生命の起源と細胞の進化
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (1) ア (ア) ㋐「生命の起源と細胞の進化」。
内容の取扱いは「化学進化及び細胞内共生を扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
地球に最初の生物が現れるまでに、生物ではない化学反応だけで材料が揃った段階があります。
これが 化学進化 です。そのあと細胞は、別の生物を取り込んで部品にすることで
大きく作り替えられました(細胞内共生)。
この単元で問われるのは「順番」と「証拠」です。
| 化学進化 | 細胞内共生 | |
|---|---|---|
| 何が起きたか | 無機物 → 有機物 → 生命 | 好気性細菌・シアノバクテリアが細胞内に住みついた |
| できたもの | 最初の細胞(原核生物) | ミトコンドリア・葉緑体 |
| 証拠の形 | 実験(ミラーの実験) | 独自の DNA・二重の膜・分裂して増える |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 地球の最初の大気に酸素はほとんど無かった(酸素は光合成の結果であって、原因ではない)
- RNA が先か DNA が先か — 触媒にもなれる RNA が先と考える(RNA ワールド)
- 細胞内共生で取り込まれたのは細菌で、取り込んだ側は古細菌に近い細胞
1. 化学進化
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(ア)-㋐
生命の材料が、生物のいないところで揃った過程です。
「生物が作った」のではないという点が、この語のすべてです。
生物が誕生する前に、無機物から有機物が生じ、それが複雑化していった過程を何という?
化学進化
生物の働きによらずに、化学反応だけで生命の材料が揃った段階を指す。
原始地球の大気に、現在のような酸素(O₂)は豊富にあった?
ほとんど無かった
酸素はのちにシアノバクテリアの光合成で増えたもの。化学進化は還元的な大気のもとで起きた。
メタン・アンモニア・水素・水蒸気の混合気体に放電し、アミノ酸が生じることを示した実験は?
ミラーの実験
無機物から有機物ができうることを実験で示し、化学進化の考えを支えた。
深海底で熱水が噴き出し、有機物の合成の場になったと考えられている場所を何という?
熱水噴出孔
高温・還元的で、金属硫化物が触媒として働く。生命誕生の場の有力な候補とされる。
最初の遺伝物質は DNA と RNA のどちらだったと考えられている?
RNA
RNA は遺伝情報を持てるうえ、自身が触媒(リボザイム)としても働ける。この考えをRNA ワールドという。
現在の細胞で、遺伝情報の保存を DNA が担っているのはなぜと説明される?
DNA は二本鎖で化学的に安定しており、複製の誤りを修復しやすいから
触媒の役割はタンパク質へ、保存の役割は DNA へ、と分業が進んだと考えられている。
2. 細胞の進化と細胞内共生
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(ア)-㋐
ここが取扱いの本命です。ミトコンドリアと葉緑体が、もとは別の生物だったという説と、
その根拠を言えるようにします。
好気性細菌が別の細胞に取り込まれて共生し、細胞小器官になったとする考えを何という?
細胞内共生説
真核細胞のミトコンドリアと葉緑体の由来を説明する。
細胞内共生で、ミトコンドリアのもとになったと考えられている生物は?
好気性細菌
酸素を使って有機物を分解する能力を、宿主の細胞が手に入れたことになる。
細胞内共生で、葉緑体のもとになったと考えられている生物は?
シアノバクテリア
光合成を行う細菌。ミトコンドリアを持つ細胞がさらに取り込んだと考えられる。
ミトコンドリアと葉緑体が、もと別の生物だったとされる根拠を 3 つ挙げると?
①独自の DNA を持つ ②二重の膜で包まれている ③分裂して増える
独自のリボソームを持ち、そのリボソームが細菌型であることも根拠になる。
ミトコンドリアと葉緑体の DNA の形は、核の DNA と同じ?
違う。環状 DNA で、細菌と同じ形をしている
核の DNA は直鎖状。ここも細胞内共生説の根拠のひとつ。
大気中の酸素を増やし、その後の生物に大きな影響を与えた生物は?
シアノバクテリア
光合成で放出された酸素が海の鉄を酸化し(縞状鉄鉱層)、やがて大気にも蓄積した。
大気に酸素が蓄積したことは、生物にとってどんな意味を持った?
酸素呼吸が可能になった一方、酸素は毒でもあったので多くの嫌気性生物が追いやられた
さらにオゾン層ができて紫外線が減り、のちの陸上進出の条件が整った。
原核細胞と真核細胞の最大の違いは?
核膜に包まれた核を持つかどうか
真核細胞はミトコンドリアなどの膜に包まれた細胞小器官も持つ。
多細胞生物が現れたことで可能になったことは?
細胞ごとに役割を分ける(分化する)こと
同じ遺伝情報を持つ細胞が、異なる形と働きを持てるようになった。