係助詞と係り結び
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
文中に係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ」があると、文末(結び)の活用形が終止形でなくなります。
中学で習ったこの決まりに、高校では結びが消える・崩れる場合と、こそ〜已然形の逆接が加わります。
| 係助詞 | 意味 | 結び | 例 |
|---|---|---|---|
| ぞ・なむ | 強意 | 連体形 | 花ぞ咲きける |
| こそ | 強意 | 已然形 | 花こそ咲きけれ |
| や・か | 疑問・反語 | 連体形 | 花や咲きける |
| は・も | 取り立て・並列 | 終止形(影響しない) | 花は咲きけり |
分かれ目は次の 3 つ。
- 結びの語が省かれていたら補う(〜にや〈あらむ〉、〜にこそ〈あらめ〉)。
- 結びになるはずの語に接続助詞が付いて文が続くと、結びは成立しない(結びの流れ)。
- 「こそ〜已然形、」で文が切れずに続くときは逆接(〜けれども)。
1. 係り結びの法則
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
係り結びは、文中の係助詞が文末の形を決める決まりです。
「ぞ・なむ・こそ」は強意なので、訳ではふつう言葉を足しません。「や・か」は疑問か反語で、訳し分けが問われます。
係り結びで、結びが連体形になる係助詞と、已然形になる係助詞は?
連体形になるのは「ぞ・なむ・や・か」、已然形になるのは「こそ」
例:月ぞ出でける/月こそ出でけれ。
係助詞「は」「も」があるとき、文末は何形で結ぶか?
終止形(ほかの係助詞と違い、文末の形を変えない)
花は咲きけり。
係助詞「や・か」の表す意味を 2 つ挙げると? 反語はどう訳すか?
疑問と反語。反語は「〜か、いや〜ない」と訳す
いづれの山か天に近き。(どの山が天に近いか)=疑問。文脈で打ち消しになるなら反語。
「やは」「かは」の形は、疑問と反語のどちらになることが多いか?
反語
誰かは知らむ。(誰が知っているだろうか、いや誰も知らない。)
「こそ」の結びが形容詞「をかし」のとき、どういう形になるか?
をかしけれ(シク活用の已然形)
春こそをかしけれ。
2. 結びの省略と結びの流れ
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
係助詞があっても、結びの語が書かれていないことがあります(結びの省略)。
「〜にや」「〜にか」「〜にこそ」「〜とぞ」で文が終わっていたら、省かれた語を補って訳します。
また、結ぶはずの語に接続助詞などが付いて文が先へ続くと、結びは成り立ちません(結びの流れ、結びの消滅)。
文末が「〜にや。」「〜にか。」で終わっているとき、省略されている結びは何か?
「あらむ」(あらん)
〜にやあらむ=〜であろうか。「に」は断定の助動詞「なり」の連用形。
文末が「〜にこそ。」で終わっているとき、省略されている結びは何か?
「あらめ」(または「あれ」)
〜にこそあらめ=〜であろう。「こそ」の結びなので已然形。
文末が「〜とぞ。」で終わっているとき、省略されている結びは何か?
「言ふ」「聞く」などの連体形(言ふ・聞く・伝へたる など)
〜とぞ言ふ=〜ということだ。説話の終わりによくある形。
「結びの流れ(消滅)」とはどういうことか?
結びになるはずの語に接続助詞などが付いて文が続き、係り結びが成り立たなくなること
例:花こそ咲きたるに、雨降りぬ。 → 「たり」は已然形「たれ」で結ばず、接続助詞「に」に続く連体形になっている。
3. 「こそ〜已然形、」の逆接と「もぞ・もこそ」
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
「こそ」の結びの已然形で文が終わらず、読点で先へ続くと、逆接(〜けれども)の意味になります。
また、「も」に「ぞ」「こそ」が付いた「もぞ」「もこそ」は、悪いことが起こるのを心配する気持ちを表します。
「こそ〜已然形、」で文が切れずに続くとき、どういう意味になるか?
逆接(〜けれども)
『土佐日記』「中垣こそあれ、一つ家のやうなれば」=垣根はあるけれども、一軒の家のようなので。
「もぞ」「もこそ」はどういう気持ちを表すか? どう訳すか?
懸念。「〜したら困る・〜すると大変だ」と訳す
雨もぞ降る。(雨が降ったら困る。)結びは「もぞ」なら連体形、「もこそ」なら已然形。
『源氏物語』若紫の「烏などもこそ見つくれ」はどういう意味か?
烏などが見つけたら困る
「もこそ〜已然形」で懸念を表す。「見つくれ」は下二段「見つく」の已然形。