生態系と人間生活
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (5) ア (イ) ㋑「生態系と人間生活」。
内容の取扱いは「人間活動が生態系に及ぼす影響として地球規模のものを中心に扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
告示は 「地球規模のものを中心に」と指定しています。
1 つの川や森の話ではなく、循環そのものを人間が変えているという視点で読みます。
| 人間活動 | どの循環・しくみを変えているか |
|---|---|
| 化石燃料の燃焼 | 炭素循環(地中の炭素を大気へ) |
| 肥料の大量使用・排水 | 窒素循環(富栄養化) |
| 森林の伐採 | 炭素の吸収・生息地・土壌 |
| 生物の持ち込み | 生物群集の構成(外来生物) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 温室効果そのものは自然の働き(無ければ地表は今よりずっと低温)
- 外来生物は「持ち込まれたこと」が問題(悪い生物という意味ではない)
- 絶滅は個体数が 0 になる前から始まっている(小さくなった個体群は回復しにくい)
1. 地球規模の変化
根拠: 学習指導要領 生物-(5)-ア-(イ)-㋑
大気中の二酸化炭素などが地表からの熱を吸収し、地表を温める働きを何という?
温室効果
温室効果そのものは自然のはたらきで、無ければ地表はずっと低温になる。
大気中の二酸化炭素濃度が上昇している主な原因は?
化石燃料の大量消費と、森林の減少
地中に蓄えられていた炭素が、短期間で大気へ戻っている。
二酸化炭素以外の温室効果ガスを挙げると?
メタン・一酸化二窒素・フロンなど
量は少なくても、効果の大きいものがある。
地球温暖化が生物に及ぼす影響の例は?
生息域の移動、開花や渡りの時期のずれ、サンゴの白化など
種ごとに移動の速さが違うため、関係がかみ合わなくなる。
森林が減ることは、炭素循環にどう影響する?
光合成による二酸化炭素の吸収が減る
さらに、燃やされたり分解されたりすることで炭素が放出される。
オゾン層の破壊は、生物にどんな影響を与える?
地表に届く紫外線が増え、DNA が損傷を受けやすくなる
フロンの規制によって、回復の兆しが見られている。
2. 身近な生態系への影響
根拠: 学習指導要領 生物-(5)-ア-(イ)-㋑
湖や海に栄養塩類が過剰に流れ込むことを何という?
富栄養化
生活排水や肥料の流入が原因になる。
富栄養化が進むと何が起こる?
植物プランクトンが大量発生し(アオコ・赤潮)、酸素が欠乏して魚などが死ぬ
分解の際に酸素が大量に消費されるため。
生態系が汚濁物質を分解して、もとの状態に戻る働きを何という?
自然浄化
これを超える量が流入すると、環境が急に悪化する。
人間によって本来の生息地の外へ持ち込まれた生物を何という?
外来生物
在来種を捕食したり、競争で排除したりすることがある。
外来生物が問題になるのはなぜ?
その生態系に、捕食者や競争相手がいないまま増えることがあるから
生物そのものが悪いのではなく、持ち込まれたことが問題になる。
里山のように、人の手が入ることで保たれてきた環境がある。手入れをやめるとどうなる?
遷移が進み、そこに適応していた生物が減ることがある
攪乱が無くなることで多様性が下がる例。
3. 生物多様性を守る
根拠: 学習指導要領 生物-(5)-ア-(イ)-㋑
生物多様性は、ふつうどの 3 つの段階で捉えられる?
遺伝的多様性・種多様性・生態系多様性
どの段階が失われても、全体の安定性が下がる。
個体群が小さくなると、遺伝的多様性はどうなる?
下がる
遺伝的浮動や近親交配が進み、環境の変化に対応しにくくなる。
絶滅のおそれがある生物をまとめた資料を何という?
レッドリスト(レッドデータブック)
危機の程度によって分類される。
生態系が人間にもたらす恵みを何という? 例を挙げると?
生態系サービス。食料・水・木材、気候の調節、レクリエーションなど
保全の理由を、人間の側から説明する考え方。
開発が生態系に与える影響を、事前に調べて評価するしくみを何という?
環境アセスメント(環境影響評価)
影響を予測し、回避や低減の方法を検討する。
生態系の保全を考えるとき、生物の側から言えることと言えないことは?
何が起きるかは生物学が言えるが、何を優先するかは社会が決めること
科学は判断の材料を出すところまでを担う。