植物ホルモンと成長
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (4) ア (イ) ㋐「植物の環境応答」。
内容の取扱いは「植物ホルモンは 3、4 種類について取り上げること」を求めている。
0. どういう論点か
植物は動けないので、成長の向きと速さを変えることで環境に応じます。
その調節を担うのが 植物ホルモン です。
| ホルモン | 主なはたらき |
|---|---|
| オーキシン | 細胞の伸長、屈性、頂芽優勢 |
| ジベレリン | 伸長成長の促進、種子の発芽促進、子房の発達 |
| アブシシン酸 | 発芽の抑制、気孔を閉じる |
| エチレン | 果実の成熟、肥大成長の促進 |
| サイトカイニン | 細胞分裂の促進、老化の抑制 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- オーキシンの最適濃度は器官で違う(茎に最適な濃度は、根では成長を抑える)
- ジベレリンとアブシシン酸は逆向き(発芽を促す/抑える)
- エチレンは気体(隣の果実まで熟させる)
1. オーキシンと屈性
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(イ)-㋐
刺激の方向に対して、決まった向きに屈曲する性質を何という?
屈性
刺激の方向と無関係な屈曲は傾性という。
茎が光の当たる側へ曲がるのは、何の働き?
オーキシンが光の当たらない側へ移動し、その側の細胞を伸長させるから
伸びた側が外になるので、光のほうへ曲がる。
オーキシンは植物の中をどう移動する?
先端から基部へ向かって、一方向に運ばれる(極性移動)
輸送タンパク質が細胞の決まった側にあるため。
根が重力の方向へ伸びるのはなぜ?
下側にオーキシンが多く集まり、根では高濃度が成長を抑えるから
伸びた上側が外になるので、下へ曲がる。
同じオーキシン濃度が、茎では成長を促し根では抑えることがある。これは何を意味する?
最適濃度が器官によって違うということ
根は低濃度、茎は高濃度で最もよく伸びる。
頂芽があるあいだ側芽が伸びない現象を何という? 関わるホルモンは?
頂芽優勢。オーキシン(側芽を抑える)とサイトカイニン(側芽の成長を促す)が関わる
頂芽を切ると側芽が伸び出す。
重力の向きを感知しているのは、根のどの部分?
根冠(のコルメラ細胞)
中のアミロプラストが沈むことで、向きを感じ取る。
2. いろいろな植物ホルモン
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(イ)-㋐
種子の発芽を促し、茎の伸長を促進する植物ホルモンは?
ジベレリン
イネのばか苗病の研究から見つかった。
オオムギの種子で、ジベレリンは何を引き起こす?
糊粉層でアミラーゼの合成を促し、胚乳のデンプンを分解させる
発芽のためのエネルギーが使えるようになる。
種子の休眠を保ち、発芽を抑える植物ホルモンは?
アブシシン酸
ジベレリンと逆向きに働く。
乾燥したときに気孔を閉じさせる植物ホルモンは?
アブシシン酸
孔辺細胞から水が出て、気孔が閉じる。
果実の成熟を促す植物ホルモンは? 特徴は?
エチレン。気体であること
1 つの果実から出たエチレンが、周りの果実も熟させる。
細胞分裂を促進し、葉の老化を抑える植物ホルモンは?
サイトカイニン
オーキシンとの比率で、茎になるか根になるかが変わる。
落葉が起こるとき、葉柄のつけ根にできる構造は? 関わるホルモンは?
離層。エチレンが形成を促し、オーキシンが抑える
秋に葉のオーキシンが減ると離層ができる。
植物ホルモンが動物のホルモンと違う点は?
特定の分泌器官をもたず、作られた場所の近くでも働くこと
血液のような専用の運搬系も無い。
3. 環境に応じた成長
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(イ)-㋐
接触した物に巻きつくつる植物の性質は、屈性・傾性のどちら?
屈性(接触屈性)
刺激の方向に対して決まった向きに曲がる。
オジギソウが触れると葉を閉じるのは、屈性・傾性のどちら?
傾性
刺激の方向と無関係に決まった動きをする。
密生した植物が細長く伸びるのは、何に応じた反応?
光(赤色光と遠赤色光の比)に応じた反応
まわりの葉を透過した光は遠赤色光が多く、それを感じて伸びる。
植物ホルモンの働きを、遺伝子発現の言葉で言うと?
受容体に結合して、特定の遺伝子の転写を変えること
その結果、作られる酵素が変わり、成長のしかたが変わる。