組別・等級別総合原価計算
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第十一 4「等級別総合原価計算の方法と記帳」・
第十一 5「組別総合原価計算の方法と記帳」。
0. どういう処理か
どちらも複数の製品を作っているときの総合原価計算ですが、製品の関係が違います。
| 製品どうしの関係 | 例 | |
|---|---|---|
| 組別 | 別の製品(作り方が違う) | 自転車と三輪車、ソースとケチャップ |
| 等級別 | 同じ製品でサイズや品質が違うだけ | S・M・L サイズの缶詰、厚さ違いの鋼板 |
そして、原価の分け方も違います。
組別は、製造間接費の配賦とほとんど同じ考え方です。
| 原価 | どうする |
|---|---|
| 組直接費 | どの組のものか分かる → その組に賦課 |
| 組間接費 | 分からない → 適当な基準で各組に配賦 |
組ごとに原価が決まったら、あとは組ごとに普通の総合原価計算をします。
等級別は、まず全体をまとめて 1 つの総合原価計算をしてから、
等価係数で各等級に分けます。同じものを作っているので、途中まで分ける意味がないからです。
積数 = 完成品数量 × 等価係数
各等級の原価 = 完成品総合原価 × その等級の積数 ÷ 積数の合計
等価係数は「Lサイズは Sサイズの何個ぶんの原価がかかるか」を表す数字です。
重量比・容積比などから決めます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 組別は先に分けてから計算、等級別はまとめて計算してから分ける
- 等級別の按分は積数(数量 × 等価係数)で行う。数量だけではない
- 組間接費の配賦基準は問題文が指定する(直接作業時間・組直接費など)
1. 組別総合原価計算
根拠: 出題区分表 工-十一-5
組 = 製品の種類。個別原価計算の「指図書」に近い役割です。
組別総合原価計算はどんなときに使うか?
異なる種類の製品を、同じ工場で並行して大量生産しているとき
自転車と三輪車、ソースとケチャップなど。
「組」=製品の種類。
組直接費と組間接費の違いは?
| 意味 | 処理 | |
|---|---|---|
| 組直接費 | どの組のものか特定できる | その組に賦課 |
| 組間接費 | 複数の組に共通 | 基準で配賦 |
直接費・間接費、部門個別費・部門共通費とまったく同じ構図。
組間接費 ¥480,000 を、直接作業時間(A 組 600h、B 組 400h)を基準に配賦する。各組の配賦額は?
A 組 ¥288,000、B 組 ¥192,000
配賦率 = 480,000 ÷ 1,000h = @¥480
A 組 = @¥480 × 600h、B 組 = @¥480 × 400h。
組別総合原価計算の手順は?
- 組直接費を各組に賦課する
- 組間接費を各組に配賦する
- 組ごとに普通の総合原価計算(月末仕掛品と完成品に分ける)を行う
先に分けてから、組ごとに計算する。
組別総合原価計算では、仕掛品勘定をどう設けるか?
組ごとに設ける(A 組仕掛品、B 組仕掛品)
完成したらそれぞれ A 組製品・B 組製品へ振り替える。
2. 等級別総合原価計算
根拠: 出題区分表 工-十一-4
まとめて計算してから、等価係数で割る。順番が組別と逆であることが要点です。
等級別総合原価計算はどんなときに使うか?
同じ種類の製品で、大きさ・重さ・品質だけが違うものを作っているとき
S・M・L の缶詰、厚さの違う鋼板など。
作り方が同じなので、途中まで分ける意味がない。
等価係数とは何か?
各等級の製品 1 個が、基準となる等級の何個分の原価を要するかを示す数字
重量比・容積比・長さの比などから決める。
たとえば L が S の 1.5 倍の材料を使うなら、S を 1 として L は 1.5。
積数とは何か。どう求める?
完成品数量 × 等価係数
各等級を「基準等級の何個分か」に置き換えた数量。
按分はこの積数の比で行う。数量の比ではない。
完成品総合原価 ¥900,000。A 級 500 個(等価係数 1.0)、B 級 400 個(等価係数 0.5)。各等級の原価は?
A 級 ¥642,857、B 級 ¥257,143(円未満四捨五入)
積数 = A 500 × 1.0 = 500、B 400 × 0.5 = 200、合計 700。
A = 900,000 × 500/700 = ¥642,857
B = 900,000 × 200/700 = ¥257,143
等級別総合原価計算の手順は?
- 全等級をまとめて、普通の総合原価計算をする(完成品総合原価を出す)
- 積数の比で各等級に按分する
- 各等級の原価 ÷ その等級の数量 = 等級別の単位原価
あとから分けるのが組別との違い。
組別と等級別の一番の違いを一言でいうと?
分けるタイミング
| いつ分けるか | |
|---|---|
| 組別 | 最初(費目を組ごとに賦課・配賦してから計算) |
| 等級別 | 最後(まとめて計算してから積数で按分) |
製品が本当に別物なら組別、同じものの大小なら等級別。