副助詞と終助詞
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
副助詞は、いろいろな語について意味を添える助詞、終助詞は文末について話し手の気持ち(願望・禁止・詠嘆など)を表す助詞です。
どちらも、今も使う形で意味が違うもの(さへ・だに)と、今は使わないもの(ばや・もがな)が問われます。
| 種類 | 助詞 | 意味 | 訳 |
|---|---|---|---|
| 副助詞 | だに | 類推/最小限の願望 | 〜さえ/せめて〜だけでも |
| 副助詞 | すら | 類推 | 〜さえ |
| 副助詞 | さへ | 添加 | 〜までも |
| 副助詞 | のみ | 限定・強意 | 〜だけ・ひたすら〜 |
| 副助詞 | ばかり | 程度・限定 | 〜ぐらい・〜だけ |
| 副助詞 | など | 例示・婉曲・引用 | 〜など |
| 副助詞 | まで | 限度・程度 | 〜まで・〜ほど |
| 副助詞 | し | 強意 | (訳さない) |
| 終助詞 | ばや | 自分の願望(未然形) | 〜したい |
| 終助詞 | なむ | 他への願望(未然形) | 〜してほしい |
| 終助詞 | てしがな・にしがな | 自分の願望 | 〜したいものだ |
| 終助詞 | もがな | 願望 | 〜があればなあ・〜であればなあ |
| 終助詞 | な(終止形)/な〜そ | 禁止 | 〜するな/〜しないでくれ |
| 終助詞 | かし | 念押し | 〜よ・〜ね |
| 終助詞 | かな・は | 詠嘆 | 〜だなあ |
分かれ目は次の 3 つ。
- 古文の「さへ」は添加(〜までも)。今の「さえ」にあたるのは「だに」「すら」のほう。
- 「ばや」は自分が〜したい、「なむ」は相手に〜してほしい。
- 「なむ」は上の語の形で見分ける。未然形の下なら願望の終助詞。
1. 副助詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
「だに」は、軽いものを挙げて重いものを推し量らせる(類推)ほか、「せめて〜だけでも」と最小限の望みを表します。
どちらになるかは、下に願望・命令・仮定があるかで決まります。
副助詞「だに」の 2 つの意味は?
類推(〜さえ)と最小限の願望(せめて〜だけでも)
下に願望・命令・意志・仮定があれば最小限の願望。「声だに聞かばや」=せめて声だけでも聞きたい。
古文の副助詞「さへ」の意味は?
添加(〜までも)
雨さへ降りぬ。(雨までも降ってきた。)今の「さえ」の意味ではない。
副助詞「すら」の意味は?
類推(〜さえ)
一つのことを挙げて、ほかはなおさらだと推し量らせる。今の「さえ」にあたる。
『伊勢物語』の「名にし負はば」の「し」は何か?
強意の副助詞(訳さない)
「名に負はば」(名前として持っているならば)に「し」を添えて強めている。
2. 願望の終助詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
願望の終助詞は、誰の願望かで分かれます。「ばや」「てしがな」は自分の、「なむ」は相手(他者)への願望です。
終助詞「ばや」の接続と意味は?
未然形につき、自分の願望(〜したい)を表す
都へ帰らばや。(都へ帰りたい。)
終助詞「なむ」の接続と意味は?
未然形につき、他者への願望(〜してほしい)を表す
花咲かなむ。(花が咲いてほしい。)
終助詞「てしがな」「にしがな」の意味は?
自分の願望(〜したいものだ)
いかでこの人を見てしがな。(なんとかしてこの人に会いたいものだ。)
終助詞「もがな」の意味は?
願望(〜があればなあ・〜であればなあ)
体言などにつく。よき友もがな。(よい友があればなあ。)
3. 禁止・念押し・詠嘆の終助詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
禁止には「な」と「な〜そ」の 2 つの言い方があります。「な〜そ」は、副詞「な」と終助詞「そ」で動詞をはさむ形で、「な」より柔らかい禁止です。
「な〜そ」の形の意味は? 間に入る動詞は何形か?
禁止(どうか〜しないでくれ)。間の動詞は連用形(カ変・サ変は未然形)
な言ひそ。(言わないでくれ。)な来そ。(来ないでくれ。)
文末の終助詞「な」が終止形についているとき、どういう意味か?
禁止(〜するな)
行くな。ラ変型の語には連体形につく。
終助詞「かし」の意味は?
念押し(〜よ・〜ね)
さこそあらめかし。(そうであろうよ。)
終助詞「かな」の意味は?
詠嘆(〜だなあ)
体言・連体形につく。あはれなる夜かな。(しみじみとした夜だなあ。)
4. 「なむ」の見分けの入口
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
「なむ」には、終助詞・係助詞・助動詞の組み合わせの主に 3 通りがあります(ほかに、ナ変動詞の未然形の語尾「な」+推量「む」の「死なむ」「往なむ」がある)。上の語の形を見れば決まります。
| 上の語 | 「なむ」の正体 | 例 |
|---|---|---|
| 未然形 | 他者への願望の終助詞 | 花咲かなむ(咲いてほしい) |
| 連用形 | 完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「む」 | 花咲きなむ(きっと咲くだろう) |
| 体言・助詞など(文中) | 強意の係助詞(結びは連体形) | 竹なむ一筋ありける |
「花咲きなむ」の「なむ」は何か?
完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形「な」+推量の助動詞「む」
上の「咲き」が連用形なので、願望の終助詞ではない。きっと咲くだろう。
「なむ」の上が体言や助詞で、文の途中にあるとき、その「なむ」は何か?
強意の係助詞(結びは連体形)
竹なむ一筋ありける。『竹取物語』