真核生物の遺伝子発現調節
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (3) ア (イ) ㋐「遺伝子の発現調節」。
内容の取扱いは「原核生物と真核生物に共通する転写レベルの調節を扱うこと。(中略)また、
転写の調節をそれに関わるタンパク質と関連付けて理解すること」を求めている。
0. どういう論点か
真核生物でも、調節の中心は転写の段階です。ただし原核生物より段が多い。
| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| クロマチンがほどける | ヒストンに巻かれた DNA が転写できる状態になる |
| 調節タンパク質が結合 | 転写調節領域に結合し、転写を促す・抑える |
| 基本転写因子が集まる | プロモーターに RNA ポリメラーゼを呼び込む |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- オペロンは無い(遺伝子ごとに別々のプロモーターをもつ)
- 転写調節領域は遺伝子から遠い場所にあることもある(DNA が折れ曲がって届く)
- RNA ポリメラーゼは単独ではプロモーターに結合できない(基本転写因子が要る)
1. クロマチンと転写
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(イ)-㋐
真核生物の DNA は、核内でどんな形で収められている?
ヒストンというタンパク質に巻きついた形(ヌクレオソーム)
これが折りたたまれてクロマチン(染色質)になる。
クロマチンが強く凝縮している部分では、転写は起こる?
起こりにくい
RNA ポリメラーゼや調節タンパク質が DNA に近づけないため。
転写が行われるとき、クロマチンはどうなる?
ほどけてゆるむ
DNA が露出し、転写に関わるタンパク質が結合できるようになる。
細胞分裂のときに見える「染色体」と、ふだんのクロマチンの関係は?
同じもので、凝縮の度合いが違うだけ
分裂期に強く凝縮して太く短くなる。
2. 転写に関わるタンパク質
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(イ)-㋐
真核生物で、RNA ポリメラーゼがプロモーターに結合するのを助けるタンパク質を何という?
基本転写因子
これが集まって転写開始複合体を作る。
RNA ポリメラーゼは、単独でプロモーターに結合できる?
できない
基本転写因子とともに複合体を作ってはじめて転写を始められる。
転写の量を増やしたり減らしたりするタンパク質を何という?
転写調節因子(調節タンパク質)
DNA 上の転写調節領域に結合する。
転写調節領域は、必ず遺伝子のすぐ近くにある?
離れた場所にあることもある
DNA が折れ曲がることで、離れた調節因子がプロモーターの複合体に働きかけられる。
同じ遺伝子が、細胞の種類によって発現したりしなかったりするのはなぜ?
細胞ごとに、存在する転写調節因子の組合せが違うから
DNA は同じでも、結合するタンパク質が違えば転写量が変わる。
ホルモンが標的細胞でだけ効くのは、何によるもの?
そのホルモンの受容体をもつ細胞だけが反応できるから
受容体と結合した複合体が転写調節因子として働くものもある。
3. 発現調節の広がり
根拠: 学習指導要領 生物-(3)-ア-(イ)-㋐
遺伝子の発現は、転写の段階だけで調節されている?
されていない
スプライシング・翻訳・タンパク質の分解など、あとの段階でも調節される。
真核生物と原核生物の発現調節で、共通している考え方は?
調節タンパク質が DNA に結合して転写を制御すること
違いは、関わるタンパク質の数と、クロマチン構造という段が加わること。
だ腺染色体のパフは、何を示している?
その部分で活発に転写が行われていること
時期や組織によってパフの位置が変わることから、発現の切り替えが観察できる。
同じ個体の皮膚の細胞と肝臓の細胞は、同じ遺伝子をもつ?
もつ
違うのは、どの遺伝子を発現しているか。
1 つの受精卵からさまざまな細胞ができることを、発現調節の言葉で言うと?
発現する遺伝子の組合せが、細胞ごとに変わっていくこと
この積み重ねが分化になる。