転写
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (3) ア (ア) ㋐「遺伝情報とその発現」。
内容の取扱いは「『遺伝子の発現の仕組み』については、転写及び翻訳を扱い、RNA ポリメラーゼと
リボソームに触れること。また、スプライシングにも触れること」を求めている。
0. どういう論点か
転写 は、DNA の塩基配列を RNA に写し取る反応です。
複製と似ていますが、違いを 3 つ言えるようにします。
| 複製 | 転写 | |
|---|---|---|
| 作るもの | DNA(2 本鎖全体) | RNA(遺伝子の部分だけ) |
| 酵素 | DNA ポリメラーゼ | RNA ポリメラーゼ |
| プライマー | 必要 | 不要 |
| 塩基 | A に T | A に U |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 転写されるのは 2 本鎖のうち一方だけ(鋳型鎖。もう一方はセンス鎖)
- RNA ポリメラーゼはプライマーを必要としない(DNA ポリメラーゼとの違い)
- スプライシングは真核生物の話(原核生物はイントロンをもたないのがふつう)
1. 転写のしくみ
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(ア)-㋐
DNA の塩基配列を RNA に写し取ることを何という?
転写
写し取られた RNA が、タンパク質合成の設計図として使われる。
転写を行う酵素は?
RNA ポリメラーゼ
DNA の 2 本鎖をほどきながら、鋳型鎖に相補的な RNA を合成する。
転写のとき、DNA の A に対応する RNA の塩基は?
U(ウラシル)
RNA には T が無く、代わりに U が使われる。
RNA ポリメラーゼが結合する、遺伝子の手前の領域を何という?
プロモーター
ここに結合することで、どこから転写を始めるかが決まる。
転写されるのは DNA の 2 本鎖の両方?
片方だけ
鋳型になる鎖を鋳型鎖(アンチセンス鎖)、もう一方をセンス鎖という。
RNA ポリメラーゼは、複製の DNA ポリメラーゼと違ってプライマーが要らない。この違いは何を意味する?
何も無いところから RNA 鎖を始められるということ
一方、校正のはたらきは弱い。
転写でできる RNA のうち、タンパク質の情報を運ぶものを何という?
mRNA(伝令 RNA)
ほかに tRNA(運搬 RNA)や rRNA(リボソーム RNA)がある。
2. スプライシング
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(ア)-㋐
真核生物では、写し取ったものをそのまま使いません。要らない部分を切り捨てる工程が入ります。
真核生物の遺伝子で、最終的な mRNA に残らない部分・残る部分をそれぞれ何という?
イントロン(残らない)とエキソン(残る)
転写直後の RNA には両方が含まれている。
転写された RNA からイントロンを取り除き、エキソンをつなぐことを何という?
スプライシング
核内で行われ、成熟した mRNA になってから細胞質へ出る。
1 つの遺伝子から複数種類のタンパク質ができることがあるのは、何によるもの?
選択的スプライシング
つなぐエキソンの組合せを変えることで、別のタンパク質を作れる。
原核生物ではスプライシングが行われる?
ふつう行われない
イントロンをもたないため、転写と翻訳が同時に進むこともある。
真核生物で転写と翻訳が別の場所で起こるのはなぜ?
転写は核内、翻訳は細胞質で行われるから
その間に核内でスプライシングなどの加工が入る。
3. セントラルドグマ
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(ア)-㋐
遺伝情報が DNA → RNA → タンパク質と一方向に流れるという原則を何という?
セントラルドグマ
すべての生物に共通する基本的な流れ。
DNA・mRNA・タンパク質のうち、細胞ごとに違うのはどれ?
mRNA とタンパク質
DNA(遺伝情報)はどの細胞でも同じで、どの遺伝子を転写するかが違う。
RNA から DNA が合成されることはある?
ある
一部のウイルス(レトロウイルス)は逆転写酵素をもつ。
ある細胞で作られているタンパク質を調べたいとき、mRNA を調べるとよいのはなぜ?
その細胞で発現している遺伝子だけが mRNA になっているから
ゲノムはどの細胞でも同じなので、発現の違いは mRNA に現れる。