本支店会計の決算手続
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第五 4「本支店会計における決算手続(財務諸表の合併など)」。
0. どういう処理か
支店は独立して記帳していますが、外部に公表する財務諸表は会社全体で 1 つです。
そこで、本店と支店の財務諸表を合併します。
手順は 4 つです。
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | 未達取引を整理する(片方だけ記帳されているものを揃える) |
| 2 | 決算整理を行う |
| 3 | 本店勘定と支店勘定を相殺して消す |
| 4 | 内部利益を消去する |
4 が最大の山です。
本店が支店に商品を送るとき、原価に利益を乗せることがあります(振替価格)。
ですが、会社の中で商品が動いただけではまだ儲かっていません。
外部に売って初めて利益です。
そこで、支店の期末商品に含まれている本店の利益を消します。
内部利益 = 支店の期末商品のうち本店から仕入れた分 × 利益率
利益率の読み方に注意してください。
| 書き方 | 意味 | 内部利益の求め方 |
|---|---|---|
| 「原価に 20% の利益を加算」 | 原価 × 1.2 = 振替価格 | 振替価格 × 20/120 |
| 「振替価格の 20% が利益」 | 振替価格 × 0.2 = 利益 | 振替価格 × 20/100 |
原価基準か売価基準かで分母が変わります。 ここが最頻出の引っかけです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 「原価に◯% 加算」なら分母は 100 + ◯
- 消すのは期末商品に含まれる分(期首の分は戻す)
- 本店勘定・支店勘定は合併後の貸借対照表に載らない
1. 未達取引と勘定の相殺
根拠: 出題区分表 商-五-4
まず残高を一致させる。ここが済まないと合併できません。
未達取引とは何か?
一方では記帳済みだが、連絡が届いておらず他方では未記帳の取引
「本店が送った商品が支店に未達」など。
未達側で仕訳を追加して、本店勘定と支店勘定を一致させる。
本店が支店に送った商品 ¥80,000 が支店に未達だった。支店側で必要な仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 本店より仕入 80,000 | 本店 80,000 |
未達側(支店)で記帳する。本店側は仕訳済みなので何もしない。
これで本店勘定と支店勘定が一致する。
財務諸表を合併するとき、本店勘定と支店勘定はどうなる?
相殺して消える
会社の内部の貸し借りなので、外部に公表する財務諸表には載せない。
一致していないと相殺できないので、未達整理が先。
本支店合併の貸借対照表に、支店勘定は載るか?
載らない
同じ理由で、「本店より仕入」「支店へ売上」といった内部取引の勘定も
合併損益計算書には載らない。
2. 内部利益の消去
根拠: 出題区分表 商-五-4
分母が 100 か 120 か——ここだけ間違えなければ計算は単純です。
内部利益とは何か?
本店が支店へ商品を送るときに上乗せした利益のうち、まだ外部に販売されていない分
会社の中で商品が動いただけでは儲かっていないので、
期末に残っている分の利益を消す。
支店の期末商品のうち本店仕入分が ¥120,000。本店は原価に 20% の利益を加算している。内部利益は?
¥20,000
原価 × 1.2 = 120,000 なので、原価は ¥100,000。
利益 = 120,000 × 20/120 = ¥20,000。
分母は 120(100 ではない)。
「振替価格の 20% が利益」と書かれている場合、¥120,000 に含まれる内部利益は?
¥24,000
売価基準なので 120,000 × 20/100 = ¥24,000。
「原価に 20% 加算」とはまったく違う額になる。問題文の書き方を必ず確認する。
内部利益を消去する仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延内部利益控除 ××× | 繰延内部利益 ××× |
期末商品の金額を、内部利益のぶんだけ引き下げる。
(合併整理として行うので、本店・支店それぞれの帳簿には残さない扱いもある。)
期首商品に含まれていた内部利益はどうするか?
戻し入れる(前期に消した分を当期の利益に戻す)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延内部利益 ××× | 繰延内部利益戻入 ××× |
前期末に残っていた商品は当期に売れているので、その利益は実現している。
支店が外部から仕入れた商品にも内部利益はあるか?
無い
内部利益は本店から仕入れた分だけに含まれる。
期末商品のうち、本店仕入分と外部仕入分を分けて計算する。
本支店合併損益計算書の当期純利益は、本店と支店の利益の単純合計か?
違う(内部利益の調整が入る)
本店の利益 + 支店の利益 − 期末内部利益 + 期首内部利益 = 合併後の当期純利益。
単純に足すと、実現していない利益が混ざる。