尊敬語
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
尊敬語は動作をする人を高める敬語です(→ 敬語の種類と敬意の方向)。
古文の尊敬語の多くは、ふつうの動詞が別の語に置き換わったものなので、もとの動詞とセットで覚えます。
| もとの動詞 | 尊敬語 | 訳 |
|---|---|---|
| 与ふ・授く | 給ふ(四段)・賜ぶ | お与えになる・くださる |
| あり・居り・行く・来 | おはす・おはします・います | いらっしゃる・おいでになる |
| 言ふ | のたまふ・のたまはす | おっしゃる |
| 思ふ | 思す・思し召す | お思いになる |
| 聞く | 聞こし召す | お聞きになる |
| 見る | 御覧ず | ご覧になる |
| 寝・寝ぬ | 大殿籠る | おやすみになる |
| す | 遊ばす | なさる |
| 呼ぶ・食ふ・着る・乗る | 召す | お呼びになる・召し上がる・お召しになる・お乗りになる |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「給ふ」は四段活用なら尊敬語。下二段活用の「給ふ」は謙譲語で、別の語として扱う(→ 謙譲語)。
- 同じ意味で 2 つある語は、長いほうが敬意が高い(のたまふ<のたまはす、おはす<おはします、思す<思し召す)。
- 「せ給ふ」「させ給ふ」の「せ」「させ」は、使役の相手がいなければ尊敬で、尊敬を 2 つ重ねた強い敬意になる。
1. 「給ふ」(四段活用)
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
四段活用の「給ふ」は、尊敬語の中でいちばん多く出てきます。
単独で使う本動詞(お与えになる)と、ほかの動詞の下に付いて尊敬の意味だけを添える補助動詞(お〜になる)があります。
尊敬語の「給ふ」(四段活用)を本動詞として使うとき、どう訳すか?
お与えになる・くださる(「与ふ」の尊敬語)
(例)帝、禄を給ふ。→ 帝が褒美をお与えになる。
尊敬語の「給ふ」(四段活用)を補助動詞として使うとき、どう訳すか?
お〜になる・〜なさる
(例)姫君、泣き給ふ。→ 姫君がお泣きになる。
「せ給ふ」「させ給ふ」は、使役の相手が文中にいないとき、どう訳すか?
お〜になる(なさる)。「せ」「させ」も尊敬の意味で、尊敬語を 2 つ重ねた強い敬意になる。
(例)帝、笑はせ給ふ。→ 帝がお笑いになる。誰かに笑わせるのではない。
2. 「いる・行く」「言う」「思う」の尊敬語
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
「おはす」は「あり・居り」だけでなく「行く・来」の尊敬語でもあるので、訳は文脈で「いらっしゃる」「おいでになる」を選びます。
「おはす」「おはします」「います」は、どういう意味の尊敬語か?
いらっしゃる・おいでになる(「あり・居り」「行く・来」の尊敬語)
「おはします」のほうが「おはす」より敬意が高い。
「のたまふ」「のたまはす」は、何という動詞の尊敬語か? どう訳すか?
「言ふ」の尊敬語で、おっしゃる。
「のたまはす」のほうが敬意が高い。
「思す」「思し召す」は、何という動詞の尊敬語か? どう訳すか?
「思ふ」の尊敬語で、お思いになる。
「思し召す」のほうが敬意が高い。
3. 「聞く・見る・寝る・する」の尊敬語
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
どれも語の形からは意味が推し量りにくいので、もとの動詞と組にして覚えます。
「聞こし召す」はどう訳すか?
お聞きになる(「聞く」の尊敬語)。「食ふ・飲む」の尊敬語として召し上がるの意味もある。
謙譲語の「聞こゆ」(申し上げる)と取り違えない。
「御覧ず」はどう訳すか?
ご覧になる(「見る」の尊敬語)
サ行変格活用で、「御覧ぜよ」「御覧ずれば」のように活用する。
「大殿籠る」はどう訳すか?
おやすみになる(「寝・寝ぬ」の尊敬語)
「大殿(御殿)」に「籠る」ことから。
「遊ばす」は、どういう意味の尊敬語か?
なさる(「す」の尊敬語)
管弦や詩歌などを「なさる(演奏なさる・お詠みになる)」の意味でよく使う。
「召す」は、何という動詞の尊敬語になるか? 3 つ以上挙げると?
呼ぶ(お呼びになる)・食ふ/飲む(召し上がる)・着る(お召しになる)・乗る(お乗りになる)
どの意味かは、何を「召す」のかで決まる(人なら呼ぶ、食べ物なら召し上がる、衣なら着る)。