古文の文学史(中世・近世)
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
中世(鎌倉・室町時代)は、武士が力を持ち、戦乱が続いた時代です。世の無常を見つめる随筆や、
戦いを語る軍記物語が生まれ、室町時代には能・狂言が完成しました。
近世(江戸時代)には、町人が文学の読み手・書き手になり、出版で広く読まれるようになります。
| 時代 | ジャンル | 作品(作者・撰者) |
|---|---|---|
| 中世 | 和歌集 | 新古今和歌集(後鳥羽院の命・藤原定家ら) |
| 中世 | 随筆 | 方丈記(鴨長明)、徒然草(兼好法師) |
| 中世 | 軍記物語 | 平家物語、太平記 |
| 中世 | 説話集 | 宇治拾遺物語、十訓抄、沙石集 |
| 中世 | 日記・紀行 | 十六夜日記(阿仏尼) |
| 中世 | 芸能 | 能(観阿弥・世阿弥)、狂言 |
| 近世 | 小説 | 浮世草子(井原西鶴)、読本(上田秋成・滝沢馬琴)、滑稽本(十返舎一九) |
| 近世 | 演劇 | 人形浄瑠璃(近松門左衛門) |
| 近世 | 俳諧 | 松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶 |
| 近世 | 国学 | 本居宣長 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 三大随筆は、枕草子(平安)・方丈記(鎌倉初め)・徒然草(鎌倉の終わりごろ)。後の 2 つは無常観が土台。
- 平家物語は読むためでなく、琵琶法師が語って聞かせた。語りの調子が文体に残っている。
- 江戸の三人:西鶴は小説(浮世草子)、近松は人形浄瑠璃の脚本、芭蕉は俳諧。
1. 新古今和歌集と随筆
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
鎌倉時代の初めは、貴族の世が終わり武士の世に移る転換期です。その文化的背景のもとで、
和歌では過ぎ去った王朝の美を追う新古今和歌集が、散文では世の無常を見つめる随筆が生まれました。
後鳥羽院の命で、藤原定家らが撰んだ鎌倉時代初めの勅撰和歌集は?
新古今和歌集
余情や幽玄を重んじ、本歌取り・体言止め・初句切れや三句切れの歌が多い。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」で始まる随筆と、その作者は?
方丈記、作者は鴨長明。
都を襲った災害を記し、世の無常と、方丈(一丈四方)の庵での暮らしを語る。
「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて」で始まる随筆と、その作者は?
徒然草、作者は兼好法師。
無常観を土台に、人の生き方や趣味、有職故実まで幅広く語る。
日本の古典の「三大随筆」とは何か?
枕草子・方丈記・徒然草
枕草子だけが平安時代で、ほかの 2 つは鎌倉時代。
2. 軍記物語・説話・紀行
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
戦乱の時代には、戦いと一族の興亡を語る軍記物語が生まれます。説話集も、平安の今昔物語集に続いて多く編まれました。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で始まる、平家一門の栄華と滅亡を描いた軍記物語は?
平家物語
作者は分かっていない。琵琶法師が琵琶に合わせて語り(平曲)、広まった。
平家物語は語り物なので、対句や七五調、擬声語が多く、耳で聞いて分かる文になっています。
「こぶ取り爺さん」や「絵仏師良秀」などの話を収めた、鎌倉時代の説話集は?
宇治拾遺物語
今昔物語集と共通する話も多いが、仮名が多く平易な文で書かれている。
阿仏尼が、我が子の所領をめぐる訴えのために京から鎌倉へ下った旅を記した日記は?
十六夜日記
十月十六日に都を出発したことから、この名で呼ばれる。
3. 能と狂言
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
室町時代、将軍足利義満の保護を受けて、観阿弥・世阿弥の父子が能を大成しました。
室町時代に能を大成した父子は? また、子が能の理論を書いた書物は?
観阿弥・世阿弥。書物は世阿弥の風姿花伝(花伝書)。
「秘すれば花」などの言葉で、演じる者の心得を説く。
能の合間に演じられる、日常の会話を中心にした滑稽な劇を何というか?
狂言
能が歌と舞で幽玄を表すのに対し、狂言は笑いを表す。
4. 江戸時代の文学と国学
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
江戸時代の前半(元禄期)は上方(大坂・京)、後半(化政期)は江戸が文学の中心になります。
町人の欲や金銭をめぐる暮らしを描いた「浮世草子」を始めた作家は? 最初の作品は?
井原西鶴。最初の作品は好色一代男。
ほかに日本永代蔵・世間胸算用など。大坂の町人。
「曽根崎心中」など、人形浄瑠璃の脚本を多く書いた作家は?
近松門左衛門
義理と人情の間で苦しむ町人を描いた世話物と、歴史に取材した時代物がある。
「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」で始まる紀行文と、その作者は?
おくのほそ道、作者は松尾芭蕉。
芭蕉は言葉遊びだった俳諧を芸術に高め、その作風は蕉風と呼ばれる。
江戸時代の俳人で、画家でもあり絵画的な句を詠んだのは誰か? また、「おらが春」を書き、小さく弱いものに寄り添う句を詠んだのは誰か?
絵画的な句は与謝蕪村、「おらが春」は小林一茶。
蕪村「菜の花や月は東に日は西に」、一茶「やせ蛙まけるな一茶これにあり」。
本居宣長が「古事記伝」などで大成した、儒教や仏教が伝わる前の日本人の心を古典の研究から明らかにしようとした学問を何というか?
国学
宣長は賀茂真淵に学び、古事記の注釈「古事記伝」を著した。源氏物語の本質を「もののあはれ」と説いたのも宣長。
「南総里見八犬伝」を書いた読本の作者と、「東海道中膝栗毛」を書いた滑稽本の作者は?
読本は滝沢馬琴(曲亭馬琴)、滑稽本は十返舎一九。
膝栗毛は弥次郎兵衛と喜多八の二人旅の珍道中。