人類の系統と進化
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (1) ア (ウ) ㋑「人類の系統と進化」。
告示は「霊長類に関する資料に基づいて、人類の系統と進化を形態的特徴などと関連付けて理解すること」
とし、解説は「人類の系統と進化についての概要を扱う」としている。
0. どういう論点か
ヒトがほかの霊長類と何を共有し、何だけが違うのかを形で言えるようにします。
違いの中心は 直立二足歩行 で、骨の特徴はほとんどそこから説明できます。
| 特徴 | 直立二足歩行との関係 |
|---|---|
| 大後頭孔が真下に開く | 頭を背骨の真上で支えるため |
| 骨盤が横に広く皿状 | 内臓を下から支えるため |
| S 字状の背骨 | 上下の衝撃を吸収するため |
| 足に土踏まずがある | 体重を受け止めるため |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 脳が大きくなったのは、直立二足歩行より後(順番を逆にしない)
- ヒトはチンパンジーから進化したのではない — 共通祖先から分かれた
- 拇指対向性は霊長類に共通、ヒトだけの特徴ではない
1. 霊長類に共通する特徴
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(ウ)-㋑
サル類(霊長類)に共通する、手の特徴は?
拇指対向性(親指がほかの指と向かい合う)
枝をつかむのに適し、物をつまむことができる。
霊長類で両眼が顔の前面に並んでいることの利点は?
両眼の視野が重なり、立体視ができる
距離をつかめるので、樹上で枝から枝へ移りやすい。
霊長類で、嗅覚に比べて視覚が発達しているのはなぜと説明される?
樹上生活に適応したから
木の上では、においより見て距離をとらえることが重要になる。
霊長類の爪は、ほかの哺乳類とどう違う?
かぎ爪ではなく平爪
指の腹で枝や物をつかめる。
ヒトに最も近縁な現生の生物は?
チンパンジー(およびボノボ)
ゲノムの塩基配列の違いはわずかで、共通祖先から分かれたと考えられている。
ヒトはチンパンジーが進化したもの?
違う。共通の祖先から、それぞれ別々に進化した
系統樹では、両者は同じ分岐点から分かれた枝になる。
2. 直立二足歩行と形態
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(ウ)-㋑
骨の特徴を「なぜそうなるか」で覚えるのがここの要点です。
人類(ヒト科のうちヒトにつながる系統)を特徴づける、最大の形態的特徴は?
直立二足歩行
脳の大型化より先に獲得されたと考えられている。
大後頭孔(頭骨の下にある脊髄の通る穴)の位置は、ヒトとチンパンジーでどう違う?
ヒトは真下、チンパンジーは後ろ寄りに開く
頭を背骨の真上に載せて支えるため。化石から二足歩行を判定する手がかりになる。
ヒトの骨盤が横に広く皿のような形をしているのはなぜ?
直立したときに内臓を下から支える必要があるため
チンパンジーの骨盤は細長い。
ヒトの背骨が横から見て S 字状に曲がっているのはなぜ?
直立歩行の際の衝撃を吸収し、頭部を支えるため
四足歩行の動物では弓なりの形をしている。
ヒトの足に土踏まず(足のアーチ)があるのはなぜ?
歩行時の衝撃を和らげ、体重を支えるため
ヒトの足の親指はほかの指と並び、枝をつかむ形ではなくなっている。
直立二足歩行によって自由になった前肢は、何を可能にした?
道具を持ち、使うこと
さらに物を運べるようになったことも、その後の進化に影響したとされる。
3. 人類の進化の道筋
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(ウ)-㋑
初期の人類として知られる、猿人に分類される化石人類を 1 つ挙げると?
アウストラロピテクス
すでに直立二足歩行をしていたが、脳容積は現生人類よりはるかに小さい。
猿人・原人・旧人・新人の並びで、脳容積はどう変化した?
しだいに大きくなった
直立二足歩行の獲得が先で、脳の大型化はそのあとに進んだ。
現生人類(ホモ・サピエンス)が誕生したとされる地域は?
アフリカ
そこから世界各地へ広がったとする考えをアフリカ単一起源説という。
ネアンデルタール人は、現生人類の直接の祖先?
直接の祖先ではない
共存した時期のある別系統で、一部の遺伝的な交流があったと考えられている。
人類の系統を推定するのに、化石だけでなく DNA も使われるのはなぜ?
骨からは分からない類縁関係や分岐年代を、塩基配列の違いから推定できるから
ミトコンドリア DNA の解析が代表的。