丁寧語と二方面への敬語
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
0. どういうまとまりか
丁寧語は聞き手・読み手を高める敬語で、古文では「侍り」「候ふ」の 2 語です。
どちらも謙譲語としても使うので、どちらの用法かを見分けるところが問われます。
さらに、敬語は 2 つ重ねて使うことがあり、重ね方で敬意の向きと強さが変わります。
| 重ね方 | 例 | 高める人 |
|---|---|---|
| 謙譲語 + 尊敬語(二方面への敬語) | 申し給ふ・奉り給ふ | 動作を受ける人と、動作をする人の両方 |
| 謙譲語 + 丁寧語 | 申し侍り | 動作を受ける人と、聞き手 |
| 尊敬語 + 尊敬語(最高敬語・二重尊敬) | せ給ふ・させ給ふ | 動作をする人を特に強く |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「侍り」「候ふ」は、貴人のそばに「いる」なら謙譲語、ただ「ある・いる」「〜です・ます」なら丁寧語。丁寧語は主に会話文・手紙文に出る。
- 二方面への敬語は「謙譲語が先、尊敬語が後」の順に並ぶ。謙譲語が受ける人、尊敬語がする人を高める。
- 地の文の最高敬語は、天皇・中宮などごく身分の高い人にしか使わない。付いていれば主語がほぼ決まる。
1. 丁寧語「侍り」「候ふ」
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
丁寧語の「侍り」「候ふ」は、会話文や手紙文の中で話し手が聞き手に対して丁寧に言うときに使います。
中古(平安時代)の文章では「侍り」、中世(鎌倉時代以降)の文章、特に軍記物語では「候ふ」が多く使われます。
丁寧語の「侍り」「候ふ」を本動詞として使うとき、どう訳すか?
あります・おります・ございます(「あり・居り」の丁寧語)
(例)ここに人の侍り。→ ここに人がおります。
丁寧語の「侍り」「候ふ」を補助動詞として使うとき、どう訳すか?
〜です・〜ます・〜でございます
(例)いとうれしく侍り。→ たいそううれしゅうございます。
「侍り」「候ふ」が謙譲語か丁寧語かは、どう見分けるか?
貴人のそばに仕える・控える意味なら謙譲語(お仕えする)、単に「ある・いる」や「〜です・ます」の意味なら丁寧語。
補助動詞の「侍り」「候ふ」は丁寧語。
2. 本動詞と補助動詞
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
同じ敬語でも、それ自体が動作を表す本動詞と、ほかの用言や助動詞の下に付いて敬意だけを添える補助動詞があります。
補助動詞の敬語は、その上の動詞の動作について敬意を表します。
敬語の「補助動詞」とは何か?
ほかの動詞や助動詞の下に付いて、敬意だけを添える用法。本来の意味(与える・ある など)は失われている。
(例)書き給ふ(お書きになる)、申し侍り(申し上げます)。
「姫君に琴を給ふ。」と「姫君、琴を弾き給ふ。」の「給ふ」は、それぞれ本動詞か補助動詞か?
前者は本動詞(お与えになる)、後者は補助動詞(お弾きになる)。
動詞の下に付いていれば補助動詞。
3. 二方面への敬語
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
1 つの動作について、動作を受ける人と動作をする人の両方に敬意を払うとき、謙譲語と尊敬語を重ねます。
これを二方面への敬語といいます。
「二方面への敬語」とは何か?
謙譲語と尊敬語を重ねて、動作を受ける人と動作をする人の両方を高める言い方。
(例)申し給ふ(申し上げなさる)、奉り給ふ(差し上げなさる)。
二方面への敬語では、謙譲語と尊敬語はどちらが先に来るか?
謙譲語が先、尊敬語が後。
申し(謙譲)+給ふ(尊敬)、聞こえ(謙譲)+させ給ふ(尊敬)。
地の文「大臣、帝に申し給ふ。」で、「申し」と「給ふ」はそれぞれ誰への敬意か?
「申し」は作者から帝へ(謙譲語=申し上げる相手を高める)、「給ふ」は作者から大臣へ(尊敬語=申し上げる人を高める)。
4. 最高敬語と絶対敬語
根拠: 学習指導要領 言語文化-(2)-ウ
敬語の中には、敬意の対象が限られているものがあります。地の文でそれが使われていれば、主語や相手が決まります。
「最高敬語(二重尊敬)」とは何か? 例を 2 つ挙げると?
尊敬語を 2 つ重ねて、特に強い敬意を表す言い方。
(例)せ給ふ・させ給ふ(尊敬の「す・さす」+尊敬の「給ふ」)。
「おはします」「思し召す」のように、1 語で最高敬語として使われる語もある。
地の文で最高敬語が使われるのは、どんな人物の動作か?
天皇・上皇・中宮・皇太子など、きわめて身分の高い人物の動作。
会話文では、話し手が相手を強く敬うとき、それより低い人にも使うことがある。
「絶対敬語」とは何か? 例は?
敬意の対象が特定の人に決まっている敬語。
(例)奏す(天皇・上皇に申し上げる)、啓す(皇后・中宮・皇太子に申し上げる)。