仮名で書かれることが多かったので、仮名に直すと見つけやすくなります。
| 音 | 重なる意味 |
|---|---|
| まつ | 松/待つ |
| ながめ | 長雨/眺め(物思いにふける) |
| ふる | 降る/経る(時が過ぎる)/古る |
| あき | 秋/飽き |
| よ | 世/夜/節(竹の節と節の間) |
| かれ | 枯れ/離れ(人が遠ざかる) |
| うき | 憂き/浮き |
| おもひ | 思ひ/火(「ひ」に火を掛ける) |
「掛詞」とは何か?
同じ音の 1 語に、2 つ以上の意味を重ねる技法。
(例)「まつ」に「松」と「待つ」を重ねる。
掛詞「まつ」「ながめ」に重なる意味は?
まつ=松/待つ、ながめ=長雨/眺め(物思いにふけること)。
掛詞「ふる」「あき」に重なる意味は?
ふる=降る/経る(時が過ぎる)、あき=秋/飽き(相手に飽きる)。
掛詞「よ」に重なる意味は?
世(世の中・男女の仲)/夜/節(竹の節と節の間)
竹を詠んだ歌では「節」と「世・夜」が重なる。
「花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」の掛詞を 2 つ挙げると?
ふる=(長雨が)降る/(月日を)経る、ながめ=長雨/眺め(物思い)。
長雨が降る間に花の色が褪せたことと、物思いをして過ごす間に自分が衰えたことを重ねている。
「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」の掛詞を 2 つ挙げると?
いなば=因幡(国名)/往なば(行ってしまったら)、まつ=松/待つ。
「大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立」の掛詞を 2 つ挙げると?
いく野=生野(地名)/行く、ふみ=踏み/文(手紙)。
天の橋立にはまだ足を踏み入れたこともなく、母からの手紙も見ていない、ということ。
「わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり」の掛詞は?
うぢ=宇治(地名)/憂し
世を憂しと思って宇治山に住んでいる、と人は言うようだ、ということ。
2. 縁語
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
縁語は、歌の中のある語を中心にして、それと意味の上で関係の深い語を詠み込む技法です。
表の意味(歌の内容)とは別に、裏で言葉どうしがつながり合い、歌に広がりを出します。
たとえば「糸」を中心にすると、縒る(よる)・張る・乱る・ほころぶ・絶ゆ・結ぶなどが縁語になります。
「縁語」とは何か?
一首の中で、ある語と意味の上で関係の深い語を詠み込む技法。
(例)「糸」の縁語として「よる(縒る)・乱る・ほころぶ」を詠み込む。
「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」で、「緒」の縁語は?
絶え・ながらへ・弱り
どれも紐(緒)が切れる・長く続く・弱るという、紐に関係の深い語。命(玉の緒)を紐に見立てている。
「大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立」で、縁語になっているのはどの語とどの語か?
「ふみ(踏み)」と「橋」
掛詞「ふみ」の「踏み」の意味が、「橋立」の「橋」の縁語になっている。
「唐衣きつつなれにしつましあればはるばるきぬる旅をしぞ思ふ」で、「唐衣」の縁語を挙げると?
き(着)・なれ(褻れ=着なれて柔らかくなる)・つま(褄)・はる(張る)
どれも掛詞の片方の意味で、もう片方が「来・馴れ・妻・遥々」になる。