古文の文学史(上代・中古)
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
上代(奈良時代まで)は、まだ仮名が無く、漢字だけで日本の歴史や歌を書き留めた時代です。
中古(平安時代)になると平仮名が生まれ、宮廷の女性たちが仮名で物語・日記・随筆を書きました。
| 時代 | ジャンル | 作品(作者・編者) |
|---|---|---|
| 上代 | 歴史書・地誌 | 古事記(太安万侶)、日本書紀(舎人親王ら)、風土記 |
| 上代 | 和歌集 | 万葉集(大伴家持が編纂に関わったとされる) |
| 中古 | 作り物語 | 竹取物語、うつほ物語、落窪物語 |
| 中古 | 歌物語 | 伊勢物語、大和物語、平中物語 |
| 中古 | 日記 | 土佐日記(紀貫之)、蜻蛉日記(藤原道綱母)、和泉式部日記、紫式部日記、更級日記(菅原孝標女) |
| 中古 | 和歌集 | 古今和歌集(紀貫之ら) |
| 中古 | 随筆・物語 | 枕草子(清少納言)、源氏物語(紫式部) |
| 中古 | 説話・歴史物語 | 今昔物語集、栄花物語、大鏡 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 作り物語は空想の話(竹取物語)、歌物語は和歌を中心にした短い話の集まり(伊勢物語)。この 2 つの流れが源氏物語で合わさる。
- 土佐日記だけは男性(紀貫之)が書いた。女性のふりをして仮名で書いた、仮名日記の最初。
- 万葉集はますらをぶり(素朴で力強い)、古今和歌集はたをやめぶり(優美で理知的)。
1. 上代の歴史書と万葉集
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
奈良時代の初めに、国の成り立ちを記す歴史書が相次いで作られました。どれも漢字だけで書かれています。
作品がどういう目的で誰によって書かれたかという文化的背景を知ると、問題文の前書きがすぐに読めます。
稗田阿礼が暗誦していた内容を太安万侶が筆録した、現存する日本最古の歴史書は?
古事記
天皇の命で作られた。神話から推古天皇までを記す。日本語の語順を交えた漢字の文で書かれている。
舎人親王らが編纂し、正式な漢文で書かれた、奈良時代の歴史書は?
日本書紀
年月を追って出来事を記す編年体で、国が正式に定めた歴史書(六国史)の最初。
奈良時代に諸国に命じて、地名の由来・産物・土地の言い伝えなどをまとめさせた地誌を何というか?
風土記
ほぼ完全な形で残るのは出雲国風土記。
現存する最古の和歌集で、大伴家持が編纂に関わったとされるものは? その歌風は何と呼ばれるか?
万葉集。歌風はますらをぶり(素朴で力強い、男性的な歌いぶり)。
天皇から東国の民衆(東歌・防人歌)まで、幅広い人の歌を万葉仮名で収める。
2. 物語の二つの流れ
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
平安時代の物語には、空想で筋を作る作り物語と、和歌が生まれた事情を短く語る歌物語の 2 つの流れがあります。
現存する最古の作り物語で、源氏物語で「物語の出で来はじめの祖(おや)」と呼ばれた作品は?
竹取物語
作者は分かっていない。かぐや姫の成長と求婚、月への帰還を語る。
「昔、男ありけり」で始まる章段が多く、在原業平らしき男を主人公とする歌物語は?
伊勢物語
和歌を中心にした短い話を集めた歌物語の代表。同じく歌物語に大和物語がある。
紫式部が書いた、光源氏とその子孫の生涯を描く長編の物語は?
源氏物語
紫式部は中宮彰子に仕えた女房。作り物語と歌物語の流れを合わせた、物語文学の頂点とされる。
3. 日記と随筆
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
平安時代の男性の日記は漢文で書く記録でした。紀貫之が仮名で書いたことから、心の動きを語る仮名の日記が始まり、
宮仕えする女性たちに受け継がれます。
「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」で始まる日記と、その作者は?
土佐日記、作者は紀貫之。
女性に仮託して仮名で書いた、仮名日記の最初。土佐から都へ帰る旅を記す。
藤原兼家との結婚生活の苦しみを、夫を待つ妻の立場から書いた日記と、その作者は?
蜻蛉日記、作者は藤原道綱母。
女性が書いた日記文学の最初とされる。
源氏物語などの物語にあこがれた少女時代から晩年までを振り返って書いた日記と、その作者は?
更級日記、作者は菅原孝標女。
上総から都へ上る旅から始まる。
中宮定子に仕えた女房が、宮廷の生活や自然の趣を「をかし」の感覚で書いた随筆と、その作者は?
枕草子、作者は清少納言。
「春はあけぼの」で始まる。類聚的章段・日記的章段・随想的章段からなる。
4. 古今和歌集と歴史物語・説話
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-イ
天皇の命令で作る和歌集を勅撰和歌集といいます。その最初が古今和歌集で、以後、和歌の手本とされました。
最初の勅撰和歌集は何か? 命じた天皇と、中心になった撰者は?
古今和歌集。醍醐天皇の命で、紀貫之・紀友則・凡河内躬恒・壬生忠岑が撰んだ。
紀貫之が書いた仮名序は、仮名で書かれた最初の本格的な歌論とされる。
古今和歌集の歌風は何と呼ばれるか?
たをやめぶり(優美で繊細な、女性的な歌いぶり)
掛詞・縁語・見立てなどの技巧を用いた理知的な歌が多い。
「今は昔」で始まる話を、天竺(インド)・震旦(中国)・本朝(日本)に分けて集めた平安後期の説話集は?
今昔物語集
仏教の話と、武士や庶民の世俗の話を多く収める。
大宅世継と夏山繁樹という二人の老人の対話の形で、藤原道長の栄華を描いた歴史物語は?
大鏡
「鏡物」と呼ばれる四鏡(大鏡・今鏡・水鏡・増鏡)の最初。人物ごとに書く紀伝体。